施術で大切にしていること

 いつもは性の心理学のお話メインですが、今日は施術で大切にしていることをお話していきます。結論から言えば、相手に肯定的な関心を持ち続けることを大切にしたいと思っています。なぜこの考えを大切にするのか、その背景からお話しいたします。

 背景となったのは、あるクイア*の子のお話を聞いて、自分の考えが大きく広がったからです。その時の私は、性の悩みを真剣に話し合った経験が浅く、知識もあまりありませんでいた。相談相手の彼女もまた、自分が性欲が無い事や誰かを好きになることが分からないでいました。対話を続けるうち、彼女はクイアという概念を見つけ、私はまさに自分はこれだ!とお話してくれました。その子は私に、誰かを好きにならなくても良い、性欲がなくても良くて、まさにそういう自分を肯定することの素晴らしさと教えてくれました。
 このような経験から、性は1人1人大きく違うからこそ、相手の考えを理解することで自分の世界を広げられると感じました。このプロセスは自分や相手だけでなく、ここに生まれた関係性までも成長させる力があると感じました。私は、こうした経験から、性の新しい世界を知る体験と、性を通して人生を豊かにするお手伝いをしたいと考えるようになりました。相手の世界を知り、かつ、その人の人生を豊かにするお手伝いをしたい。そんな目標があるからこそ、施術では相手に肯定的な関心を持ち続けることを大切にしたいと思っています。コミュニケーションをとる中で、自分と相手とで違う部分に気が付くことが多々あります。その時、相手の考えが変なものだと思って、理解することを辞めるのではなく、相手はどんな価値観をもって何を思うのか、そこに関心を止めないようにしたいです。

*: 性的欲求の有無・性的指向が定まっていない、性的指向性を包括的に示す言葉

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