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アジア圏のラブコメで「息子の恋愛を応援する姑」 が増加し始めた理由
かつて、アジア圏でのラブコメでは「姑」の存在は「厄介」の象徴だった。
育ちのよい男性が一般庶民に恋をしたものの、姑が大反対……という場面になじみのある方は多いかもしれない。
■なぜ「姑」はラブコメの厄介者になりやすい?
一昔前は、父と母の役割分担が明確に分かれていた。
ドラマの中でも、男性主人公の母親が家事・育児の責任を負ってきたケースが圧倒的に多い。家政婦や乳母を雇える家庭でも、母親が強い権限と深い愛をもって子の人生を「よりよいもの」にしようと務めている様子がうかがえる。
深い愛と支配は紙一重だ。ゆえに、息子に深い愛を注いできた母親が結婚相手の選定まで支配しようとする設定は、ラブコメカップルの恋愛を燃え上がらせる「定型ハードル」となる。
ところが近年、「男主の母親が恋愛のサポーター」というケースをかなりの頻度で見かけるようになった。
「悪役の姑」は往々にして「これが、人生の正解」という絶対的な信念を内在化している。しかし、近年ドラマ内で描かれる姑像の変化は、その信念の正当性が揺らいでいることを、姑世代が自覚し始めたことの表れなのではないだろうか。
■「姑像の変化」の背景にアジア圏の結婚・恋愛離れ
ところで、ドラマ内の姑像が急激に変化している日・中・韓の3か国に共通して起こっている現象がある。「少子化」と「結婚離れ」だ。
日本の少子高齢化は言わずもがなだが、韓国と中国では日本以上の超ハイスピードで少子化が進んでいる。結婚で失うものもあることが認識されると同時に「結婚する余裕なんてない」という書き込みもさまざまな言語で書き込まれている。
結婚が社会的な儀礼でなく、個人の希望に委ねられるものになっており、「結婚することで人生の選択肢が狭まるなら、結婚しない」という価値観も一部で見られるようになっている。
旧来の価値観を押し付けられるような結婚からの忌避反応が生じつつある中で、夫婦の片方だけが我慢を強いられる結婚は、「当たり前」ではなくなりつつあるのだ。
そうした背景がラブコメドラマの中で息子の選択を尊重できる姑像につながっているのかもしれない。
「若者(主に女性)のレジスタンス」とも言われるハイスピードの少子高齢化の中で、物語の中では2人の結婚を邪魔する意地悪な姑の出番は減っていくだろう。なんとか息子のところに嫁が来て欲しい、孫の顔が見たい、そして願わくばにぎやかに暮らしたい、という打算的な優しさも見え隠れする場面はあるだろうが、今後は「嫁の個性」「嫁の人生」により配慮する設定にシフトしていくと私は予想している。
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