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2013 シュガーボウル K-SPEX vs RIOTS on YouTube 紹介
今回、われわれ K-SPEX のベストゲームのひとつがアップされることになったので、ご紹介します。 チーム結成年にあたる、2013年のシュガーボウル、大矢一郎氏もスタンドで観戦している注目の一戦です。 思い出深いこのゲームは、選手のミスマッチを好守の戦術で消しきって、プレーコールのタイミングもチャレンジもほぼ完全、選手が十分よく機能した試合です。 このときのRIOTSのQB吉田選手は、私が見た中では女子タッチフットでもっともプレーコールが巧みなQBのひとりです。 相手DFの組織的な弱みを発見し、その弱点をゲームの流れの中でゆさぶりながら攻める名人で、とくに学生チームの弱点をつき勢いを消し去るゲームを何回も見ています。 クラッキなQBとレジェンドクラスのフィジカルなレシーバーを揃えるRIOTSに対して、小柄なエースを生かすための仕掛けを練り込んだ独特なシステムをもつK-SPEX。 そんな両チームのゲームは、隠れた駆け引きに、狙いをしぼらせないK-SPEXと、前後の揺さぶりで探ってくるRIOTSの戦術的好ゲームです。 前半は、K-SPEXの攻撃ラインが連携よく機能しましたが、後半はRIOTSの守備ラインがサックやディフレクトを連発。K-SPEXのパスを要所で封じ、引き分けの結果となりました。 RIOTS C吉田有里 5山本優子 6加藤さちよ 7漬岡風花 9岡崎真理子 15藤岡知沙 18吉田茉充子 38畑智子 51野村佳代 74西古千里 75阿部喜栄 76松田彩子 84濱本知子 K-SPEX C 石田智宏 C ポールバーナミー 1 渡邉智子 2 関根直美 5 菅原禎子 7 今田綾香 8 増子智美 10 渡邉麻衣 17 岩下幸恵 25 古川明穂 26 古屋麻衣 51 三津間恵 52 吉木由香 55 三津間静 83 蛯澤桐子
タッチフットの『それ以外の部分』~カットバックの縦上がりトレーニング
私たちはアスリート能力に自信がなかったので、『それ以外の部分』での優位性を追求してきました。 この動画は、タッチフット初心者にカットバックを身につけてもらうための、最後の段階のドリルです。間合いに入るときの足運びと、その後の縦上がりの感覚を習得します。 ※練習中なので、精度は高くありません(特に縦上がりができていません)。 これは、スポーツで初めてカットバックを踏むという人に、効率的なステップを理解してもらうメソッドです。 当時はアメリカのYouTubeやアメフトの英書テキストが情報元でしたが、カットバックを基本から説明する資料は見つかりません。 ハンドボールの日本代表コーチに聞いても、女子選手向けのカットバックメソッドは「特にない」とのことでした。 そこで、実際のゲームのビデオからステップの理論を確かめて、誰でも基礎から学べるようにしました。 ところで、ランアフターキャッチを「団体戦術」として考えたときに、優れたキャリアーとは「ブロッカーの背中をうまく使える」キャリアーです。 ブロッカーの背中を上手く使うためには、状況判断と競技特性に合わせた効率的なステップワークが必要になることは言うまでもありません。 では、タッチフットボールの競技特性に合ったステップとは何なのか。それは次回にします。
タッチフットの『それ以外の部分』~スナップ前にDFのゾーンをずらす仕掛け
今日も思いつきでタッチフットの楽しさについて書きます。 前回「シフト」で使ったプレーを、今回はモーションに変えて、ディフェンダーの認知のずれを誘います。 前回紹介した動画 https://note.com/ishidatomohiro/n/n424f0193079a と今回の動画は、別のゲームですが、同じシチュエーション(ゴール前3ヤード、DFは3-3システム)です。<左右は逆です> 前回のプレーでは、レシーバーがシフトして、SF(3-3のDBの中央)の視線を外したところへのGパスでしたが、今回はレシーバーがモーションして、タイトエンドくらいの位置まで動かしたところで即スタートします。 前回は、3-3のDBのうち中央に位置するSFの視点を外すのが目的でしたが、今回は、画面手前側の左CBのゾーンの変化の瞬間をついています。 微妙な位置へのモーションによって、アサインメントミスが生じ、左CBのゾーンがドロップダウンする(下がる)左エンドのゾーンとかぶり、中央のゾーンが空きました。 細かく言うと、DFは手前側のエンドが引いてのエンドゾーン4分けという任務です。 セット → 左CBの任務は左から2番目のゾーン → モーション → 一番左のゾーンに変わるか変わらないかのところ → スタート → 一番左のゾーンに変更するもエンドに伝えることができない → モーションマンに2人カバーした →中央のゾーンが空く → センターにパスがヒット ところで前回のDFはエンドゾーン3分けに漏れをセーフティー、という任務でした。相手のアサインメントを完全に見切ることはできませんが、ある程度は傾向を調べて、DFの認知をずらす仕掛けを考えます。 相手チームは、日本一の常連で、本当にタフでタイトなディフェンスを敷いてきます。ガッチリ向き合うとオフェンス選手にほとんどスペースを与えてくれない厳しい相手です。 こうした、技術優位、スピード優位などの優位性がなかなか発揮できない状況でも「認知の揺さぶり」を仕掛け続けることで、ディフェンスを崩すチャンスが生まれてくると考えています。 ▼その他の「揺さぶりの戦術」については、 https://note.com/ishidatomohiro/n/n40109760cf68 に書いてありますので見てください。
タッチフットの『それ以外の部分』~横に入るブロック練習のファーストステップ
タッチフットの楽しさについて続けます。 今回の動画は、パス以外のゲインを優位に運ぶためのブロック練習のまさにファーストステップのドリルをおこなうシーンです。ブロック練習をする初日の映像です。 これは、初めてタッチフットをする人に、効率的なブロックの概念を理解してもらうためのメソッドです。われわれの最強ブロッカーはいつもここから生まれます。 練習では「縦に組まずに横に入る」ことを確認します。ブロックできても縦に組むのは次につながりません。この動画のようにDFが次の瞬間に動くであろうポイントに入り込むことを身につけます。 この戦術的なポイントは「体力を使わずに判断を向上する」ところです。 全国のうち限られた3~4チームを除いては、最後に必ず自分よりも運動能力が高い選手とマッチアップすることになります。(私たちはいつも全国ベスト8かベスト4でそうなります) そのときにフィジカル優位で身につけたプレーは通用しないため、あらかじめ体力を使わずにフィジカル劣位で通用するプレーを体得します。 (われわれはいつも小チームで攻守兼業の中、大きなチームと戦いますので、その意味でも『エコモード』とよぶスタミナを使わない戦術を必要とします) タッチフット(アメフットもフラッグフットも)のパスゲームは「パスを捕球するまでのゲーム」と「パスを捕球してからのゲーム」という二種類のゲームがミックスされた構造だと以前述べました。 そのうち、捕球してからのゲームを優位に進めるファクターは、ブロックと走法(カットバック)です。 タッチフットは自由なスポーツなので、自分で好きなように上達すればよいと思いますが、チームの全員が素質によらずに確実なレベルアップをするには、適当で易しい練習メソッドが役に立つのは言うまでもありません。