目からビーム!8 国連で放たれた「琉球共和国」の寝言
先日、ニューヨークの国連本部で開かれた「先住民問題常設フォーラム」に「琉球続独立総合研究学会」なる団体のメンバーが参加し、沖縄の人々は先住民族であり、沖縄は事実上日米の植民地状態にあるとして、独自の「琉球独立論」を主張したという。
国連がその手の左翼活動家の示威運動の場と化しているのはよく知られたことで、さしたる驚きはないが、そもそも琉球独立なるものはあまりに現実離れした話であることは当の活動家たちが百も承知だろう。
100万歩譲って、独立が現実を帯び、沖縄本島が琉球共和国の建国へと向かうとして、そのとき先島の人々が「俺たちは琉球ではない。日本に残る」と言い出したらどうなるのだろうか。琉球共和国は九州と先島に挟まれた飛び地のような独立国になってしまう。当然、
日本政府は防衛のために石垣に自衛隊を置くだろう。
今でも先島のお年寄りの中には、自分たちもひとからげに「琉球」と言われることに強い反発を示す人がいると聞く。琉球王国時代の過酷な支配と差別の記憶が遺伝子の中にしみついているのだ。その過酷な支配の象徴が人頭税である。画家の岡本太郎は米軍政下(昭和34年)の沖縄を旅し『沖縄文化論』を書いた。その中で太郎は、波照間島滞在中どこへ行っても琉球時代の人頭税の恨みごとばかり聞かされて閉口したと記している。植民地支配とは本来、こういうものをいうのではないか。
先島と本島では方言も大きく違うという。本島と先島の漁師さんが話すときは標準語を使うのだそうだ。本土と沖縄とはまた別の次元の距離が先島と本島の間に存在するのかもしれない。
先島には本島に対する抵抗の歴史がある。オヤケアカハチの乱は失敗したとはいえ、出身地とされる波照間島の島民にとっては今も誇りなのだ。
「琉球民族独立総合研究学会」共同代表の松島某氏、なんと石垣の出身なのだという。ここは琉球独立など大風呂敷を広げず、まずは自称・先島県暫定知事とでも名乗って沖縄からの独立でも画策した方が手っ取り早いのではないか。
初出・八重山日報