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ドラマ「きのう何食べた」で学ぶ、しあわせの定義!

「きのう何食べた」というドラマにハマっている。

倹約家で几帳面だけど、どこか優柔不断な弁護士シロウと、人当たりがよくロマンチストな美容師ケンジ、同性愛者カップルの二人の日常を描いたドラマである。

物語は、シロウのつくる家飯(料理)と食卓を囲む二人のやりとりを中心に進む。シロウは、月額の食材費2万5千円の範囲に収める規律を課し、基本的には定時に仕事を切り上げ、最安値の食材をもとめてスーパーでの買い物を日課としている。作る料理は多彩で、うまい。

毎回、料理を作る場面が丁寧に描かれ、高級な食材や調味料は使わず、食費を抑えた上で工夫した美味しい料理の作り方が紹介される。

贅沢を好まず、性的マイノリティーの悩みを乗り越え、同年代のパートナーとの時間を大切に思うシローと、基本的にいつも上機嫌で食卓に座るケンジ。何気ない毎日こそ幸福とする二人のゲイカップルの姿勢に、なぜだか共感するものがある。

僕は、23歳から25歳くらいにかけて、同い年の同僚、上町君と一緒に暮らしながら九州を転々として
いたことがある。僕も彼も同性愛者ではない。職場の用意した借り上げ社宅が同じだっただけのことだ。

勤めていた会社で僕はアクセサリー部門の、彼はアパレル部門の店長として勤務していた。

バブル絶頂期で、会社は次々に積極出店を行い、なぜが僕と彼は2個1で立ち上げ店長として赴任先が変わり、熊本、別府、天草、福岡とマンションやアパートを共に転々とした。

忙しい毎日だったが、社宅に帰ってほんの少しだけ手を加えた料理を作り一緒に食ベる夕飯が楽しかったのを覚えている。

男二人、一人じゃ絶対に調理なんかしないのに、なぜだかお互いが分担して料理をしていた。そういえば、奴は当時「夢で逢えたら」というコント番組が好きだったのを思い出す。毎週、放送に合わせるようにして食事をしていた。

テレビでブレイク前のダウンタウンとウッチャンナンチャン、清水みちこ、野沢直子。今にして思えば異色の共演だったなぁ!

バブル絶頂の時期だけど、まだ洒落たレストランなんて行ったことのない時代だった。何を食べていたのかは1ミリも覚えていないが、あの時間が楽しかったことだけは覚えている。このあと、バブル崩壊で会社は大変なことになり、あれ以来会ってはいないが上町君は今頃どうしているだろうか?そんなことを思い出す。

時は流れて、35年。間も無く還暦となる僕は、来年結婚30年目を迎える妻と二人で暮らしている。

外で働く妻に変わり、平日の夕飯作りは基本的に自宅勤務の僕の役割である。料理を始めたのは、外食も、お惣菜を買って帰る中食も塩分が気になるからなのだ。

食べ歩きも楽しいし、それなりに色々なレストランで食事もしてきた。でも、正直いえば今は家で食べる食事が一番だと思うようになった。外食で1万円使うなら、1週間分の食材を遠慮なく買い溜めしたいと考えてしまう。

2年前までは、1回の食材調達は千円以内で抑えていたが、昨今の物価高騰で今は千五百円に抑えることができれば上出来だ、シローさんの気持ちがよくわかるのである。

妻の食事が必要ないときは、数年前ならどこかで飲み歩いてやろうと思っていたのだが、今は卵かけご飯で済ましてしまうことになる。一人で食べる食事よりは、やっぱり二人食べる食事の方がうまい。副菜をあれこれ考え、作るのは、一緒に食べる人がいるからなのだ。

時代と共に、味覚も食事スタイルも、生きる価値観も変化する。まっちゃんは、もういない。それでも、妻と一緒に食卓を囲み、静かに流れる日常があれば幸せだ。

今日は冷蔵庫の中の鶏肉で筑前時を作ろう、副菜は先週末作ったイカ大根でいいかな、いや。煮物ばかりになるから、ししゃもを買いたし、焼こう。

やっぱりシローさんの気持ちがものすごくよくわかる、今日この頃なのだ!

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