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泥濘紳士

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随想録
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#現代詩

おれは多摩川をみている

温泉に行った。山奥の温泉だ。おれは静かに本を読んだり宿から出された川魚を食べたり少し寝たりした。不眠症とは程遠い性分のせいでどこにいってもこの調子で年がら年中うつろうつろしている。困ったものだ、と自分でも反省することもあるもののいかんせん思考が縦ではなく横にのびるせいで常に同じ場所をぐるぐると逡巡しているメビウス的気分である。射的場とか、ストリップ小屋などの暇を潰すための遊戯場は一切無い。遠くの山

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談話室断輪

びっくりする。ほんとうにびっくりするくらい軸がスプリングみたいなふわふわした話をするやつ。たまにいるよね。えっと、それで、その、次はどうなったの。え?もう終わったけれど、とくる。がくん。チャックをし忘れていたせいで転けた途端にカバンの中身が全部おちる。ダイナマイトの作り方が書いてある化学の本とか、禿げ防止薬や外国人のおっぱいが丸出しになったビニール本などが散乱し恥をかかされる。迷惑千万とはこういう

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