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街も文化も、祭りで色濃く混ざっていく。下谷神社大祭2024

東京の台東区は一年をとおして50以上ものイベントがあるのでじつに忙しい。とりわけ、5月は祭りが多いので賑やかだ。下町で一番早いとされる下谷神社の例大祭からはじまり、翌週には浅草神社の三社祭りと下谷の小野照崎神社大祭、上野公園の五條天神社例大祭とたて続く。

下谷神社は台東区東上野にあるのだが、名前は上野神社ではなく下谷神社とされている。というのも、台東区は下谷区というエリアだったからだ。これは明治維新後の東京において「東京市15区」という振り分け方がなされたことによる。

戦後の1947年8月から、焼け野原となった東京をデザインし直し、現在の東京23区に収まった。下谷区は台東区に改められ、台東区の東上野に位置する下谷神社として今に至る。だが、下谷神社の建立の歴史に注目すると、そもそも下谷区以前から、下谷と呼ばれていたようだ。

下谷神社は今から約1300年ほど前に、上野山に建立されたとある。誰が建てたかという部分とどんな名前だったのかという部分は諸説あるのだが、名前には昔から「下谷」という名前がはいっていた。「下谷惣社」「下谷稲荷大社」という塩梅だ。

戦争などが機転となり、移転を余儀なくされることもあったそうだ。下谷神社に祀られている御祭神も、「大年神〈おおとしのかみ〉」は豊穣の神、「日本武尊〈やまとたけるのみこと〉」は領土拡大の神であることから、生存と繁栄を願う心のあり方がうかがえる。

そんなこんなで2024年5月12日に、下谷神社で例大祭が催された。コロナウィルスによる自粛をはさみ千貫神輿も6年ぶりの登場である。昭和通りを一時的に規制し、縦横無尽に練り歩く担ぎ手たちは、さぞかし晴れるような想いで上野を闊歩したことだろう。


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