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日本三大銘醸地「西条」、オバマ大統領が飲んだ特製ゴールド賀茂鶴

広島大学の最寄り駅「西条」は、灘・伏見と並ぶ日本三大銘醸地だそうです。

オバマ大統領は来日時に、銀座の数寄屋橋にある、ミシュラン史上最高齢の三ツ星シェフ・小野二郎の店「すきやばし次郎」にて、安倍首相と会食していますが、その時に飲んだ日本酒が「特製ゴールド賀茂鶴」です。

特製ゴールド賀茂鶴は、西条で最大の酒造メーカーである賀茂鶴酒造が造る金箔入りの大吟醸です。

鉄道が敷設される際に、賀茂鶴酒造の木村和平が西条駅誘致を行ったため、酒造メーカーが集まる西条酒蔵通りは駅前にあります。

西国街道の四日市宿があった場所に酒造が作られ、古代の各国の中心地に作られた国分寺(安芸国分寺)は駅の北側にあり、西条駅の徒歩圏内に、古代から現代までの歴史スポットが集まっています。

そんな酒都・西条について紹介します。

安芸国分寺と西条

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西条のあたりは、古代安芸国の中心で、古代の国府・国分寺(安芸国府・安芸国分寺)がこの地にあったとされています。

奈良時代の条里制がしかれていた頃に、半尾川を境に「東條郷」「西條郷」と呼ばれ、半尾川に西に当たる現在の地は西条と呼ばれました。

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四日市宿と本陣跡

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安土桃山時代から江戸時代初期に近世山陽道(西国街道)が整備され、宿場四日市宿が西条に置かれます。

西条駅に四日市宿のプレートがあり、賀茂鶴酒造の近くに、本陣跡が残されています。

1587年には、九州平定に向かう豊臣秀吉が四日市に宿泊しているそうです。

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酒造の始まり

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西条で最も古い酒造メーカーは現存する7つの蔵元の一つ「白牡丹酒造」で、関ヶ原の戦いで敗れた石田三成の家臣島左近勝猛の次男・彦太郎忠正が、西走して安芸国・西条に足を止め、その地で孫・島六郎兵衛晴正が、1675年に創業したと言われています。

1863年(明治元年)、亀齢酒造が創業します。

1873年(明治6年)、嘉登屋島氏(白牡丹)の向かいの醸造業を営んでいた小島屋木村氏(賀茂鶴酒造)が、その隣の吉田屋石井氏(亀齢酒造)が酒造をやるなら、うちもやろうと、木村和平が酒銘を「賀茂鶴」と命名し、賀茂鶴酒造が創業。

賀茂は地名の賀茂郡に由来し、賀茂郡は京都の賀茂神社の荘園であったことに由来します。

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明治時代に日本三大銘醸地となる

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日本酒の銘醸地として、兵庫の「灘」・京都の「伏見」が知られていました。

灘の水は硬度100前後で、男酒と呼ばれていました。
伏見の水は硬度80前後で、女酒と呼ばれていました。

日本酒を造るには、ミネラルが含まれた硬水が最適とされ、麹・酵母がミネラルを栄養にして発酵を活発化させます。

日本の水の多くは軟水(硬度0〜60未満)ですが、
灘と伏見は中硬水(硬度60〜120未満)で、酒造りに最適の名水であるとされています。

一方で、西条の水は硬度が30前後の軟水でした。

灘:硬度100前後
伏見:硬度80前後
西条:硬度30前後
非常な硬水:硬度180以上
硬水:硬度120〜180未満
中硬水:硬度60〜120未満
軟水:硬度0〜60未満

広島県賀茂郡三津村(現東広島市安芸津町三津)生まれの三浦仙三郎が、1887年(明治20年)軟水による酒醸造法「三浦式醸造法」を考案。
日本のウイスキーの父といわれる竹鶴政孝の父親・竹鶴敬次郎は、三浦とともに広島で酒づくりの改良に取り組んだ蔵元たちのメンバーの一人だったと言われています。

1904年(明治37年)、西條鶴が創業。

1907年(明治40年)に開かれた全国清酒品評会では広島の酒が上位を占め、品質を高く評価されます。

1908年(明治41年)、西条西本町に本社を置く株式会社サタケの創業者・佐竹利市が、竪型研削精米機を開発します。

佐竹利市は、1896年(明治29年)に賀茂鶴木村和平へ精米の機械化について提案し、日本で最初に動力精米機を考案、佐竹製作所(現・株式会社サタケ)を創業しています。

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三浦仙三郎の「三浦式醸造法」と佐竹利市の「竪型研削精米機」によって、灘・伏見と並ぶ日本の三大銘醸地と称され、吟醸酒の発祥地と言われるようになります。

西条では煉瓦作りの煙突が酒蔵に立っているのが印象的ですが、そのレンガの多くは、三浦仙三郎の出身地「安芸津」で作られたレンガだったようです。

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1912年(大正元年)、賀茂泉酒造が創業、山陽鶴酒造が創立(創業は江戸後期)。
1917年(大正6年)、福美人酒造が創業。

■伏見
1637年創業:月桂冠
1925年創業:黄桜
■灘
1659年創業:菊正宗酒造
1711年創業:大関
1743年創業:白鶴酒造
■西条
1675年創業:白牡丹酒造
1873年創業:賀茂鶴酒造
1863年:亀齢酒造
1904年創業:西條鶴
1912年創業:山陽鶴酒造、賀茂泉酒造
1917年創業:福美人酒造

日本の20世紀遺産に「西条の酒造施設群」が登録

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2013年から始まった観光庁“酒蔵ツーリズム”外国人向けの日本酒をテーマとした観光展開では初期からモデルケースの一つとして紹介されます。

2017年、ユネスコ世界遺産(文化遺産)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)の日本組織(イコモス国内委員会)が、選定した21の「日本の20世紀遺産」の一つに「西条の酒造施設群」が選ばれます。

観光案内所も歴史的建造物にあります。

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私は広島大学で、広島市内での予定の合間にささった回りましたが、十分楽しめました。各酒蔵を回る時間はありませんでしたが、それぞれの酒蔵ごとに特徴があるようですので、今度行く時はゆっくり回りたいなと思います。

参照

西条酒蔵通り
西条酒
酒都・西条で試飲のハシゴ!酒蔵を全部めぐってほろ酔い気分♪
酒蔵通りをぶらり散歩!酒都広島県西条で日本酒の魅力に出会う旅♪
日本三大酒処「灘」「伏見」「西条」の魅力や特徴を解説
酒どころ西条
安芸国分寺
安芸津の酒
賀茂鶴酒造
賀茂鶴賀茂郡 (広島県)
賀茂川 (広島県)
竹原
竹原市
白牡丹酒造
白牡丹
亀齢酒造
賀茂泉酒造
日本酒の8割は「水」- 軟水・硬水の違いと日本酒の味わいへの影響を学ぶ
小野二郎 (寿司職人)
塚本素山ビル
バラク・オバマの広島訪問
オバマ大統領が「すきやばし次郎」で飲んだお酒は、東広島の賀茂鶴だった!
三浦仙三郎
縦型精米機
サタケ
サタケ公式ホームページ
全国水質マップ
保存版【イギリス 硬水対策】ロンドン在住者が教える硬水対策まとめ!
月桂冠 (企業)
日本の20世紀遺産
西條鶴
福美人酒造
山陽鶴

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