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ストーンがロックして苔のむすまで

A rolling stone gathers no moss(転石、苔を生ぜず)

『ミュージックマガジン』誌に掲載された五木寛之とキース・リチャーズの対談が面白い。まず五木が、キースに「マイク・タイソンの試合を見にいったそうだけど」と切り出し、試合前に日本の国歌の独唱があったのを憶えているか、と水を向ける。

――『君が代』ってタイトルです。
「どうも国歌というのは好きになれなんだよ。どこの国のにしてもね、だって退屈だろ? どれもお決まりの文句で…まあ、ああいう場で国歌を歌う理由は分からんわけではないし、一応は立って敬意は表すけど、俺の方がもっとマシな曲が書けるんじゃないかな(笑)」
――でも、あの国歌の歌詞の中には、Rollng Stone とRockという言葉が両方とも入っているんですよ。
「へえ。本当かい?」
――小さな石ころがロックになり、コケが生えるまで皇室の歴史が続くようにと。ローリング・ストーンズのコンセプトとは正反対ですが(笑)。
「ハハハ…こっちはもうすでにかなりコケだらけさ」

キース、そしてミックとの対談は単行本『一期一会の人びと』(中央公論社)にも収録。

「国歌はどれもお決まりの文句」じゃないことを、キースにはおわかりいただいたのではないだろうか。
 それにしても粋な対談だったね。音楽界の悪童のようなキースでさえ、国歌には、起立して敬意を払うという。日教組の先生方に聞かせてやりたいぜ。
 先生といえば、大分の中学校で、生徒が昼食の時間、校内放送で『君が代』をかけたところ、先生から「ふさわしくない」と指導を受けたというニュースが話題である。当の生徒はよほどショックだったのか、体調不良に陥ってしまったという。
 まあ、いいさ。It's all right。元気を出せよ。大人が禁じる音楽、それがRock'n Rollだ。『君が代』はロックなのだ。高らかに歌おうぜ。

まったく、アンタのようなクソじじいにならなってみたいぜ。

それはともかく、ローリング・ストーンズのバンド名の由来は、マディ・ウォーターズのRollin' Stoneにあることは有名。ロック雑誌『ローリング・ストーン』は1967年の創刊だが、実は19世紀に、同名の風刺雑誌(正確にはTheがついて、The Rolling Stoneだが)が存在していた。発行人は、『最後の一葉』、『賢者の贈り物』で知られる作家のO・ヘンリーだ。

ロック、ポップスターだけでなく、政治家やローマ法王が表紙を飾ることも。日本人ではタイガース時代の沢田研二が表紙に登場した。
O・ヘンリー発行のローリング・ストーン誌。残念ながら、あまり成功したとはいえず、ヘンリーは負債を抱える。

▲泥水(マディ)の旦那はrollin' stoneという言葉がお気に入りのようで、Hootie Cootie manにも登場する。

▲キースは当初、この曲が嫌いだったらしい。「俺たち(ストーンズ)をコケにしたいのか」とディランに喰ってかかったことも。ドイツ・ブレーメンでのライブ。なぜか天狗のお面が。


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