テキストカバレージ「やわたCS2ブロック決勝戦」2023/7/1 2ブロック最強のデッキビルダー VS 2ブロック最強のボルシャック使い
デュエル・マスターズには古来より3すくみ環境、という言葉がある。
デッキタイプとしてのビートダウン(アグロ・速攻)、
コントロール(受けデッキ)、ループ(コンボ・ソリティア)の3種類に分類されるデッキが環境に存在し、ジャンケンのようにそれぞれ有利不利がつきやすい環境のことを指す。
ビートダウンデッキは、デッキの回転率を重視し、守りのカードを減らしがちなループデッキに有利がつきやすいが、受けとなる守りのカードが多く採用されているコントロールに不利になる。
ループデッキは、相手の受けに関係なく勝利できる関係でコントロールには有利がつくが、キルターンが速いビートダウンに不利になる。
コントロールデッキは、対応力を活かしてビートダウンデッキを刈り取ることができるが、相手とプレイの会話をしないループデッキに不利になる。
このように(多少のブレはあれど)じゃんけんのように相性が決まっているデッキで環境が構成されると、1つのデッキが飛び抜けて強い状態よりメタゲームとして安定する。
昔でいえば2013年のE3期で白刃鬼、ヒラメキスネーク、墓地ソース+黒緑速攻の環境だったり、
少し前であれば双極編の赤白轟轟轟、ジョラゴンジョーカーズ、チェンジザダンテ、の環境だったり、
現代であれば赤単我我我、サガループ、4c邪王門の相性とでも言えば伝わるだろうか。
しかし2023年度の2ブロックフォーマットは攻めるデッキと受けるデッキの2つが凌ぎを削る環境だった。アビスロイヤル、赤単ボルシャックのようなビートダウンに対して、受けギミックのある青黒タマシードや青白ライオネル、白単メカなどがそれを迎え撃つ。
緑単ジャイアントなどのビッグマナもいないわけではなかったが、ブーストするカードが少ない関係で環境で存在を主張できるほどではなかった。
だが6月後半、GAR編の新弾である「忍者乱舞」が発売され、長らく環境が変化しなかった2ブロックフォーマットに、新星のようなデッキが現れた。
「ウィリデ・ゴルギーニ」と「ホワイト・スワン」を中心とした青白トリガービートである。
前弾環境までに存在するデッキが赤単ボルシャックや黒単アビス、青黒タマシードなど、最終的に殴ってフィニッシュするものばかりであることを見出し、耐久と新たに獲得したループ用のカードを取り入れて安全にフィニッシュする、完成された美しいデッキ。
このデッキの優勝は瞬く間にプレイヤー間に伝わった。
そして今週。プレイヤーはこの鉄壁の守りをほこる牙城を使う側になるのか、それとも攻略する側に回るのか、はたして。
2ブロック最強のデッキビルダーVS2ブロック最強のボルシャック使い
結論から言うと、先程紹介したトリガービートは決勝戦に現れることはなかった。思ったよりも使用者が多くなかったことと、今日会場に集まったプレイヤーのほとんどは鉄壁の守りを崩す側に回ったからだ。
そして今回決勝戦まで駒を進めたのは、どちらも長年2ブロック環境を戦ってきた者たちだ。だが、2人とも決勝戦にくるまでの歩みは全く違うものだった。
1人はカツオの刺し身。
普段オリジナルやアドバンスなどのデュエル・マスターズCSにはあまり顔を出さないが、彼はこの3年間、常に2ブロック環境に影響を与えるデッキを作るビルダーだ。
アナカラー基盤を彼に与えることはループデッキの誕生を意味する。今年度は新環境で<ディグル>で<繁茂のコイン><知識のコイン>を連打しつつ無限追加ターンを獲得する青緑ディグルを、
昨年は<水の魔術師マジックス>と<QQQX/追葬5.S.D>を取り入れたアナカラーハンデスを完成させて5cザーディクリカ1強環境を打ち破りメタを回し続けてきた。
もちろん今日も新弾のカードを取り入れた新たなデッキを完成させて順調に決勝戦まできている。
余談だが、彼はコロコロ誌でお馴染みのポケモンカードゲームで世界大会に出場することが決まっており、筆者も彼がようやく表舞台に出ることを嬉しく思う。
そんな彼が今日使用するのも新作であるアナカラーつわものループ。
彼の代名詞でもある<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>+<ブレイン・コンチェルト>の組み合わせはデッキに組み込まれているが、今日は相手のシールドをブレイクする気はない。
デッキ開発部のユウヤくんが放った名言、「クリーチャーでアタックしてるのが少し残念だねー」とでも言うかのように、ループの果てに相手の山札を破壊する。
そんなカツオの刺し身とは対照的に、右手を光らせてデッキと心を通わせることが得意なのがもるとである。
彼もカツオの刺し身と同じくらいの期間、2ブロックフォーマットを研究してきたプレイヤーだ。
普通のプレイヤーであれば前回大会で辛酸を舐めさせられた天敵のデッキであるトリガービートの母数が増加しそうな今回も前回大会同様、赤単ボルシャックを駆って決勝まで登ってきた。
本人曰く「青白スワンを1週間で完璧に使いこなせる人はそう多くなさそうだし、むしろ立ち位置がよくなりそうだからデッキを変えなかった。」というメタ考察を見事に当てる読みとプレイの勢いや肝が据わっていることは確かだ。
今回こそ優勝することができるのかが見ものである。
GAME1
じゃんけんの結果、先攻を取ったのはカツオの刺し身。キルターンが速い相手に対して値千金の先攻をとり、
<荒廃と豊穣の決断>をチャージしてターンエンド。このカードはデッキの潤滑油となるキーカードの一つでもある。
それに対してもるとは<レーホウ・衛・デカッチ / 「暴竜爵様のお出ましだッチ!」>をチャージしてターンエンド。
カツオの刺し身の2ターン目。ここで2マナのブーストをプレイし、スピード勝負で遅れを取らないことが大前提だが、
カツオの刺し身がマナチャージしたカードは、横向きでセットされる。
チャージしたのは<ナーガの海黒環>。2ターン目にカードをプレイできない手札事故が起きている。
そんな苦しい展開を強いられているカツオの刺し身とは対照的にもるとは<アシスター・コッピ>を場に出すブン回り。
「なんでちゃんと (アシスター・コッピを) 持ってんの」と言いたげな顔になるカツオの刺し身。
3ターン目はループパーツ兼初動を兼ねる<モノクル=ドクトール / 「すべてを見通す眼だ」>をプレイし、互いの山札を削りながらマナを伸ばす。やはり先程無駄になった1ターンがかなり響いている。
続くもるとはずっと持っていた2ブロック版<爆熱天守バトライ閣>である<ボルシャック・バラフィオル>を設置してドヤ顔でターンを返す。
たしかにタマシード状態のこのカードを除去できるカードは前弾環境では少なかったため、場に出すだけでも相当なプレッシャーになる。
だがカツオの刺し身も隠し持っていた<邪招待>でこれをすぐさま除去。ボルシャックの黄金ムーブに待ったをかける。
盤面は更地になったが、カツオの刺し身に安堵した表情はない。本当は<デスマッチ・ビートル>まで添えてターンを返したいところだったからだ。
1ターン。本当に1ターンだけ、カツオの刺し身が無防備な状態でもるとにターンを返す。
だが、最強のボルシャック使いはそんな隙を見逃さない。
もるとは手札を全て盤面に叩きつけ、勝負を仕掛ける。
<アシスター・コッピ>3マナになった<クック・轟・ブルッチ>から1マナで<ボルシャック・アークゼオス>が発進!!
そしてここから新弾によって強化されたアーマード・メクレイドの真の力が牙を剥く。
<ボルシャック・アークゼオス>から繋がるのは、新弾で登場した<太陽との邂逅>!!
単純にアーマード・メクレイドの試行回数のかさ増しとデッキ圧縮を可能にする<太陽との邂逅>から<ボルシャック・アークゼオス>、<太陽との邂逅>、<クック・轟・ブルッチ>と連鎖させ、1枚から一気に盤面を築き上げる。
これが太陽との邂逅を果たした暴竜爵の連鎖力。ボルシャックは新弾で試行回数を重ねた果てにデッキ内の望むカードにたどり着くメクレイドの力を手に入れた。
そして気がつけばもるとの盤面にはカツオの刺し身にとどめを刺すだけの打点が溢れかえる。
もるとの目にはもう、迷いなんてものはない。持てる力を全て攻撃へとぶつける。
そして残念ながらカツオの刺し身のシールドに、この大軍勢を止められるカードはなかったのだった。
そして試合終了後、顔が引き攣っている筆者の前で、もるとは満面の笑みでこう叫んだ。
「ボルシャックこそが本物だ!!!!」と。
WINNER もると
「2ターン目にブースト出来てたら勝ってたんだけどなー」
試合後にそう話しながら公開されたカツオの刺し身の手札には<ナーガの海黒環>と<絶望と反魂と滅殺の決断>があった。
もし仮に2ターン目にブーストに成功していた場合、
3ターン目に<ナーガの海黒環>で1ハンデス、
4ターン目に<絶望と反魂と滅殺の決断>で2枚のリソースを刈り取ることができていた。
もるとが後手で手札6枚スタートであることを考えると、2ターン目に<アシスター・コッピ>で手札が4枚、
3ターン目には<ナーガの海黒環>によるハンデスで手札が3枚、4ターン目に<絶望と反魂と滅殺の決断>で2ハンデスまたは面の<アシスター・コッピ>+1ハンデスで手札が2枚程度になっていたことになる。
そしてもると側は<ボルシャック・アークゼオス>が素でSAを持っていないことから<クック・轟・ブルッチ>を経由してカードをプレイすることに加え、アークゼオス1枚から連鎖してカツオの刺し身のコンボが始動しないターンに突っ込む必要があったというとんでもない要求を通していたことになる。
だからあの2ターン目が勝負の分け目だったと言えるだろう。
たらればを語ることは何の意味もなさないとはよく言われるが、もしかしたらカツオの刺し身が勝っていた未来もあったのかもしれない。
これをもるとのプリンス・カイザのような運命力と捉えるか、デッキの相性差ととるか、はたまたじゃんけんかの結果と見るかは皆さんの判断に任せることにする。
大会結果
今大会トップ3カード
第3位 <der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>
ここ2大会で急激に採用率が上がったカードがある。
それがこのツインパクトカードだ。
これまでは青黒タマシード、前回大会では青白ホワイト・スワン(トリガービート)での活躍が注目されたが、今週はなんとアナカラー系統のデッキや青単のマジック・メクレイドなどでも採用が増えて、顔を見る機会が多かったカードになっている。
やはり<神の試錬>のような追加ターン獲得効果と、山札がない状態でもゲーム続行を可能にするカードはフィニッシュとしては分かりやすいだろう。
もちろん上面も2ブロック環境では貴重なエレメント除去であるので使い勝手がいい。今後も活躍することは間違いないので、3位に選出。
2位 <モノクル=ドクトール / 「すべてを見通す眼だ」>
決勝戦ではカツオの刺し身選手のコンボが決まる前に瞬殺されてしまい、とてもではないがいたたまれなかったので、この場で何をするデッキなのかを解説しておきたい。
このアナカラーは簡単に言うと<モノクル=ドクトール / 「すべてを見通す眼だ」>で相手のLOを狙うループデッキである。新弾でようやく登場したマナ回収である<ファンタジスタ・ライフ>と<ブラッディ・クロス>内蔵のチャージャーが出たことで成立した。
1 まずは場に<ナーガの海黒環>を用意し、デッキを5枚以下にして<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>を打ち、追加ターン。
2 次に<すべてを見通す眼だ>をプレイして相手のデッキを削り、<ファンタジスタライフ>ですぐさま回収。
3
<ブレイン・コンチェルト>または<♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今>で墓地の<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>と<ファンタジスタ・ライフ>をデッキに戻して、<ナーガの海黒環>で1ドロー。
4 追加ターンで同様の挙動を行なってLO。
ループルートに多少の間違いや分岐はあるかもしれないが、おおよそはこのような手順を繰り返すことで相手の山が消し飛ぶ。
独力でここまで完成させたその努力と才能に敬意を表したいと感じたため、2位に選出。
1位 デスマッチ・ビートル
いつの間に再録した?という感想が出てきそうなこのメタカード。実はデュエマフェスパックの参加賞にさりげなく入っているため問題なく使えるのだが、このメクレイド環境においてこのカードの影響力はとんでもなく大きい。
もともとパワーが高く、ジャイアントの軽減のサポートになることが公式の狙いなのだろうが、このカードが場に出るだけで機能不全になるデッキは少なくない。
白単メカメクレイドや青単マジックメクレイドなんかは除去カードがほとんど入っていないため、<デスマッチ・ビートル>が複数体並ぶだけで展開を全て止められてしまう。メクレイドで場に出るクリーチャーをほとんど倒すことができてしまうのだ。
カツオの刺し身選手のデッキにも4枚採用されている通り、今後2ブロックで自然文明を採用するメリットになり得ることを考慮し、1位に選出。
あとがき
こんにちは。Feiです。ここからは文章が砕けたものになりますので、苦手な方はブラウザバックしてください。燃え尽き症候群発症しているので、ネガキャンもします。筆者はメインは雰囲気を守るためにちゃんと真面目にやるけど、あとがきはどんなにふざけても何書いてもいいと思ってます。
今回の結果としてはみんなが青白ホワイトスワンを倒そうとビッグマナ系やコントロールなどのデッキを組んできた結果、防御のガードを下げたデッキが増え、それをボルシャックがカモにし続けた、と解釈するのがいいと思います。
カジュアるデュエマGAMEsで紹介されていたようなマジックメクレイドやメカも増えましたが、それらをアナカラーつわものループが倒したと見ていいでしょう。
次回は出力が一番高いボルシャックを使うか、ボルシャックをメタって青白ホワイトスワン・青白ライオネルを使うか、ボルシャックを避けてアナカラーでループするか、のどれを選ぶプレイヤーが多いのかで優勝が決まるのではないでしょうか。まぁミラーがクソ不毛なんですけどね?これが冒頭でいった3すくみ環境です。
初めての方はボルシャックがおすすめです。楽しいし。
赤単ボルシャックって中身は赤単アークゼオスってレベルでアークゼオスに頼り切ってるんですけど、太陽との邂逅が出たせいで、アークゼオスが出るまでメクレイドできちゃうようになっちゃって、馬鹿に出来ないんですよアレ。
赤単でゴリラみたいなことやってるんですけど、ゴリラが賢く面広げながらついでに盤面も制圧してくるんです。怖くないですか?しかも1回ブレたら止まらないし。
まぁ2ブロのプレイヤー増やしたいのでこうして情報を発信してますので、いろんな情報を参考にデッキ選択をしてください。それでは。
おわり
激動のガイアッシュ期が終わり、我我我期へとプロモも切り替わったことで、7月からは以前よりもCSの参加者が増加したような気がします。
自分は刃鬼で使う用に自力でガイアッシュのプロモを入手するのが上半期の目標でしたが、結果はGPも含めて奮わず。周りは結果が出ていたのもあってしんどいシーズンになってしまいました。サガループ1本でひたすらCS会場に足を運んでいましたが、いつも決勝戦で勝てない。プレイが足りないのか、メタ読みか、リストの調整力不足なのか。それとも運か。何が足りないのかも分からないまま終わってしまいました。
どちらかと言うと自分はこのカードゲームにゆるく向き合ってきたので、勝ちにこだわる競技として向き合うということは、どれほどしんどいのかを思い知る期間だったと思います。やはりランキングを走るランカーは気力、情熱、財力の全てを懸けているのだと改めて思いました。
先週自分の代わりにカバレージを執筆してくださったあーくん(敬称略)にランキングを走るということはどういうことなのか聞くのが一番です。間違いなく彼はデュエマ史に残るレジェンドの1人でしょう。
そんなわけでやはり自分は持ってないない側の人間なんだなと、ガイアッシュ期が終わった6月30日に思っていたわけです。
そしてその翌日。多くの人は新たなシーズンの始まりに胸を躍らせる中、自分はなんとなくCSに対するモチベーションが消えていました。殺伐としたCS会場に居続けるのに息苦しささえ感じていたのかも知れません。我我我にあんま嬉しさがなかった。
でも、ルーティーンと化していた生活が染み付いていたおかげで足が本八幡に向かっていました。
そして会場に着いたら目に飛び込んでくるんですよ。楽しそうにデュエマしている人の声や姿。現実に負けて病みかけの人間がほんとに救われました。
3ターン目から決着することが多く、常にミスしたらすぐに負けに直結するオリジナルやアドバンスとは違う雰囲気のデュエル・マスターズがそこにあったんです。お陰で2ブロくらいはもうちょっと頑張るかと思えました。
2ブロックは実力差が出るゲームで、やればやるほど成果が出るのがいい、とあーくん(敬称略)は言っていましたが、自分はそれだけではないと思います。
最新の使いたいカードを使って、誰でも子どもの時みたいに友達とふざけてゲームをやっていた雰囲気で、相手と長い時間向き合うデュエマがあるのが2ブロックのいいところだと自分は思います。ファー甘い甘い!!とかボルシャックこそが本物だ!!とか言いながら。
7月から2ブロックCS強化月間とでも言うかのように開催されますので、興味が湧いた方は是非お越しください。
デッキリスト探しは#DM2ブロ2023で検索です。
それではまた。
ほんとにおわり
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