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横浜の山手にある岩崎博物館(ゲーテ座記念)

1870年(明治3年)に西洋式劇場として建てられた「岩崎博物館(ゲーテ座記念)」。

来週に岩崎学園の学生たちに講演するので、学園について調べていたら素敵な建物の写真を見て、しかも横浜の山手にあると知り、見学してきました。
30分ほどの見学のつもりが、展示会スタッフさんとの会話が弾み、1時間半も滞在してしまいました。

色鮮やかな西洋館が立ち並び、整えられた庭園や外国人墓地、緑が美しい道や坂など、歩くだけで目を楽しませてくれる山手にあるという立地が素晴らしいです。

博物館の歴史的背景をご紹介します。

岩崎博物館(ゲーテ座記念)の歴史

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「ゲーテ」とはドイツ人詩人のゲーテではなく、ロンドンにあった劇場「ゲイエティ座」に由来するのではないかと言われています。
ゲイエティとは、陽気、楽しさ、華美な服装、などの意味があります。

ゲーテ座を建てたのは、オランダ商人ヘフト。
商船の船長であったヘフトは1865(慶応元)年頃にヘフト商会を設立し、ビール醸造所の開業、消防活動、山手と元町を結ぶ坂道「ヘフト坂(現在の代官坂)の建設などを行っています。
最初のゲーテ座は現在「テレビ神奈川(TVK)開局の記念碑」がある、本町通りと高速道路がぶつかる交差点「谷戸橋」付近にあったそうです。

1867年(明治元年)のThe Japan Gazetteには、横浜の外国人居留地にはイギリス人260人、アメリカ人80人、ドイツ人70人、フランス人60人、オランダ人50人、その他50人がいたと記載されているそうですが、その外国人たちのアマチュアが演じる劇場としてスタート。

1885(明治18)年に現在の場所に移転し、フランス人建築家サルダの設計によって2代目の劇場が建てられています。
1923(大正12)年に、関東大震災で横浜は壊滅的な被害を受けますが、ゲーテ座劇場も崩壊してしまいます。

1980(昭和55) 年、学校法人岩崎学園 横浜洋裁学院(現:横浜fカレッジ)の 創立50周年記念事業の一貫として、建てられたのが現在の3代目の劇場です。

岩崎博物館の常設展示

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特別展示会のスタッフさんが、ここの常設展示はめちゃめちゃ貴重なものがありますので、是非ご覧ください!とのことでしたが、美術を知らない僕はあれこれ質問をしていたら、常設展示についても、解説してくださいました。

その道の人に教えてもらいながら鑑賞するのは楽しいものです。

大きく分けて、6つの展示コーナーがありました。

エミール・ガレやドーム兄弟のガラス工芸
アルフォンス・ミュシャやルイ・イカールのポスター
アール・ヌーヴォー様式で描かれた香水や化粧品、石鹸のラベル
創設者のオランダ人ヘフトについて
写真のなかった時代のファッション雑誌の「ファッションプレート」
女性のドレスや服装の各国における古代から現代までの変化を実物の1/2で紹介したコーナー

ドレス体験コーナー

女性はドレスを着て撮影をすることができます。

撮影の料金(ドレスによって料金が異なる)
大人2,000円~4,000円 ※スペシャルドレスのみ5,000円
小人1,000円~2,000円

所要時間は15分~20分ほど。(状況により時間がかかる場合があるそうです。)

特別展示

太平洋美術会の版画部の作品が展示されていました。太平洋美術会は1889年(明治22年)にスタートした歴史ある美術会です。

木版画、銅版画、平版画、孔版画、デジタルなど様々な方法で作られた版画がありました。
版画は刷る度に色合いが変わるそうで、何枚刷ったうちの何番目のものかが版画に記載されていました。

一人で見ている時は、なんとなく見ていましたが、展示スタッフさんにご説明いただくと、それぞれ違う版画の方法によって、どんな特徴があるのか、作者がどんな方なのかを知ると、より作品を味わえるな〜と思いました。

入場料、開館時間

ガレやミュシャの貴重な作品が常設展示されていますが、入場料はたったの300円です。

現在はコロナ対策で、事前予約制になっていますが、当日に行ってもその時間帯に他の入場者がいなければ入場が可能なようです。
開館時間(10時~17時)が30分ごとに区切られていて、すでに予約が入っている時間には●がついていまして、空いている時間は入場できるようです。
土曜日の10時に予約して行きましたが、午前中は予約が入っていませんでした。
この30分の区切りがあるので、25分の見学時間となっているようですが、他の方がいなかったので、1時間半、じっくり見学してきました。

岩崎学園の沿革

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今回の訪問理由は岩崎学園を知ることです。

岩崎学園の沿革がこれまた非常に興味深いです!

岩崎学園の創設者、岩崎春子さんは女性は結婚し家庭に入ることが常識の大正時代に、当時10代で都会の裁縫学校に進学。
20代半ばで横浜洋裁専門女学院を開校したのは1927年(昭和2年)。
当時は女性はまだ和装の時代だったそうです。

そんな時代を先取りした創設者のように、岩崎学園の動きは早いようで、
横浜臨海部開発計画「みなとみらい21」がスタートする1982年の2年前、1980年に山手に岩崎博物館[ゲーテ座記念]開設。
マイクロソフト日本法人が設立される1986年の3年前、1983年に情報科学専門学校を開校。

そして、目を引くのが横浜西口にある大きなビル「ヨドバシ横浜」です。

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地下2階〜地上8階で地下で駅と直結しているビルですが、届け出上の名称は「岩崎学園ビル」なんだそうで、岩崎学園の本部や横浜fカレッジなどが併設されています。

以下、沿革の一部です。
1927年:横浜洋裁専門女学院(現:横浜fカレッジ)設立
1975年:岩崎学園附属幼稚園開園
1976年:岩崎学園附属磯子幼稚園開園
1980年:岩崎博物館[ゲーテ座記念]開設
1981年:情報科学研究所開設
1983年:情報科学専門学校開校(神奈川県初の情報系専門学校)
1989年:情報科学専門学校新横浜校開校(現・横浜医療情報専門学校)、岩崎ファッション工科専門学校(現・横浜デジタルアーツ専門学校)開校
1998年:横浜リハビリテーション専門学校開校
2003年:NPO情報セキュリティフォーラム設立
2004年:情報セキュリティ大学院大学開学
2007年:横浜保育福祉専門学校、岩崎学園東戸塚保育園、岩崎学園品濃町放課後児童クラブ開設
2010年:岩崎学園新横浜保育園、岩崎学園新横浜放課後児童クラブ開設
2012年:岩崎学園新横浜第二保育園開園
2014年:横浜実践看護専門学校開校

参照

ゲーテ座、創設者のヘフトについて詳しく書かれているブログがいくつか見つかり、それらを参照させていただきました。

ムッシュKの日々の便り:横浜「ゲーテ座」
ヴィクトリア朝のバーレスク
ゲーテ座記念 岩崎ミュージアム
横浜山手ヘフト祭り・・・。
西洋式劇場の始まり
ポール・サルダ
代官坂
エミール・ガレ
アルフォンス・ミュシャ
黄道十二宮
ドーム兄弟
ポーラ美術館:ファッションプレート
岩崎博物館 ドレス体験コーナー
太平洋美術会公式ホームページ
岩崎学園 沿革
ヨドバシ横浜
ヨドバシ横浜公式ページ フロアガイド


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