規制が進む中での中国最新ゲームランキング!
未成年者のプレイ時間制限や、子供たちへの思想教育、あるいはゲーム企業への制裁など、ますます共産化を強める中国。ゲーム市場は今どう変化しているのか、最新のゲームランキングとともにまとめてみました。
はじめに
こんにちは。Spicemart(スパイスマート)です。
私たちはアジアや北米を中心に、ゲームの開発・運用に役立つ情報を収集・分析し、お客さまであるゲーム企業に情報を提供をしている調査会社です。
このnoteでは「ゲームやアニメが好き」「世界のゲーム事情を知りたい」といった方々にも興味を持っていただけるような内容を配信しています。
主要ストアのゲームランキング
ランキングの中には企業事情に操られているものもありますが、それがまた中国らしくて日本人には興味深いのではないでしょうか。
以下のランキングはいずれも2021年11月末のデータになります。
【App Store セールスランキング】
まずは大御所、iOSのゲームランキングです。
今回は「原神」がトップテン復帰となりました。新しいシナリオやキャラクターが実装されたためと思われます。その他は前月とあまり変化はありません。
【応⽤宝 DLランキング】
中国ではメジャーなランキングです。
応用宝は、「伝説対決 -Arena of Valor-」などで有名な中国最大手テンセントが運営するアンドロイド用アプリストアで、当然、テンセントが開発したりパブリッシングするアプリが多く並ぶ傾向にはあります。
今回のトップ10に関して⾔えば、やはり前月と比べて特段⼤きな動きはなく、基本的に平素からランクインしているタイトル間での⼊れ替わりにとどまっています。
【⼩⽶ DLランキング】
シャオミというスマホメーカーのアンドロイド用アプリストにおけるランキングになります。
価格が安いため低所得者向けのスマホとされてきましたが、近年はハイスペックで値段も高い商品がでており、シャオミのスマホを使用する人は収入が低いという印象は薄くなってきています。
シャオミを購入した人がこのアプリストアからダウンロードすることが多く、また毎年スマホの出荷台数が発表されストアユーザーの規模感が正しく掴めるということで、注目されています。
ランキングを見ると、こちらでも「原神」が8位に復帰となっています。またオートチェスゲーム「⾦铲铲之戦」が先⽉の9位から2位まで躍進、カジュアル系タイトル「开⼼消消乐」と「球球⼤作战」もトップテン復帰と、復帰が多くみられました。
【360 DLランキング】
中国のセキュリティ企業「奇虎360」のアプリストアのランキングです。
個人用のセキュリティソフトを無料で提供しているため、中国のパソコンユーザーの殆どが、こちらのソフトをインストールしていると言われています。
セキュリティソフト使用者が多いため、ランキングもアプリの人気度をある程度反映できるのではないかと考えられてきましたが、最近はPC端末のセキュリティソフトからアプリを探す人は少ないので、中国の現状を表しているとは言いきれません。
ただそんな中でも、今回「トーキング・トムとフレンズ」シリーズを生み出したOutfit7 Limitedが開発した育成系ゲーム「My Talking Tom」と「My Talking Hank」の2本がランクインしています。
ライブ配信メディア⼈気ランキング
ここからはライブ配信メディアを見ていきましょう。まずは動画配信メディアのランキングをどうぞ。
【動画配信メディアのランキング】
上位2社の闘⿂、⻁⽛はいずれもテンセント傘下の企業です。
2社は合併して巨⼤インターネットストリーミング企業となる予定でしたが、突然、中国当局に禁⽌されました。
理由は「テンセントのゲーム市場での⽀配⼒があまりにも大きいから」ということです。
【Douyu(闘⿂) ゲーム配信者⾼評価ランキング】
ライブ配信メディアトップDouyu(闘⿂)のランキングをひとつご紹介します。このランキングはユーザーではなく、ゲーム実況動画配信者の評価になります。
Douyu(闘⿂)のランキングは、テンセントなど資本関係のある大手ゲーム会社の意向が左右されると言われてはいますが、ここ3か月、ワンピースを使ったゲーム「航海王:燃焼意志」がNo.1に輝いています。
このゲームは2018年に中国アリババグループのゲーム会社Aligameによってリリースされました。
ワンピースは中国で多大な人気を誇っており、他に「航海王 強者之路」「航海王 啓航」といったゲームも存在し、さらに昨年は、Tiktokで有名なByteDance傘下のNVERSEから「航海王 熱血航線」が新にリリース。
App Store無料ゲームランキングでトップを獲得するなど大変な話題となりました。
既存ゲームの「航海王:燃焼意志」が、ゲーム配信者から評価1位となったのは、日本のIPを使用したゲームとして嬉しい限りです。
【Huya(⻁⽛)⼈気ゲーム】
人気No.2メディアサイトHuya(⻁⽛)では、ランキングの発表はありません。
ただ、今⽉の⼈気モバイルゲームが毎月紹介されており、今回は以下の9作が挙がっていました。いずれのゲームも中国では⼈気があり、⾼い収益を上げています。
尚、「⽕影忍者」は日本アニメ「NARUTO」のIPを使用したゲームです。
【bilibili(嗶哩嗶哩)直播⼈気ゲーム】
中国版の「YouTube」と言われるbilibiliでの人気作品で、現在の中国での流行を表していると推察されます。
ランキングはbilibiliの動向を掴む目的で、弊社が独自集計しています。
今回のランキングでの大きな変化は、⼈気タイトル「リーグ・ オブ・レジェンド」モバイル版の復活でした。
イベント広告画像
日本同様、中国でもゲーム会社は様々な施策を行い、ユーザー獲得、ランクアップを目指しています。参考までに中国のゲーム施策広告画像をどうぞ。
リーグ・オブ・レジェンド
リフトの守護者イベント広告画像
Fate/Grand Order
「ぐだぐだ邪⾺台国2021ピックアップ召喚」イベント広告画像
アークナイツ
リミテッドスカウト【循光道途】イベント広告画像
当局が実施している規制の影響
一見すると、どのランキングにもゲーム規制の影響が出てないようにみえます。
しかし、実際には今までとは大きく違ってきています。
ご紹介した各ランキングにおいて、既存ゲームのトップテンへの復帰は多く見られますが、過去頻繁にあったリリース後、脚光を浴びてたちまちランクイン!といったゲームはほとんど見られません。
なぜかというと、2021年8⽉以降、新作として世に出すために必要な版号の承認がおりないからです。
承認がおりないため、新作ゲームが世に出てきません。
新作として出ているものもありますが、それらは2021年8月前に版号をとっているものなのです。
⼀部の報道によると、中国は現在ゲームに対する新たなガイドラインを作っており、版号の承認を⼀時中断しているとのことで、いつ再開になるかもわからないそうです。
マンガ・アニメの世界ではすでに、わいせつで暴力的ものやボーイズラブなどへの規制が強化されており、今後それが既存のゲームにも及ぶのではと懸念されています。
企業への制裁はすでに始まっており、ゲーム業界の王者と言われたテンセントが、ゲームや広告分野で減益に向かい始めています。
ゲーム業界の構図にも変化がでていると言われ、テンセントに代わって世界的大ヒットゲーム「原神」を提供するmiHoYoの力が増しているとも囁かれています。
さらに、今回のゲーム規制は未成年者にフォーカスしているので課金層への影響はさほど大きくありませんが、今後、彼らが課金できる年齢にさしかかった時、どのような影響が現れてくるかはわかりません。
新しい風が入らないと空気はよどんでいきます。
世界を席捲するほどだった中国ゲーム産業に、このような末路がまっていたとは、誰が想像できたでしょうか。
ゲームの内容にまで規制が進めば、今まであの手この手を使って中国に進出しようとしてきた海外企業も二の足を踏むようになるでしょう。
アニメやマンガを輸出し、人気IPを様々なゲームとコラボさせてきた日本にとっても大打撃です。
もちろん中国の大手企業は,、今まで以上に海外へと活路を見出すでしょうが、アメリカでの中国企業の上場廃止など、自由に手足を伸ばすことは難しいかもしれません。
今後は、人口増加で勢いのある国インドや、政治的制裁が少なく芸術的表現に大らかな日本のゲーム企業への期待が増していくのではないでしょうか。
以上です。いかがだったでしょうか。
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