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刑事がアパレルメーカー起業 4

Chaper4 Occult
第4章 オカルト

 退職後最初に訪ねたのは友人のK君だった。
 彼は税理士、起業にあたりアドバイスが欲しかった。
 というのも彼も昨年、オレに先駆ける事1年、同じ警察を退職し独立した人物なのだ。
 実は我々は小中学校の同級生だ。
 一緒に警察官になったわけではない、この話にはちょっとしたブラックマジック、オカルトとも言えるべきエピソードがある。
 主要人物は同級生のS君、確か自転車屋さんの息子だったか、そして件のK君、とオレ。
 時は小学校3年生の放課後にバックトゥザフューチャー!!
 主要3人を含む5、6人の同級生、当時流行っていた「コックリさん」に興じていた。
 ご多分に漏れず、クラスのマドンナは誰が好き?など他愛もないものばかり、そのうち誰かが
「このなかで将来刑事になるのは?」とコックリさんに聞いた。
 時代背景の影響だろう、太陽に吠えろの再放送が小学生男子の間で大ブレイク中だった。
 コックリさんが出した答え、厳密に言えば無意識下、若しくは、誰かしらの意図的な答えは・・
   S君、K君、そしてオレ
の3人だった。
 オレ自身が指を動かしたのか明確な記憶はないが、いずれにしても複数の少年の中から選出されたのはこの3人だった。
 さて答え合わせをしようじゃないか。
 S君は高校卒業後直ぐに警察官を拝命、その後白バイ隊員になり大会では当時県下史上最高の成績を叩き出し、現在も交通畑一筋である。
 うーん、コックリさん的中率3分の1。ありえることだ、しかし問題はここからだ、当のオレはオーストラリアでサラリーマンをしていたし、K君は大学卒業後に税務署員となった。
 ところがだ、帰国後バイトに勤しんでいたオレが京王新線の車中で目にした中吊り広告「警察官募集」本当にこれがきっかけだった、そしてS君に遅れる事7年、オレも警察官になった。
 さて的中率は3分の2と急上昇。
 しばらく端折って、オレ等32歳の春、とうとうK君までもが、帳簿などを捜査する特別採用枠で警察官を拝命。
 しまった。超常現象的なものは、冷静に検証すべきと論じているオレが、オカルトの一端を担ってしまった。
 そう、コックリさんの的中率は時間をかけて100パーセントを達成したのだ。
 人生とは意外にこんなものかもな、そうだ、いっそのこと、オレの商売が上手くいくと決めつけてしまおう。




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