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私の頭が正常であったなら。

ある日、夫婦そろって自室にいる幽霊が見えるようになった話。死別した子供と思い出のトランシーバーを眺めながら夜な夜な幻聴を耳にする男の話。中古で買った布団に潜り込むと足の先に何かが触れる話。など、恐ろしくも美しいホラー短編集。

初期の乙一を読んでるような、平然と死が佇んでる感じと唐突なグロテスクさ。それぞれの作品について、優しさと哀しさと不気味さが絶妙なバランスで保たれていて、通常のホラー小説とは違った何とも言えないカタルシスがある。

理不尽なホラーは嫌いだけど、理屈っぽいホラーは好き。本作は設定や伏線や世界観が丁寧に作られているので終盤に差し掛かってテンポが上がっても置いていかれる事なく読み進める事が出来た。特に「おやすみなさい子どもたち」は圧倒的な完成度だと思う。


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