サイトのユーザーインタビューで必ず確認している4つの項目と、ページの改善以上にわかる1つのこと
メモ書き程度の内容です。私がウェブサイトの分析を行う際には、許されれば、定量的なアクセス解析調査に加え、定性的な「バイヤーペルソナ」調査を行うようにしています。これは、名前の通り「バイヤー(顧客、もしくは、顧客となり得る人)」を掘り下げる調査のことで、これを行うと、サービスの購買条件を明確になり、何をしたら良いかがわかるなるようになることが多いと実感しています。
属性だけじゃないペルソナ?が気になった
ペルソナには少しこだわりがあります。6年前、私は幸運にもDigital Analytics Association(DAA)のDAA Essential Series"というコースのApplying Web Analyticsという講義をサンフランシスコで受ける機会がありました。有料講座のため詳しい内容はこちらには書きませんが、その中で一番気になった項目がペルソナの部分でした。講義はすべて英語だったのですが、「ペルソナはいわゆる属性のことではなく、ユーザーの行動の元となる考え方のことだ」と教えていただいたことにひどく感銘を受けました。
講義では、ユーザーのタイプを大きく4つに分けて、それぞれがサイトで遷移をするための導線やコンテンツを設置することの重要性が説かれました。ただ、半日講義の中の一項目だったのと、私の英語力の問題で概要はわかったものの、それをどのように応用したらよいか(どういった手順で自分の分析に取り込むか)がわかりませんでした。いろいろと探しまして、一番応用しやすそうだったこちらの「BUYER PERSONAS」という本に出会いました。
ユーザーのサービス検討条件をウェブに置き換えた
BUYER PERSONASは、ウェブサイトの分析だけでなく、もっと広くユーザーの行動を対象にしており、下記の5つの項目をインタビューをもとに明らかにしていきます。
1.このサービスを選ぶ際に必ず備わっていないといけない条件は何か?(Priority Initiative)
2.このサイトのサービスにはどんなことを期待するか?(Success Factors)
3.サイトの情報を読んでいて、心配や不安になったことはないか?(Perceived Barriers)
4.もし、同じようなサービスがあったら何が比較基準になるか?(Decision Criteria)
5.購入を決意するまでのプロセス(Buyer's Journey)
DAAでは、「ペルソナはいわゆる属性のことではなく、ユーザーの行動の元となる考え方のことだ」と教わりましたが、私の中ではこのBUYER PERSONASでの5つの質問は、ウェブサイトのコンバージョンを増やすために、少し組み替えて使えるんじゃないかと思い応用しながら、少しずつサイト改善に使用できるフォーマットに改良してきました。
※公式サイトに、実際の例が載っていますので、是非PDFを閲覧してみてください。
実際の調査のフォーマット
前置きが長くなりましたが、実際の調査フォーマットについて説明します。
・適しているウェブサイトの種類:
B2C、B2B問わず中・長期の検討商材(結婚式場、家、自動車、システム 等)
・被験者:
5名(ウェブサイトの顧客になりそうな人、昔、類似のサービスを利用した人に募る)
・インタビュー時間:
1人30分程度
・インタビュー方式:
簡単なアンケートの後に、電話でのロングインタビュー
※決して答えの誘導は行わず、なぜ被験者がそのように考えたのかを掘り下げるだけにとどめる
・ユーザーにする4つの質問(ほぼBUYER PERSONASのものと同じ):
1.このサイトに載っているサービスを選ぶ際に必ず備わっていないといけない条件は何か?(Priority Initiative)
2.このサイトのサービスにはどんなことを期待するか?(Success Factors)
3.サイトの情報を読んでいて、心配や不安になったことはないか?(Perceived Barriers)
4.もし、同じようなサービスがあったら何が比較基準になるか?(Decision Criteria)
※5番目の質問は割愛しています。ウェブサイトの分析だけでカスタマージャーニー全体をとらえるのは難しいと思うので、クライアントが行っている集客施策全般が何かを確認することにとどめ、何がきっかけでサイトにユーザーが訪れているのかだけを把握するようにしています。
・調査のまとめ:
ユーザーのプロフィールと回答内容を詳細に書いたものと、要約したものを作成します。シンプルな表で構いません。
調査から抽出できる1つの情報
アクセス解析レポートをしっかりと作成し、データで裏付ける必要がありますが、このバイヤーペルソナ調査を行うことで、具体的な施策へのヒントにつながることが多いです。なぜかというと、ユーザーがサービスを検討する際に、必要な情報が足りていないことに気付くことが多く、サイトの表現の方針を見直すヒントが得られるからです。例えば、以下のようなことがわかりコンテンツやマイクロコピーの見直しが具体的に提案できました。
・イベントサイト
ユーザーはサイトの情報を見て、具体的な知識を学べないのではと実は心配していた。
・結婚相談所
ユーザーはサイトに載っている華やかな結婚のイメージ画像も好きだが、それ以上に、どういった相談員が対応するのかがすごく気になっていた
・船の販売サイト
ユーザーはかっこいい写真もイメージをつかむうえでは好きだが、実際にその会社に自分の希望のカスタマイズができるのか、そのための技術や提案力があるのかが気になっていた
まだ、しっかりと言語化できていない部分も多いのですが、こうした発見から得られたヒントをもとに改善をすることで、サイトの改善につながっていることは確かです。こうした手法を引き続き極めていきたいと考えております。
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