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扁桃腺摘出手術入院二日目 ~さらば扁桃腺、隣人あらわる

【9月23日(金)】
朝4時ごろ トイレに起きてしまいました。
廊下をペタペタと歩いてトイレがある大部屋へ行くと、
この時間このタイミングで まさかの使用中。
再びペタペタと自室に戻ります。
明け方の徘徊不審者です。
用を足しても眠気が戻ってこないので スマホいじりつつ明るくなっていく空を眺めてました。
この感じ 遍路旅以来だなァ。

7時、「お茶どうぞ…あ、今日は絶食でしたねスミマセン」
胃が捻れる程の空腹に苛まれてるときに 美味しそうなお茶を近付けないでいただきたい。
今日は一日 水も食べ物も一切NG。
切らしちゃいけないステロイドと抗炎症剤だけ少しのお茶で飲み下します。

そして看護師さんに手伝ってもらって手術着にお召し換え。
外から見えるかもしれないってのに景気よく脱ぐちゅん。を看護師さんがカーテンでナイスフォロー。
背中開きだけでなく肩口もホックやテープで開閉できる長めの割烹着のようです。
下に着るのは 紙パンツ。
まさかのセクスィー紐パン仕様。
これは手術室移動の直前に履き替えればよいとのことで しばし鑑賞させていただきました。

続いて点滴を装着。
「私正直なんで言っちゃいますけど痛いですよー」と言いながら針を刺す看護師さん、嫌いじゃないです。
いくつも追加の薬剤をドッキングできるようジャックが複数ついたハイパーな点滴キットでした。

8時すぎ 旦那到着。
紙パンツを笑ったりして過ごすも 気分はやはり「刑執行直前」。
緊張はしませんし2人とも眠ねむですが 何やら張りつめたものが空気に流れます。
とはいえ旦那は 猫の避妊手術前の方が緊張したとのこと。あっそ。
8時半 トイレを済ませて紙パンツ装着。ォォゥ
8時50分、定刻通り 手術室へ向けて出発です。

いつもとは違う内部用のエレベーターで手術室の階へ。
看護師さんを先頭に点滴ポールをカラカラと引っ張るちゅん。と旦那が続きます。
ハロウィンのシールデコが貼られたガラス戸を入り 椅子にかけて担当看護師さんや麻酔医さんの挨拶を受けます。
気分はどうですか?と聞かれたので
「眠たくて麻酔の前に寝そうです」と正直に申告。
紙のヘッドカバーを装着しサンダルを履き替えて ザ・手術患者の完成。
じゃ 行ってくるわ、とここで旦那と別れます。

看護師さんが足でスイッチを蹴って開けるドアの奥に進みます。
天井が高くて大きな機械があって工場プラントの中のようです。
通路沿いに並ぶのは手洗い場でしょうか。
金属アレルギーの話などしつついくつか角を曲がり 番号が書かれたステンレス製の大きな扉の前へ。
手術室です。アメコミか何かの秘密基地入口みたい。
さすがにちょっと腹に変な力が入ります。

プシュッと開いた扉の中は よくドラマで見るような造りだけど想像の4倍くらい広い手術室。
「お願いしまーす」とベッドに上ります。
狭いです。腕の幅ギリギリ。
保温ためかポカポカしてました。
左右から心拍計や酸素量測定器とか色々取り付けられていきます。
透明の酸素マスクが口元の上に掲げられました。
少しゴムのような臭いの空気が流れてきます。
胸の辺りと腿の部分で身体を台に縛りつけられます。
台の高さが調整されます。
ちょうど台が上昇してるときにちゅん。の右手指へ何かの装置を取り付けてた兄ちゃんが
「あ、ちょっと今めまいがした」とふらついて
「台 上げてる途中でしたからね~」と皆で笑います。
手術室の皆 和気あいあいだなァ。仲良いなァ。

点滴のジャックのところで麻酔医が
「麻酔入りまーす。点滴しみるかもです」と注射器を押し込みます。
点滴針のところを看護師さんがさすってくれます。
天井を見上げて お、なんか 左右にブレるように 風景の輪 郭 が 曖 昧  に な  っ  ……
ちーん。ちゅん。 麻酔完了です。

目を覚ました瞬間は 箱詰めにされてた状態からダンボールのフタを開けられたような感覚。
モヤモヤした段階をすっ飛ばして 無意識からいきなり意識世界に飛び出したような感じでした。
何人かが覗き込んでて「聞こえますか?」と聞かれたような気がします。
返事をしようとして…喉が痛いッ。
まだ挿管されたままだったようです。
尋ねるなら先に抜いてよォ。
オゲゲゲとなりながら抜いてもらいました。

そうだ、扁桃腺摘出されたんだった と一拍おいてこの段階で思い出します。
喉の奥が紙やすりになったようにザラザラと痛むし その他舌とか口の中とか不特定多数の痛みがあるけど、
意識ははっきりしています。
目だけキョロキョロ動かして状況確認。
ベッドに寝たままガラガラと病室へ移動します。
途中 旦那の姿が見えたのでヒラヒラ手を振って生還の合図。
この時点で10時ちょっと過ぎ。
スムーズに手術は済んだようです。

病室に到着すると 水中からボコボコと酸素がわく装置から延びたマスクを装着。
ずっと続く水音が水槽のそばにいるみたいです。
切った跡は乾燥させない方がいい とセンパイブログにはあったのですが、
鼻の奥に血の固まりができてるのか空気が通らないので 口呼吸せざるをえません。
時々鼻呼吸を試みるも 鼻から吸えたのに弁のようなものができてて出せない…?
ぅぅむ ちゅん。の喉状況は一体どうなっとるのだ。

たまに鼻の奥からナニモノかがドロリと落ちてくるのでティッシュに取ります。
強く洟をかんだらけっこう血が混じっちゃった という感じです。
ティッシュー箱消費 という話も聞きますが、
ちゅん。はトータルで6、7枚といったところでしょうか。
寝てる時間が長かったということもあるでしょうが。

落ち着いてくると 徐々に口の中の状況が掴めてきました。喉の奥にザラザラした痛み。
これはおそらく挿管でこすれたものでしょう。
その上に扁桃腺を切り取った後の傷口の痛み。
ドロリと落ちてくる物を吐き出すとき ちょっと眉根が寄るくらいに痛みます。
そして 開口器で押さえられてたであろう舌の痛み。
麻酔から覚めたとき一番に知覚したのもコレでした。
真ん中辺りに「折りグセ」のようなものができていて 少し舌を動かすとズーンと痛みます。
舌の両側は正座を強いられたように痺れています。
前歯の裏側の歯茎も器具で擦れたとかで荒れた感触があります。
こちらは塗り薬を処方されました。
歯も全体的に浮いたような感触があります。
ちゅん。 学生時代に高い金かけて矯正してるんですけど台無しになってないよね?
色んな器具であちこち不具合が出ているわけですが、
手術中 口の中に色々突っ込まれているちゅん。の様子ってどんなだったんでしょう。

声は(怖くて)出せない状態です。
旦那とは音声←→LINEで会話してたので、
先程 隣のベッドに入ってきたお婆さんには 1人で会話してる変な見舞い客と思われたかも。
なんとか看護師さんに鎮痛剤を要求して 下から入れてもらいました。
麻酔でガッツリ寝ていたはずですが まだ眠気があります。
うっかりすると血の固まりで窒息しそうだし ベッドの横で所在なさげにしている旦那には申し訳ないのですが
しばしの昼寝です。

30分ごとに検温と血圧測定があってフワフワと覚醒してはトロトロと眠る というのを繰り返して13時ごろ 完全覚醒。
ちょうど術後3時間たったということで 酸素マスク除去。看護師さん付き添いのもと自力でトイレにも行けたので ベッド上安静解除です。
あ、そういや今回 尿ドレーンも使わなかったぞ。ヨカッタァ
自分で動けるようになったので 旦那の付き添いも終了。
お疲れさまー。
覚醒はしたものの 麻酔の影響かスマホ画面を見ているとクラクラするので、
点滴つないだままウトウト寝続行です。

ところで本日 隣のベッドにお婆さんが入ってきて 初の大部屋ライフがスタートしました。
カーテンで仕切った同じ部屋に見知らぬ他人がいる というのも中々ない新鮮な経験です。
しかも このお婆さん、今まで何度も入退院を繰り返しているようで 看護師さんと馴染みまくってます。
検診に来る看護師さん全員と話し込んで 今の自分の病状を同じ流れで逐一説明。
おかげで寝るまでには お婆さんの代わりに事情を全部説明できるくらい覚えてしまいました。

声が出ないとはいえ 挨拶くらいしないと、
と トイレへ行くついでに名前と声が出ないことを囁き声とジェスチャーでお知らせ。
「あぁ、声でないの」分かってもらって良かった。
しかし 話せないモードである意味幸いだったかもしれません。
今回お婆さん 検査数値が悪かったらしく、
予定していた治療が受けられなくなったようです。
それで後日 別の治療法を試す予定なんだけど 長く入院しないといけないし家を空けると夫が具合悪くなるし娘は仕事辞めないといけなくなるかもだし…とエンドレスで愚痴が出てくる状態だったので、
会話ができてたら消灯時間まで話に付き合わされてたかも。
明日 早々に退院されるということで 申し訳ないけどホッとしました。

扁摘したことで新たにうがい薬が増えました。
傷からの出血を抑えるためにオキシドールでうがいを と まずはベッド上でやってみたところ、
ブハァッ!(; ´Д゚)・゚。 思わず吹き出してむせ返ってしまいました。
オキシドールが傷口に触れた途端 焼けるような痛みがッ。
続いて 一旦口の中に留めおこうとしたオキシドールが不意に喉の奥に流れ込んできます。
加えてオキシドールがマッッズい!
絶食絶飲の果てに最初に飲んだのが血混じりの激まずオキシドールなんてあんまりですゥ。(ノД`)
しかし血が出ているからには止めねばならぬ。
涙目でコップ1杯のオキシドールうがいを終らせました。

口に含んだ液体が不意に喉の奥に流れ込んでしまうのは、
扁桃腺と一緒に軟口蓋(のどち○こが付いてる柔らかい所)の一部もなくなって穴が開いた状態になっているせいのようです。
うがいをするとき あまり上を向きすぎないようにするなど
対策を編み出すまでに何度か溺れそうになりました。

18時、隣のお婆さんが食べる夕飯の匂いが漂ってきますが ちゅん。は食事抜き。
お腹は鳴るものの 喉がこんな状態では食欲もあろうはずもなく、
点滴につながれて まるで水栽培のヒヤシンスです。
人間って点滴だけで一日もつんだなー。
寝ている間に痛くなるとイヤなので消灯前に鎮痛剤のお代わりをもらいます。自分で入れました。
22時、消灯。
昼間 麻酔まで使ってあんだけ寝てたのに眠れるのかと思いましたが、あっさり眠ったようです。
手術って疲れるのね。
この日はこれでおしまい。

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