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 目からビーム!48 習近平の冊封、その狡知

 ローマ法王が来日、天皇陛下と会見される。せめてもの幸いは、新天皇が最初に握手される海外要人が、ウイグル・チベットを血に染め、香港良民に銃を向け、わが国の尖閣諸島を狙うあの男ではないということだ。
 習近平は副主席時代の2009年に一度来日、そのときは、宮内庁の定める「一カ月ルール」を破る形で先帝陛下との会見をゴリ押ししている。なぜそこまで彼が天皇会見にこだわったかといえば、当時、国家主席の座にあった胡錦涛がやはり副主席時代に天皇会見をはたしているからで、つまり自分は胡錦涛の後継者、次期首席であるということを内外にアピールするためだといわれている。
 これは言い替えるなら、天子(皇帝)に拝謁し「王」の印を受ける冊封そのものではないか。そして今度は新しい天子に、臣下の「王」として挨拶に伺うというのである。
 中国人は2千年続く日本の天皇の権威というものをよく理解している。だからこその冊封パフォーマンスなのだが、それは何も彼らが天皇陛下に尊崇の念を抱いているからではない。彼らなりの天皇の政治利用、外交利用に他ならないのだ。
 1992年、先帝陛下の中国訪問があった。天皇の訪中は初であり、中国側の強い要請を受けた自民党内の媚中派によってこれはお膳立てされている。世界で唯一のエンペラーである天皇の訪問は、天安門事件以来、孤立を続けた中国が国際社会に復帰する突破口の役目となった(銭其琛元副首相)。要するに天皇の権威が政治利用されたわけだ。
 中国人のこの狡猾さに比べれば、韓国のように天皇を「日王」と呼んで留飲を下げて喜んでいる態度は児戯の類に見えてくる。
 天安門は今からちょうど30年前の1989年のできごとである。くしくも平成の御代替わりの年だった。令和元年の今年、香港が第二の天安門になろうとしている。日中新冷戦の中で、中国が再び世界から閉め出しを受ける可能性がある。今回の習近平国賓来日および天皇会見を、そのときのための大きな保険にしたいところだろう。
 今上陛下の訪中を目論む自民党内の獅子身中の虫は誰?
 
(初出)八重山日報

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(追記)
習近平の来日について触れているから、これを書いたのは2009年ということになる。
周恩来、胡耀邦、そして今般の李克強の死。歴史は繰り返すというが、今、習近平が一番恐れているのは、第三次天安門事件の勃発では。日本はもう絶対にかの国を助けてはならない。天皇の政治利用はあってはならない。
それにしても、ぞっとしたのは、両陛下の訪韓の噂である。岸田政権なら充分ありえるというのが怖いところだ。


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