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一週遅れの映画評:『るろうに剣心 最終章 The Final』おろろんおろろん でろでろばぁ

 なるべく毎週火曜日に映画を観て、一週間寝かしてツイキャスで喋る。
 その内容をテキスト化する再利用式note、「一週遅れの映画評」。

 今回は『るろうに剣心 最終章 The Final』です。

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 なんかパッとしないんだよねぇ。見ててずっと退屈だった、いやね、こういうときって単純に作品の問題だけじゃなくて見る方のコンディションとかも影響してるとは思っていて、体調悪いときに見た映画とかって必要以上に面白くなかったりするのは知ってるんですよ。
 だから今回は見ながら「すっげぇ面白くないなー、風邪か?」とか思って、ほら時節柄アレじゃん?だから結構怯えてたんだけど、まぁいたってめちゃくちゃ元気って言うねw
 
 そもそもお話が私と相性悪くて、抜刀斎の義理の弟。彼が斬り殺した元妻の弟がその復讐を企てる、って話なんですけど……あのね、私こういうのが全然わからなくて。両親とか兄弟が殺された復讐って本当にピンとこないんですよ、いや親兄弟が殺されたらそりゃ嫌だけどさぁ、そんな自分の人生かけてまでリベンジしなけりゃならんようなもんかね?っていうのはこういう系統の話を見る度に思ってて。
 子供を殺されたーだったら私には子供がいないから「まぁそういうもんなんかなぁ」とはギリ思える、恋人とか伴侶だったら自分の所有物……いや所有物っていうのはどうかと思うけど、感覚的には「自己の延長にあるものが失われた」とは思えそうだからこっちもギリギリわかる。でも親兄弟ってたまたま血の繋がりが濃いだけの他人じゃん?おー?なんかヤベえぞ、いまなんか私が結構な人でなしなことがバレそうになってんな。
 いやでもそうでしょ?違う?違うんなら私がおかしいってことでいいんだけどさ。どっちにしろ私は親兄弟の復讐にすげーがんばる話って「なんかよくわかんねぇなぁ」ってハードルがまずあるのよ。
 
 もちろんそういう動機が中心にある作品でも面白いのはあるんだけど、そういうのってそこに対する同意が取れなくてもちゃんと物語として成立しているわけ。で、今回の『るろ剣』はそこがマジで「姉の復讐に全力になるのは当然ですよね」だけで物語が駆動してるから「なんかよくわかんねぇ理由でめちゃくちゃやってるし、それを真面目に相手してる抜刀斎もよくわからんなぁ」という思いがずっと目の前にあって、そこを乗り越えさせてくれるようなものが一切無かった。だから「パッとせんなぁ」って感想にしかならない。
 それに加えて抜刀斎が、なんで私ずっと剣心を「抜刀斎」って言ってんだろwまぁいいか。抜刀斎が元妻を斬った理由、その真意を弟が誤解してること、それはそれとして罪悪感から抜刀斎がその弁明をしない……っていうのが話の中心にはあるだけど、それがかなーり早い段階で見てる方には明らかになるっていう。いや原作あんだからそれは良いだろ、って思わなくもないんだけど、でもなぁ勘違いの復讐で必死になっちゃてる弟くんの滑稽さが強くなりすぎて、シリアスな顔をすればするほどコントじみてくる。血生臭いアンジャッシュのネタに2時間耐えるのはキツイってw
 
 とはいえ、とはいえですよ。この作品で重要なのはストーリーではなくアクション!マジで最近の邦画アクションはめちゃくちゃ凄いんだからそれを見るための映画!……のはずなんだけどなぁ。私はアクションに関してあんまり造詣が深くないから、どこがどうってちゃんと言えないんだけど見てて「すげー!」ってならなかった。
 こう思い出してみると派手だしお金かかってるしで面白いはずなんだけど、なんとういうか「あーはいはい、そういうのね」って感覚になる。いまのアクションって役者もめちゃくちゃ育ってるし、一見しただけではそうとわからない自然なCGで加工されてたり、ドローン撮影で信じられないアングルや構図が作れたりで、やろうと思えばどんなことでもやれるレベルになってると思うんです。
 だから何がアクションの「凄さ」になるかっていうと、シーンのアイデア、それがあるかないかって事だと思うのね。
 
 で、この『るろ剣』。たぶんアイデア自体はあったはずなのよ、でもそれが全部「なーんか古いんだよねぇ」って感じちゃう。えっとね『マトリックス』ぐらいの時代感。
 いま獲物を使った殺陣の最前線、日本におけるね、その最前線にあるのってやっぱニチアサスーパーヒーロータイムだと思うんですよ。特に戦隊ものは「毎週1本」「予算だって限られてる」っていう環境のなかで新しいイメージをもった殺陣を放送していて、それをここ最近で一番感じたのは『ルパパト』なんですけど(これ「レッドが2人いるから、映像的に工夫がいる」っていう部分から発生してると思うんだけど)、あとは『ウルトラマンZ』もかな、ニチアサじゃないけど。
 そこと比べて撮影期間も予算もケタ違いな、邦画としては超大作の『るろ剣』がこのレベルっていうのは、うーん酷評されても仕方ないと思う。人が空中を数メートル滑空して剣撃するシーンをスローモーションで、とかやっぱ古いよ、古い。そういうキメじゃないシーンのアクションの方が面白かったもの、正直。
 
 ただなー、今回作品のメッセージとして「古いしがらみを胸に秘めて、それでも未来へ向かっていくこと」っていうのがあるから、そういう意味でそういった「古い演出」をしてる……って捉えられなくないけど、うーんううーーん、いやだとしても失敗だろ。
 退屈な映画でした、結構期待してたんだけどなぁ。残念。

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 次回は『魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー』評を予定しております。

 この話をしたツイキャスはこちらの20分ぐらいからです。


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