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GODILLA -1.0というカルチャーアイコン

ゴジラは世界中のカルチャーアイコンだ。映画館やオンデマンドで観たことがなくても、「ゴジラ」という言葉くらいは聞いたことがあるだろう。大きくて、ゴツゴツした、黒い怪獣。そんなゴジラは「人類の過ち」を表象するように生まれてきた。

「ゴジラ」は第二次世界大戦が終わった9年後にあたる1954年に映画館で上映された。本多猪四郎監督をはじめとして、音楽を伊福部昭さん、特殊撮影を円谷英二さんが担当。観客動員数は961万人というから驚きだ。終戦から9年後、という言い回しには意味がある。

日本はアメリカから原子力爆弾を実戦で使われた唯一の国だ。今はググれば知見を得ることもたやすいが、当時は図書館などで難しい本を読んだり、科学の分野に精通した人などから教えてもらわない限りは、原子力の原理や仕組みは知る由もないといったところだろう。

原子力のすごさとは、すなわち核分裂のはやさだ。一度エネルギーを加えると光の速さで周りに伝播していく。短い文章にするとこの表現で尽きるのだが、数学の世界において有名な公式として「E=mc²」がある。mが質量で、cが光の速さのことだ。

原子力爆弾は爆発してからが半端ではない。逃げ場として上空に向かうエネルギーは、雲ができる対流圏という領域のバランスを一点突破で真上に突き抜けることで、きのこのような形が出来上がる。それと同時に放射線と爆風が波状に飛んでくるのだ。

そんな脅威を実験ではなく実戦で2つも落とされた。そのような脅威が日本人の感性で恐竜に落とし込まれたのだ。大きくて、ゴツゴツした、黒い怪獣。ゴジラの誕生である。核戦争の恐怖を、動きまわる生命体に反映させて、作品として世界を蹂躙し続けている。

原爆が投下されたことでゴジラが生み出された。それ以降、世界では核の保有に対して、常任理事というかたちがとられている。平和を謳歌している現世すらもマイナス領域内での虚像で、すでに取り返しのつかない世界を進むことしか出来ないのかもしれない。


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