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【韓国ドラマ】『わかっていても』が韓国の青春恋愛ドラマの「型」を無視していておもしろい

ラブコメディや恋愛ドラマにおける「ベッドシーン」出現のスピードは、国ごとの傾向がある。

アメリカのラブコメは付き合う前に夜を過ごしたカップルが恋人になるまでの過程を描く作品が多く見られる。中国の現代劇はストーリーの中盤~後半でカップルが寝室に消えていき、韓国のラブコメは最終回でようやくカップルがベッドを共にする(泥酔パターンは例外)。

各国の放送の規制と折り合いをつけている側面もあるのだろう。それにしても、韓国ドラマの『わかっていても』は、同国の学生青春ドラマの「型」を全く無視していた

劇中では、主人公の2人が物語の序盤で惹かれ合い、早々に肉体関係を結ぶ。

泥酔していないし、記憶をなくしていないし、勢いでもないし、やけっぱちにもなっていない。2人が望んだのだ。

そこから、「わかっていても」というタイトルの意味をまざまざと見せつけられる

■クズな男主と「わかっていても」ハマる女主

男性主人公は、才能豊かな美男子。狙った女性が自分にズッポリとハマるのを見たいけれど、責任を負い合うのは面倒だから恋人にはならない。異性関係では「楽しいこと」を搾取したいクズ男だ。

一方、女性主人公は、そんな男主人がクズであると「わかっていても」どうしようもなく惹かれる。自分に思いを寄せる優しい幼なじみと付き合った方が幸せになれると「わかっていても」気持ちを切り替えられない。断ち切るのが最善だと「わかっていても」それができない。

これまで、韓国の恋愛ドラマは、愛と性(場合によっては結婚も)がほぼ同一の領域にあるという大前提の上に繰り広げられている印象を受けた。しかし、最初は切り離されていた男性側の性と愛が徐々に重なっていくアメリカ型のパターンは韓国のドラマの中ではかなり珍しいように感じる。

それにしても、「わかっていても」と言わしめる男主の説得力は圧倒的だ。完膚なきまでに女性を傷つけるくせに、所作も眼差しも美しい。

日本語タイトルにギョッとするケースは少なくないが「わかっていても」はドンピシャの邦題だと思う。


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