誤解
昨年末からはじまった新天地での生活も落ち着いて、明日で今年度の猟期も終わりを迎える。新しい生活や狩猟の話が山ほどストックされているけど、それはまた別の機会に。
ところで突然だけど、巷にあふれる『銃』に関する誤解が気になっている。
何を急にと思うかもしれないが、この前ネットでみた記事に「訓練を受けていないと銃はあたらない」とか「ハンターは散弾を使うからあたる」とか、どこから得た情報をもとに発信しているかは知らないけど、何だか誤解があるなと思ったので一応言っておく。
一般的な鉄砲ならば標的に向かって狙いをつけてゆっくりと引き金を引けば、大体あたる。拳銃だろうがライフルだろうがショットガンであろうがである。もちろん個人差はあるだろうけど、初めて撃つ人でも結構あたるものだ。あたらない場合は、銃に問題があるか、照準装置に問題があるか(←大体これ)、装弾に問題がある。あと生まれ持ってセンスがない人もいる(←これはしょうがない)。
それと「ハンターは散弾を使うからあたる」についてだけど、ハンターがイノシシやシカを撃つときは一般的にはライフルだったりスラッグだったり1発弾を使用する。散弾(9粒弾)を使う人もいるが、今は事故のリスクを無視できなくなった大日本猟友会が猟師たちに使用の自粛を要請している。なので多くのハンターは1発弾で獲物を仕留めているはずだ。それに散弾ならあたるとか、散弾をナメているのか!?と言いたくなる。皿撃ち(クレー射撃)をすればわかるが、それなりに結構難しいものだ。
さっき言っていたことと矛盾するって?
止まっている標的にあてるのは難しくないが、動いている標的はちょっと難しいのだ。これは訓練というほど大げさではないけど、少し練習や経験が必要なのは確かだ。
「火薬は爆発する?」
以前、住んでいた団地の自治会長に「火薬を保管しているようだけど、大丈夫?爆発しない?」と聞かれた。狩猟をしていて弾も自分で作っているとの話の流れから出た質問だが、結論を言えば火薬だけでは爆発しない。火薬というのは容器に密閉した上で引火しない限り爆発はしない。それは燃焼時に発生するガスが容器内で行き場を失い、破裂するというメカニズムが爆弾であり(ダイナマイトやプラスチック爆弾は別)、その力で弾頭を押し出すのが装弾だ。だから火薬に何らかの理由で火がついたとしても燃焼するだけであり、爆発はしない。燃えやすいのは確かだが、危険性はティッシュペーパーと同じくらい低いだろう。
ちなみに弾丸を床に落としたらどうなるか?
別に何も起こらない。
初めての実弾を使った講習の時、バラバラと床に装弾を落としてしまった参加者の恐怖で引きつった顔を思い出す。
もう一度言うけど、何も起こらない。
「反動で肩が外れる?」
外れない。
でも、くしゃみしただけで肩が外れるような人は外れるかもしれない。
しかしながら反動の強い銃もある。自分が所持しているブローニング社製のAボルトショットガン(日本のミロク社がOEM製造するサボットスラグ専用銃)は反動が強めだ。慣れない頃は10発撃って泣きそうになった。肩に痣もできた。そういう銃もある。ちなみに同じ装弾ならば重量が重い銃ほど反動が軽くなる。
「暴発すると指が吹き飛ぶ?」
吹き飛ばない。
そもそも「暴発」とは何か?に誤解がある。
「暴発」とは、意としないタイミングで弾丸が発射されることを言う。
つまり撃とうとしていないのに発射してしまうということだ。これは用心がね(トリガーガード)の中に指を入れていて誤って引き金を引いてしまったり、装填してある銃に何らかの衝撃が加わり撃鉄が落ちてしまったりすることで起きる事故だ。なので恐らく「暴発」と言う言葉のイメージで銃の機関部が爆発することと勘違いしたのではないかと思う。それが漫画や映画で間違ったイメージが広まったのではないか。そういったイメージと近いものに銃身の異常腔圧がある。銃身に何かが詰まってしまいそれに気づかず弾丸を発射してしまうと銃身内の圧力が高まって裂けてしまう。しかしながらそういった事故でも指が吹き飛ぶようなことにはならない(絶対とは言い切れないけど)。
他にも何か思いついたらまた記事にします。