セミナー開催報告!
1.はじめに~開催御礼~
2023年7月13日(木)、Speak-a!Project主催の「発達障害 グレーゾーン 境界知能のためのニガテ対策会」を開催いたしました。
今回ご参加いただいた皆様に、心よりお礼申し上げます。
ADHDグレーゾーンの方、ASDの診断がある方、傾向の疑いがあり受診を予定している方など、様々な方々にご参加いただき、各々のニガテについてワークに取り組みながらいろいろとお話をお伺いすることができました。
勇気を出して参加してくださったこと、ご自身のニガテだけでなく、生活や障害についてシェアしてくださったこと、別の方のニガテに対して前向きな提案をくださったこと。
ひとつひとつが、スピカ=Speak-up! =「声をあげる、率直に意見を述べる」のコンセプトに力を与えてくれた気がします。
皆様の発信が、我々の活動が、札幌で大きなうねりとなっていけるよう益々精進いたしますので、今後も応援のほどよろしくお願いいたします。
2.何のためのニガテ対策か?
当事者特有の「ニガテ」に向き合う機会を
なぜ、ニガテ対策会を開催したのか。
そもそも、人には苦手がつきものです。得意もあれば不得意もあって、みんなそれぞれの個性として上手に付き合っていくのが人生でしょう。
しかし発達障害の特性を生まれ持つと、「個性」では収まりきらないしんどさを抱えることがあります。いわゆる「でこぼこ」の差が激しく、一般的な対策ではカバーしきれない問題もあるのです。これに対し、自分にとってピタッとはまる対策を、当事者の目線から一緒に考えていければ、と思ったのが開催の経緯です。
自己理解、そして自己受容を
加えて、「自己理解を深める機会を提供する」というのも、今回の目的です。自分らしく生きるためには、まず初めに自分という人間を客観的に観察することから始まると思っています。また、俯瞰した際の全ての自分を受け止める作業も必要です。
今までの生活で感じた恥、しんどさ、自己否定、辛い体験にがんじがらめになった心をひも解き、自分自身でケアをする。しんどい作業ですが、ニガテ対策会を通し、ニガテがあるのは一人じゃない、ということを知っていただくだけでも、大きな一歩となったのではと思います。
3.ニガテと向き合う前に~大切なこと~
セミナーでは、ニガテと向き合う前の大切な考え方として、以下の①②を皆様にシェアしました。
①第三者思考を持とう!
自分がニガテとしていること向き合うには、勇気がいりますよね。それは誰しもが同じですし、発達障害・グレーゾーンの方であればなおさらです。まずはニガテに対する恥ずかしい気持ちやくよくよ思考を一度手放し、第三者目線であなたの苦手を捉えてみましょう。
くよくよ思考
忘れ物ばっかりの最低なわたし。
第三者思考
〇〇は物を忘れる特性のある人なので、忘れないような対策が必要だ。
何事も客観的に捉えてみることで、自分のニガテと冷静に向き合い、必要な対策を模索しやすくなるかと思います。
②思い込みにとらわれない
自分のニガテを認めてあげるために、もう一つ重要なことがあります。それは「思い込みにとらわれない」ということ。
ニガテを隠す、ニガテから逃げる理由に、以下のような考え方が混ざっていませんか?
「女性なのに部屋の片付けができない」
「男性なのに疲れやすい」
「日本人なのに空気が読めない」
「A型なのに大雑把」
「長男なのに頼りない」
こうした考え方は、文化や性別、マジョリティの意見が生む「思い込み」であることが大半です。しかし、我々は無意識に縛られた自分自身の役割を一生懸命果たそうと頑張ってしまうことがあります。
例えば「片付けがニガテ」という事実に対して、女性として、妻として、あるいは親として、周りの人と同じように一生懸命にこなそうとし、疲弊してしまうなど。
こうした「思い込み」に振り回されていないだろうか?と、苦手と向き合う前に一度考えてみていただければと思います。
4.ワークの進め方
①日常に潜むニガテを探る~ニガテスケジュールの作成~
このたびのワークでは、まず初めに「ニガテスケジュール」を作成しました。ニガテスケジュールとは、自分が「失敗したなあ…。」と感じた日の
、朝起きてから夜寝るまでのスケジュールを出来事と共に時系列に書き起こす、というものです。
例えば「時間」に起きた時間を記入し、「できごと」に「寝坊してしまった」と記入します。
次に、「できごと」の中にどんなニガテが潜んでいたのかを探して、「ニガテ」の枠に書き込んでいきます。例えば「寝坊してしまった」という事実に対しては、「夜、スケジュール通りに寝るのがニガテ」「朝がニガテ」など、色んな可能性が考えられますね。
②ふせんにん「ニガテ」を書き出す
今回のセミナーでは、思いついたニガテをひとつひとつふせんに書き出し、ホワイトボードに貼っていただきました。
その後スタッフで、似ているニガテをまとめたり、グループ化して、多く意見のあったニガテから順に参加者様で話し合いました。
5.ニガテ&ハックのまとめ!
参加者様との話し合いの中で出たたくさんのニガテ&解決策を以下にまとめました。もしご自身と重なるものがあれば、参考にしていただければ幸いです。
【優先順位をつけられない】
こちらのニガテは多くの声が挙がりました。例えばお仕事上でのタスク管理や、時間配分、事前準備が思い通りにいかないなど、自分のスケジュールを管理する上で大変さを感じることが多いようです。こちらに対して、皆さんが日頃取り組んでいるハックはこちら。
〇キッチンタイマーを常に持ち運んで、時間をこまめに管理する
〇LINEで使える「リマイン君」を利用し、スマホでタスク管理
※リマイン君とは、ラインでお友達追加をし、「〇〇して」などしたいことを送信すると、予定をラインでリマインドしてくれる便利な機能です!https://reminekun.com/
〇googleカレンダーに15分単位でスケジュールを入れて、自分のわかりやすい色分けをしておく
スマホはスケジュール管理に有効ですが、スマホに慣れていない方はキッチンタイマーやメモなどの慣れた方法を使うなど、ライフスタイルに合わせて活用できそうですね。
一方で、「時間管理にニガテを感じない」という方のこんな声も。
〇そもそも細かいスケジュール管理が必要な仕事は避けているので、負担を感じたことがない。
〇今までは「タスク管理」が当たり前、次々にこなす仕事を「やらなきゃ」と感じて進めていたが、立ち止まって、本当に苦じゃないことを見つめなおすことも大事と感じている。
こうした自己理解そのものもハックと言えますね。
【雑談やコミュニティそのものがニガテ】
女子特有の「女子トーク」、会社で関わらなければいけない先輩・後輩との雑談がニガテ…。また、一方で「そもそもあまり人間に興味が持てない」「好きなことであればいくらでも話せるが、一方的になる」という発達障害特有のニガテもたくさん挙がりました。
ここで、雑談が大得意なスピカスタッフから皆さんにアドバイスが。
〇「えー!」「へー!」「はあー!」と、少し大げさなリアクションで返事をすると相手の会話が進む
がしかし、「本当に思っていることじゃないと、なかなかリアクションができない」という本音にも皆さん共感されていました(笑)
特にASDの方だと、正直でお世辞や嘘がつけないという性質もあり、中々お手本通りにはうまくいかないことのほうが多いかもしれませんね。
最終的に、以下のような意見でまとまりました。
〇好きなもの・ことのコミュニティに属し、思いっきり仲間と話す。
〇そもそも必要のない場面では無理に雑談をしなくて良い。
〇262の法則に身を任せ、無理に仲良くしようとしたりしない。
262の法則とは、自分と関わる人々は、「2=自分が何をしても、自分のことが嫌い」「6=何をしても、特に何も思わない」「2=自分がどんな失敗をしても、好きでいてくれる人」の割合を示す言葉だそうです。
どれだけ頑張ってコミュニティについていこうと思っても、合わない人は合わないし、嫌われるときは嫌われる。障害のことがあると、職場やプライベートでの人間関係が上手くいかないことが多い中で、「262の法則」は、他人のことは気にせず暮らしていくためのハックになるのではないかと感じました。
【カッとなりやすい・感情が爆発してしまう】
〇信頼できる人にこまめに愚痴を聞いてもらう
〇誰にも見られない場所で叫んでストレス発散
〇我慢し続けない
〇カッとなっている自分を俯瞰してみる
〇良い人を演じて感情を溜め込まない
【朝スマホに夢中になり朝ごはんを食べない・好きなことに過集中する】
〇朝ごはんを、手軽に摂れるものにしてみる
〇アラートアプリを入れる
〇朝ごはんにちょっと豪華なものを事前に用意し、朝食の優先順位を上げる
【忘れ物が多い】
〇WEMOを使う
※WEMOは、手に巻いて使えるシリコン製のメモ。何度も書いて消せるので地球にも優しいですよ~。 https://www.wemo.tokyo/
〇玄関先にホワイトボードを用意する
〇忘れ物チェッカー(キーホルダー)を付ける
〇忘れがちなものをパソコンに張り付けておく
〇忘れそうなものは前日に全部玄関に固めておく
➡スマホのメモは、アプリを閉じると絶対に見なくなるから駄目!という意見もありました(笑)
6.まとめ
以上が、対策会で出たニガテ&ハックのまとめです!
実際にはもっともっと濃いお話も出たのですが、細かな部分は割愛させていただきました。
また、インスタの方でもハックを細かく紹介していきたいと思いますので、ぜひそちらもご覧ください~!
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