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【コラム】志賀直哉の書斎巡りからトライアスロンまで|手賀沼がつむぐ魅力と歴史

8月3日に手賀沼花火大会が開催された。毎年8月初週の土曜日に開催され、40万人以上の人が手賀沼周辺に集結する。手賀沼は柏市・我孫子市をまたぐ湖沼で、利根川の氾濫によりできあがったものだ。縄文土器の出土や古墳もあり、志賀直哉にまつわる歴史的な場所でもある。

手賀沼周辺には10種類以上の古墳と貝塚がある。いまだ現存していて現地へ赴けば確認できる遺跡もあれば、調査を行った場所として名前だけが残っている場所などそれぞれだ。我孫子市の下ヶ戸貝塚(さげとかいづか)は現地に看板があるので比較的わかりやすい。

貝塚とは、当時の人々の生活からでた生ごみを特定の場所に集め、時間経過とともに土砂と混ざりあい堆積していったものだ。アサリやハマグリなどの貝殻や魚の骨、植物や果物の種などが掘り出されるのはそのためだ。魚介類が発掘されるのは、海辺だったことの証明でもある。

手賀沼公園から徒歩10分のところに、志賀直哉の書斎がある。民芸運動の中心的人物に柳宗悦がいるが、彼の勧めで志賀直哉は晩年をここで過ごした。書斎で執筆した『暗夜行路』は、人生から体得しうる死生観を、直哉本人から感じとったものとして書籍に収められた大作だ。

冬になるとシベリアから渡り鳥が手賀沼にやってくる。渡り鳥のほとんどがカモの仲間で、2000羽もの大群が3000km南下してくる。北極圏のシベリアはエサが豊富なことから理想的な生活環境だが、極寒の冷え込みから餌場が凍ってしまうので、食糧を確保しに来るのだ。

2024年8月25日にトライアスロンも開催される。スイム1.5km・バイク50㎞・ラン10km、総距離51.5kmの3種目混合競技だ。個人枠は450名あり、4/15〜6/30に18000円を支払えば参加できる。10月27日には、手賀沼1周およそ21kmをランするエコマラソンも開催。

手賀沼は、歴史と文化とスポーツが混ざるところ。子供や大人の遊び場があり、一人でも複数人でも拒まない。開けた空のもと、のびのびと活動した後は「手賀沼温泉・満天の湯」で汗を流すのもいいだろう。手賀沼は人も動物も引き寄せる、生活しやすい魅力的な場所なのだ。


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