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三島由紀夫を殺そうとした女

今はもう忘れられた名前かもしれない。ちだ・ういという女性がいた。都立高校を中退後、フーテン族、アングラ族のたまり場だった60年代新宿デビュー。ハプニング(今でいうパフォーマンス)のプロデュースなどをするかたわら、テレビのリポーターなどをやっていたらしい。
三島由紀夫の作品、キャラクターすべてに傾倒、三島を愛するがゆえ、三島を殺さなくてはいけないという妄想に憑かれ、『アフタヌーンショー』出演時には、三島由紀夫の写真にパネルに割れたビール瓶を突き立てるパフォーマンスを披露、殺害予告とした。本人自体はバイセクシャルだったようである。※上の三島由紀夫強姦宣言は、『平凡パンチ』1968年5月13日号。
まさに、”ウォーホルを撃った女”ヴァレリー・ソラナスの日本版といった感じだ。

ヴァレリー・ソラナス。幼児期より実父から性的虐待を受けて育つ。作家を志し渡ったニューヨークでは、売春で生計を立てることを余儀なくされた。レズビアンかつ狂信的なフェミニズムの持主で、SCUM=Sociwty for Cutting Up Men(男性皆殺し協会)を立ち上げるも賛同者はほとんどいなかった。同時期にアンディ・ウォーホルのファクトリーに出没。ウォーホルに自信の原稿を捨てられたと思い込み、彼を銃で撃つが未遂に終わる(1968年6月)。出所後もウォーホルに再三ストーキングした。「男は歩く張り型で寄生虫。生きる資格はない」が持論。

実際、ちだは、凶器を手に三島邸の周辺をうろついていたこともあったが、家から出てきた三島が意外なほどの好人物だったことに「がっかりして」殺害を思いとどめたという。
その後は、海外に渡り英国人と結婚するが、幼い長女との死別を機に離婚、帰国。有為エンジェルの筆名で数本の小説を発表。神秘主義に傾倒していた時期もあるのか、クリシュナムルティの翻訳もてがけている。現在はドイツに在住しているらしい。

ちだ・うい自作自演(当時18歳)のレズビアン・ヌード。ご本人の初体験は小学校5年のときで、相手は「小さい子にイタズラするのが好きな」ハンサムの高校生だとのこと。

60~70年代初頭の新宿は、こういう人がウヨウヨしていたんだよね(三島由紀夫もよく新宿のゴーゴーバーに出入りしていたらしい)。まさに、カウンター・カルチャー、アバンギャルド、アングラ、セックスが渦巻くミニ・ニューヨークの感がある。

おまけ

ヴァレリーによってつけられた銃創を見せるウォーホル。


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