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とあるゲイの昔話:7

ゲイサークルは僕には合わない、という知識から次に僕が手を出したゲイとの出会い方はゲイアプリだった。顔を出して、相手との距離も分かったりと、ゲイの世界が大きく広がったのはゲイアプリのお陰だろう。ただ、ゲイアプリの欠点として二つ挙げるとすれば「ヤリ目的」が多いことと、「田舎は人が少ない」ということだろう。


一つ目のヤリ目的が多い、というのは文字通りセックス目的の人が多かったことだ。セックスが出来ればそれでいい、合わなければ一晩過ごしてさようなら。そんな出会いばかりだった。若いうちはそれでいいのかもしれない。20代の頃僕はモテる体系でも顔でもなかったがゲイアプリを通じて何十人という人と会いに行って、話したり、遊んだり、時にはセックスもしたが、結局それっきりで関係が終わってしまうような出会いばかりだった。振り返ってみると、なんだかもったいなかったなと思う。ヤれればそれで良い、という関係は気楽で後腐れなくていいのかもしれないし、若いうちにしか経験できないこともあるだろうから、それが悪いこととは言わないが、人間関係で後から後悔しないよう、程々が一番だとおもっている。


二つ目の「田舎は人が少ない」は人口の少ない町でゲイアプリを使った人なら分かると思う。地元でゲイアプリを開いたときと、都市部で開いたときの圧倒的なゲイ人口の差に驚いたはずだ。こんなにいるんだ・・・と感動したが、そう感じたのは最初だけ。僕はただアプリを開いて色んなゲイをみるだけの図鑑みたいに利用することが多くなっていった。どうせこんなイケメンに相手をされるわけがないと、最初から諦めていたのもあるが、ヤリ目的の出会いに疲れてしまったのもある。

ゲイアプリとは関係ないけど、ゲイの出会いの場として有名なゲイバーというものにも僕は縁がない。ゲイサークルにいるとき2回くらい地元のゲイバーにみんなと行ったことはあるが、それっきりだ。正直何が楽しいのかイマイチ分からなかった。普段からお酒を飲むことが好きな人は通っても楽しいのかもしれないが、知らない人に話しかけるなんてそもそも無理ゲーなコミュ障が行くような場所ではなかった。

楽しめなかった理由としてこれが一番大きいかもしれないが、僕は30数年生きてきた中でゲイを好きになったことが一度もない。・・・言い方を変えるとゲイだと初めからお互いに知って出会ったきた人たちの中に好きという感情を持ったことが一度もないのだ。原因は多分、出会ってから数日も経たずに疎遠になってしまうからだと思う。

僕は一目惚れというものをしたことがない。好きになるのは仲良くなり、一緒にいる時間が増えて相手のことを知っていくうちに段々と惹かれていくことがほとんどだった。マッチングアプリやゲイバーで出会った人と、たった数時間、数日遊んだだけでは好きになったりはしなかった。

好きにならずとも友達、という関係に発展することなかった。同族嫌悪、というわけではないと思うが同じ趣味趣向の人たちといるほうが気楽、というタイプではおそらくなかったのだろう。ゲイであるということを隠すことに慣れてしまっていたのかもしれない。


20代後半までゲイアプリを利用していたが、今では新しいスマホに替えてもダウンロードすることはなくすっかりご縁がなくなってしまった。出会いは確かに欲しいが、便利なアイテムを無理して使うこともない。合わないと思ったらスッパリやめて諦めることも大切だ――

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