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殺意の対談。

映画の公開を記念した主演女優と原作作者、同じチーム内でW杯代表を争う先輩と後輩、デビュー5周年ツアーを控えた女1男2のスリーピースバンド、など、様々なメディアでの対談記事+聞かれちゃいけない心の声という形式で綴られる短編小説。当たり障りの無い問答の裏で繰り広げられる壮絶な空中戦はやがてとんでもない真相へとつながっていく?という話。

前作の「神様の裏の顔」と同様に、転がし方と繋げ方が上手すぎて心地よい。シチュエーションコメディとコントライブみたいな違いこそあれ、メインの仕組みは基本的には変わってなくて面白い。前作のひっくり返る展開にはシビれたけど、今作の少々強引につながる感じとか少々無理あるよなって設定も変わらずには愛おしい。

割とありがちな対談+独白みたいな設定に加えて、他のエピソードの後日談などがふんわり語られたりして、あくまで対談というフォーマットは死守しながらも、思いもよらない繫がりで表現された独特なサスペンス感が斬新だった。

そういう趣向だからしょうがないんだけど、登場人物が揃いも揃ってヤバい人ばかりなので、飽和状態というかヤバさのインフレで、いい意味で世界観めちゃくちゃだなと思った。まあ、ここまで最悪な人ばっかりだと破滅しても一つも感情移入しなくていいので、ある意味ハッピーエンドなのかもな。


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