【読書ログ】林陵平のサッカー観戦術
今、最も人気のある解説者
ここ数年で一気に解説者としての認知度を高めた林陵平。
以前、最も人気があった解説者は戸田和幸だったと個人的には思っていましたが、戸田が監督業に移り、その空いたポストに入ったのが林だと感じています。
まるで本人が話しているかのよう
サッカー中継で著者の声を聞きまくっているせいか、文章が語り口調で書かれているせいか、文章を読んでいると脳内では著者の音声で再生されるため、まるで本人が話しかけてくれているように感じられます。
個人的には脳内で音声として認識できるほうが読みやすいので、著者の解説をよく耳にしている方は読みやすいと思います。
全体感
私は本書を読む前に「サッカー戦術の教科書 プレーモデルが試合を決める(著者:小澤一郎)」を読んでいるのですが、この2冊を比較すると、「林陵平のサッカー観戦術」は量・質ともに物足りないと感じました。
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1・2章を読めば十分
本書の目次がこちら(1・2章のみ細節も記載)。
第1章 観戦がぐっと面白くなる心構え
・「推しチーム」の試合を「週1」で観続ける
・「選手名鑑」を使い倒す!
・選手のSNSは情報の宝庫
第2章 90分間で観るべきポイント
・「初期配置」と攻守のアグレッシブさを把握する
・キックオフから10分は「4局面の振る舞い」に注目
・ハーフタイムでは「スタッツ」を確認
・日本代表の逆転勝利に見る「選手交代」の重要性
・後半は「対相手」の対策を意識する
・60分前後は監督の駆け引きに注目
・試合後は「狙い」がどれだけ機能したかを確認
第3章 各ポジションの役割と象徴する選手を知る
第4章 各システムの特徴をきちんと押さえる
第5章 現代サッカーの名将たち
第6章 個人的に「推したい」選手と監督
第7章 僕の相棒”「サッカーノート」
※3〜7章の細節は省略。
この中で著者の考え方を知るには1・2章を読めば十分だなと感じました。
その他、ポジションやシステムに関してはもっと詳細であったりイラストなどを入れて解説していたりする本がたくさんあります。
監督や選手に関しても欧州の監督と欧州のトッププレイヤーが中心に掲載されていますので、その監督や選手たちのイメージを漠然とでも持っていないと脳内で想像するのは困難でしょう。
新書という形で値段を抑えているため図やイラストがないのは仕方ないとしても、読んで得られる新しい視点や知識は少ないように感じます。
7章のサッカーノートは「やっぱり記録はつけた方がいいんだな」という程度で具体的に書く内容も基本的なものでした。
今読まないと意味がない
本書で掲載されている監督や選手は今まさにトップレベルで活躍している人ばかりです。ですから、今読んで、今試合を見ることで「なるほど、本に書いてあったのはこういうことか」と感じることができます。
しかし、例えば今季限りで退任を発表しているクロップ監督については今季を逃すと見ることができません。
旬を捉えているとも言いますが、数年後に読み返せる、数年に渡って読める本かというと、そうではありません。
まあ、そんな本自体稀だと思いますが、先述した小澤一郎の本は何度も繰り返して読みたいと思えましたので、これから読む方は小澤一郎の本をお勧めします。
初心者には良いかも
では誰におすすめできる本なのかというと、サッカーをあまり見たことがない人や90分の試合中に何を見ていれば良いのかわからないという人にはちょうど良いと思います。
本書の最初には”「推しチーム」の試合を「週1」で観続ける”とありますが、これこそ「初心者向けです」と言っているのに等しいと今は思います。
これからサッカー、特に海外サッカーを見ていきたい人にはちょうど良い本だと思います。Jリーグについてはほとんど触れられていませんからね。
最後に
今回取り上げた2冊は以前の記事で読みたい本として取り上げていました。
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その中で、私は「値段の高い小澤さんの本は手が出しにくいけど、1000円程度の林さんの本は買おうかな」と書いていますが、大間違いだったと今は思っています。
この本が悪いとは言いませんが、たとえ高くても手元に置いて何度も読み返したいと思える本を購入すべきなのです。
小澤さんの本はそのうち買うと思います。
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