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未知との遭遇を拒否することについて

2024年の幕開けは災厄とともに始まった。過去形で書き始めてしまったけれど、まだ終わっていないし、災いの真っ只中だ。だからなのか、優雅さなど知らない風を吹かせて1月が過ぎようとしている。

北陸を中心に襲った震災に関して、色々なことが言われている。言われ方というのが特徴的だ。とてもわかりやすい形で政治的な態度によって分かれていて、それはとても気味が悪い。そんなに白黒分かれるものだろうか。

どちらの側でも、多くの人がつとめて平静を装おうとしているようにも見える。それは冷笑的とも違う。自分のほうが、どれだけ冷静で、リアリスティックかということで競っている。現実と向き合っているのはどちらなのかと。そんなところで勝負をしていても仕方がないのに。

この態度は、両者いずれも、未知なるものと遭遇したことへの過ぎた反応だと思う。どれだけ科学が発達しても、自然現象は人にとって未知数の部分が多い。不意に発生する地震に限らず、毎年のように来る台風に関しても、過去の経験から備えることはできても、全く問題なく過ごせやしない。台風上陸となれば、雨漏りや倒壊の危険のない建物にいても、空模様を気にする。

さて、初動が遅かったのは広告も同じだ。良いか悪いかは別として基本的に大型の出稿控えも起きず、ましてや、正月広告シーズンになおさらだ。そこでわたしはもう1つの違和感と出会った。

地震に限らず、わたしたちは、もう未知との遭遇は要らないと思っているのかもしれない。それは箱根駅伝の中継で流れた「鉄拳8」の長尺CMだ。

「宿命を、ぶん殴れ。」
上記のCM動画は特別版CM。わたしは箱根駅伝の中継で見たけれども、日テレで正月に集中的に流れていたものです。箱根駅伝だけじゃないと思う。(今日時点で確かめてはいないけど、プレスリリースを読む限りは、そう)

下手をすると(もしかしたら地域によっては取り下げたかもだけど)、配慮の仕方によっては流さない判断をすることもあるだろう内容だ。けれども、やっぱり流れてなんぼのものだと思うし、箱根駅伝という場にも合っていた。

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