応援広告が増えてる件
この夏、駅のサイネージで何も映らない真っ黒な画面が増えた。
2年前、綺麗な景色しか映らないデジタルサイネージは、それだけで「絶賛緊急事態中」という感じだったが、今回の原因は節電なので、電源オフになっている。東日本大震災を思い出す。
あれから10年経ったのだが、電源オフのサイネージに「節電中」という紙が貼られているのを見ると(たいして人類は前に進んでないね……)と思う。
あの頃の日本でお目にかれなかった「応援広告」は圧倒的に駅貼りポスターが多い。ライトボックスとかデジタルサイネージは見たことないかもしれない(記憶が危ういが)。紙だったら電源オフ要請も自粛も関係ないので、確実に推しを掲出できる。
ちなみに「応援広告」はK-POPアイドルがファンダムを作って非公式に(と言いながら事務所に申請をする体制が整っている)、勝手に誕生日祝いや新譜発売の告知をするもの。交通広告やお揃いのアイテムでパーティを開催するなど。ライブ会場でペンライトやウチワを振るように出稿する。
以前は日本でNGだったが、最近は媒体側が規定を緩めていて、実績が増えてきている。K-POPの文化が、無視できないぐらい日本のポップカルチャーに浸透していることと、出稿の大幅減が妙に重なったのだと思う。
いろんな広告代理店が入っているが、何といっても、天下のJeki(ジェイアール東日本企画)が応援広告を応援しているのは大きい。
事例をまとめたnoteまである。
ちなみに、「Cheering AD」はJekiの登録商標らしい。仕事が早いな……!
事業会社に巣立った自分には関係のないことだが、気になるのはTCCでの扱い。そろそろ応援広告でTCC新人賞を狙う人がいてもおかしくはない。友人・知人の店から発注してもらって受賞してる人もいるので、あり得ないことでもないだろう。「プロに頼みたい」と思っている掲出グループから仕事として受注していた場合、それはルール違反になるのか、否か。物議を醸す人は出てくるのだろうな……(すでにあるかもしれないが)。
この間、秋葉原などで「小倉唯アーティストデビュー10周年」の応援広告を掲出する企画がフィナーレを迎えていた。Twitterを覗いてみると、ある日そこにご本人が降臨してセルフィ―を撮って上げていた。この距離感が、日本らしいと思った。デビューから10周年という時間のおかげかもしれない。ただ、この文化は、意外と日本でも根づきそうな気がする。
広告がすべて誰かの応援広告になってしまうことはないだろうが、「誰でもライター」「誰でもデザイナー」「誰でも配信者」という流れに「誰でも交通広告」も加わるのかもしれない。
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