SPHERE+OLOGY

次世代のロジカルシンキングを創出してみたい。 思考「Train of Thought」…

SPHERE+OLOGY

次世代のロジカルシンキングを創出してみたい。 思考「Train of Thought」⇒体現「Train of Embody」⇒波及「Train of Ripple」⇒内包「Train of Inclusion」 まずは、この連続性の循環をコンセプトに文章を連ねる社会実験

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名前のない木 01章 序

記録と継承 私は少し特殊な背景がある一族の末裔である。 江戸時代の初期に再編纂された一族の家系図を記した「書」があるのだが、その記録を見る限り、当主の第一子(長男または長女)が次期当主となり、当主の家族は私の実家がある土地に代々住み続けてきた、とされている。 第一子が早期に亡くなったり、子孫を残せなかった場合は、第二子、第三子・・と序列が移っていく。女性は他家に嫁いでいるケースが多いため、基本的には婿養子ではない男性が当主を継承するケースが多かったのが、家系図から見てと

    • 「器が大きいと語られる人」

      「器が大きいですね」と言われて嫌な気持ちになる人は少ない。ただ、その評価に囚われ、追い求めることは危険性を孕んでいる。 「人の器」を見ることが習慣になり、人事の仕事をしていたこともあるので、「器が大きいと語られる人」とはどういうことか、を書き連ねてみたい。 ー 私は物心ついたときから、他者を「器」で表現することが好きで、口癖・言い回しの一つになっていた。これは祖父が夕方になると欠かさずに見ていた相撲中継で、「〇〇はうつわがでかいな」と賞賛する台詞を聞いたことが私の中のト

      • 「プロフィールを書いてみよう」に共感し自己紹介を書いていたはずが、気付いたら5万字近い文章になり途方に暮れた話

        はじめまして、SPHERE+OLOGY(スフィアオロジー)と申します。 noteという媒体を知り、約半月、毎日黙々と小説を上げ続けた結果、 自分の中で様々な収穫がありました。 いわゆる「やってみた」ならぬ「やらかしてみた」という 自己フィードバック記事になりますが、お付き合いいただけたら幸いです。 ※本題に入る前に、お伝えしたいことがあります。 そこそこ長い小説にも関わらず、 目を通していただいた方々がいらっしゃいます。 心より感謝申し上げます。 驚きとともに恐縮して

        • 名前のない木 24章 帰結編 了

          因果 祖母の記憶に触れ、全てが腑に落ちた気がして驚愕の表情をしているのが自分で分かる。 昨日の夜中に作成した「これから確認するべきこと」の箇条書きのメモをカバンに入れていたのを思い出し、メモを取り出して注視する。 祖母は不思議そうな表情で私の行動を見つめている。 ・台風の日、クヌギの木に死体があると、私が騒いだときの祖母の対応 ・次の日、朝早くから住職が来ていて、クヌギの木を拝んだこと ・祖父、祖母に私が何を聞いても、はぐらかされてきた理由 ・住職が私との接触を避けてい

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        名前のない木 01章 序

          名前のない木 23章 本質

          謎の本質 これまでは揺り椅子に深く腰掛けていた祖母は、背もたれがない簡素な椅子に座っていた私を横目に、くの字に曲がった腰をさすりながら、一度立ち上がり、浅く座り直す。 向かい合って座っていた私に祖母の顔が近づいた。 〇〇(先祖の名前)さまは分かるよね? 「分かるよ。元々はクヌギの木に名付けられていたけど、  その木で事件があったから、新たに植えられたサクラの木に名付けられた   ご先祖様だよね」 〇〇さまは、ほんとに波瀾万丈な人生を送った方でね (祖母は見てきたよう

          名前のない木 23章 本質

          名前のない木 22章

          祖母の告白 祖母は全く忘れていなかった。 それどころか、あの日何が起こったかを誰よりも克明に説明してくれた。 その内容は、母、父が話してくれた内容を裏付けし補完するものだったので、ここでは割愛する。 正直なところ、相違点や矛盾点が見つかり、祖母、父、母、それぞれの記憶内容の比較検証をすることを私は覚悟していたので、驚きだった。 しかし、この整合性の連続は、”適当に拾ったパズルのピースが、次々と狙ったところに嵌っていく”感覚であり、私は自然と笑顔になっていた。 ー 私

          名前のない木 22章

          名前のない木 21章

          祖母 久々の快眠がとれた私は、午前中からサービス付き高齢者住宅の入口にたつ。 祖母に会うためである。いつものように受付に入ると、面会者(私)の名前と相手(祖母)の名前を記帳する。 記帳すると、受付の職員が祖母がいる部屋に連絡をとり、面会確認がとれれば面会できるシステムである。 事務職員の顔ぶれは見慣れており、入口に入ると「あぁ〇〇さんのお孫さん」と先に挨拶が来るような関係になっていた。 自室にいる祖母から返答があり「面会できる」とのことで、3階の部屋へ向かい、スライド式

          名前のない木 21章

          名前のない木 20章 評価

          記憶と断絶 私は、「長年悩まされてきたトラウマの原因」と「謎」が同時に見えてきた気がする。 ⇒ 頭を打ちつけたことにより「私の記憶は一部が断絶していた」 ⇒ 母の告白により「何が起きていたのかの謎」の穴埋めが起きた ⇒ 父の告白により「私が夢でうなされた原因」を知った オカルト・心霊のみならず、占いやジンクスにも全く無関心である父が、「自分自身の行動が起因だったのではないか」と考えていたことは驚きだった。 「初めて聞いた話ばっかりなんで驚いたよ。  今年の台風で折れた

          名前のない木 20章 評価

          名前のない木 19章

          父視点 あの日のことを母さんから聞いたんだろ? ってことは順番云々の話も聞いたんだよな? 「聞いたよ、自分のうわごとで気付いた様子だったって」 そうなんだよなぁ 最初に聞いたときは「意味がわからん」と思ってたんだが、 『順番、順番』と繰り返すのを聞いてるうちに気づいたんだわ。 お前は覚えてるか?あの夏、おやじが足骨折しただろ? 「あぁ覚えてるよ、祖父ちゃん、足にギプスしたまま庭仕事してたからね」 そうだな、おやじ(私にとっての祖父)は毎年墓参りの担当だろ? あの年

          名前のない木 19章

          名前のない木 18章

          奇妙な果実 雑草が生い茂る荒地の中で、螺旋状に掘ったことでそこだけ草が生えていない状態になっていた。 ――ちょうど耕したようなカンジになっていいわねぇ・・・   何か木でも植えてみようかしら 母は掘り返された土を足で踏みながら呟く。 母と自宅に戻ったが、私は汗と汚れが気になったので、自宅にストックしてある甚平を自室だった部屋から持ち出し、シャワーを浴びる。 髪を乾かしてリビングに目を向けると、そこには一仕事を終えた父がビールを飲んでいた。 父の影響 父は母と結婚を

          名前のない木 18章

          名前のない木 17章 検証

          仮説の検証 ザクッ ザクッ 小石交じりだが、雑草ごと土を掘る。掘った土は横に広げて何もなければ同じ位置に埋める。そこまで暑くなかったのがよかった。 ただ、体を動かすことをさぼっていたためか、スコップのヘリに足を掛けるときに、太ももの筋肉が張る感覚が分かる。 これは筋肉痛になるだろうな、と感じたが、深さは30cmも掘れば十分なはずなので重労働ではない、と言い聞かせる。 同じ動作を繰り返す作業は、肉体と精神(思考)が分離する感覚が私は嫌いではない。仕事で重要なテーマを考えると

          名前のない木 17章 検証

          名前のない木 16章 仮説

          インスタントカメラ 「インスタントカメラはどこだ?」 これだけ行方不明になっていることに気付く。 思い起こせば、たしかにあの台風の後日、カメラを探し回った記憶があった。夏休みのサマーキャンプに一緒に参加した学校の同級生から、撮った写真を「見せて」と頼まれたときだ。 『そういえば、まだ現像さえしてなかった』とカメラを必死に探したのだ。 ところが、自室にあるはずなのに散々探しても見つからず、どこかでなくしてしまった、と諦めたのだった。 私は「どこでなくしたのか」を今回の母

          名前のない木 16章 仮説

          名前のない木 15章 考察

          衝撃 私は強く、ものすごい強い衝撃を受けた。 今回、母から聞いたこと全てが新事実であり、全くの盲点だったからだ。 幼い頃から自分の記憶力には割と自信を持っていたことが裏目に出た。 ー 私が4歳になる年の春、これから通う幼稚園の入園式の前日 予行練習として、母の自転車の後ろに座って通園コースの下見にいったのだが、その1往復で私は必死にコースを覚えた。 そして入園式当日 私は自転車で15分ほどかかる幼稚園までの道のりをひたすら歩いて到着し、一人で出席した。 前日の自転車で

          名前のない木 15章 考察

          名前のない木 14章

          母視点3 ミッシングリンク 険しい表情になってるお父さんに「大丈夫?」って私が質問しても、お父さんは私に目を合わせようともせず答えない。 あなたは「順番が大事」を連呼してるから、気味が悪くて。 お父さんはしばらくおし黙った後、あなたに向かって、 「そうだな、しっかりやるよ」 って返答したの。 そしたら、あなたは見開いた目をゆっくり閉じて、起き上がっていた上半身を下して横になって静かに寝たのよ。 それを見て、私は改めてあなたの体に外傷がないかどうかチェックしたけど

          名前のない木 14章

          名前のない木 13章

          「母視点2」 クヌギの木からは、母屋の玄関の方が近いでしょ? そこで引き戸の玄関の扉を開けようとしたら鍵が閉めてあった。 チャイムを鳴らしたら、おばあちゃんが玄関の鍵を開けてくれて。 その場で早口で現状を説明したら、おばあちゃんは更に険しい表情になって、「おじいちゃんを呼んできます」と居間の方に戻っていったの。 おじいちゃんがすぐに玄関にきて、私をチラッと見ただけで無言で靴を履いて、そのまま外に一人で出て行ったのよ。 おじいちゃんについていくべきかどうか悩んでたら、おとう

          名前のない木 13章

          名前のない木 12章

          新事実1 台風直撃の日、私は一人で外に出ていった。 これは私の記憶の中にも、これまで見てきた夢の中にも、 全くない新事実だった。 たしかに祖母が母屋に戻り、昼食をとった後の私の行動は、記述した内容通り曖昧で覚えていない。しかし「一人で外に出た」というのはありえない。 そんな特徴的な行動をとっていれば、忘れるはずがないのだ。 などと考えていると、母が話し出した。 私は、音声データの収集が癖になっていたのもあり、反射的にテーブルの上に置いてあるスマホの録音アプリを立ち上げ

          名前のない木 12章