チェーン・ピープル。
チェーン店の様に価値観や性格を均一化すべくマニュアルに沿って生きようとするチェーン・ピープルの話。
未確認の巨大生物から毎回街を救っては去っていく正義の味方が本当に正義なのか疑問を話。
中の人などいない御当地ゆるキャラの中の人の人気が急上昇、その時、市長の取った行動とは？の話。など全六話の短編集。
三崎亜記のSFと公共とが混ざりあった絶妙な設定の架空世界にたまに迷い込みたくなる。本作でも各事件に対する世論のさざ波や融通の効かなさは健在。しかし各々のエピソードを「取材」という同じ視点で繋げているので、ドキュメンタリータッチの作中作を見ているような雰囲気は新鮮だった。
元ネタと思しき社会問題やニュースがすぐに思い浮かぶので、妙な生々しさがあって好みが別れそうな印象。タダシガ記の延長で独特な着想を風刺を効かせたユーモア小説に仕上げた感じかな。良かれと思った何気ない善意が巡り巡って世の中を歪ませる感じの狂気。
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