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一週遅れの映画評:『シャン・チー/テン・リングスの伝説』面白い、けどわかってる。

 なるべく毎週火曜日に映画を観て、一週間寝かしてツイキャスで喋る。
 その内容をテキスト化する再利用式note、「一週遅れの映画評」。

 今回は『シャン・チー/テン・リングスの伝説』です。

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 いやーーーあのぉーーー正直あんま良くなかったんですよ。面白かったは面白かったんですけど、なんというか「もう知ってる面白さだなー」って感じが強くて。私の興味範囲とか受け止め方の問題ではあるのはわかってるから、「酷評!」みたいなことはしないと思うんだけど……まぁいいか。
 
 マーベルの「シャン・チー」ってカンフーマスターのヒーローがいるんだけど(確か一時期アヴェンジャーズにも所属してた……っていうかマーベルヒーローでアヴェンジャーズと無関係なヤツ探す方が大変なんだけどw)それを下地にして作られた作品で。
 カンフーマスターが主人公だから基本的にはゴリッゴリの肉弾戦アクションが見どころなわけですよ。で、そこの見せ方っていうか「空間的インフレ」っていま名付けたんだけどwその表現がすごく良くて。
 えーと、段階を追っていくと、最初はバスのなか……バスとは言ってもなんか2台繋がってる、電車で言うと2両編成みたいなながーいバスなんだけど、そこでシャン・チーを狙う組織に襲われる。で次が高層ビル、その高層ビルの外側に設置された工事用の足場が戦闘の舞台になる。その次は格闘ではないんだけどカーアクションが入って、そこからオープンスペースまぁ普通の屋外だわね、そこで戦って。そんで最後は空中戦に入るのだけど。
 
 これって徐々に戦闘空間の自由度が増してるわけですよ。バス車内は一方通行っていうか椅子と椅子の間にある通路が戦闘スペースで前後移動はできるけど上下左右の動きはかなり制限される。だから2D格ゲーみたいな『ストリートファイター』とか、さっきちょっと言った『ノー・モア・ヒーローズ』ってゲームでも主人公がバスの車内で襲われる場面があるんだけど、それも真横から見た奥行きがない画面演出がされていて、まぁそういう限定空間でバッチリ格闘アクションが見れるんです。
 でビルの外壁?足場では左右には行けんですわな、片側はビルの壁だし反対側は虚空で落下死だし。ただ足場が地面から組んであるから上下への移動はできる(めちゃくちゃ怖いけどね!)。これゲームで例えると……ヤバイ、古い例えしか出てこない『アウトフォクシーズ』っていう、ねぇこれ大丈夫?90年代のアーケードゲームだけど、いや有名な名作だから知ってる人は多いと思うけどこうスッと出して通じるかは不安……あれだ『スマブラ』!スマブラみたいな感じね、基本は左右で戦うけど「上下」の概念がある感じ、そういう場所なわけ。
 カーアクションはFPS的視線とトップビュー、空から地面を見下ろした視点が混じる。今度は「全方向平面移動はあるけど上下移動はない」って状態。
 そこからオープンスペースでの格闘シーンになる。スーパーパワーに匹敵する力を持ってる人たちが戦うから、ある程度の上下……超ジャンプしたりとかで空間を拡張しつつ縦は制限ありの横無尽で、なんだこの言葉wまぁそういう空間で戦うわけですよ。つまりはゼルダの『ブレス・オブ・ワイルド』ですわね。あれ、あんなイメージ。
 最後はハチャメチャ空中戦に、『銀の龍の背に乗って』的な……なんかいま中島みゆきが通ったな?そんな大スペクタクルバトルシーンになるんです『パンツァードラグーン』ですわね、完全に。
 
 でね、こういう戦闘空間の拡張って面白いわけですよ。主人公の成長であったり、『シャン・チー』ではどちらかっていうと「自分の成すべきことへの自覚」が目覚めていくにつれて、そうやって世界が広がっていく。映画として画面が派手に、ゴージャスになっていく視聴体験としての右肩上がりと、物語として主人公の成長/変化と同期していく見せ方。そういうのを上手いなー面白いなーとは思うわけですよ。
 ただなーやっぱそれって「知ってる面白さ」なんですよね。んー「シャン・チー」ってヒーロー1作目でオリジンであるわけだし、それこそスパイダーマンがリブートするたびにベンおじさんが死ぬ問題ではあるんだけどwまぁそこで奇抜なことされても困る、ってぇのもあるのはわかる。スパイダーマンだっから「もうそこは雑に処理していいよね」的に、あれやったの『アメイジンング』だっけ?そういう変化球も投げれるけど、『シャン・チー』はマジの一作目だから普通にやるしかないみたいのは理解できる。
 理解はしてるんだけど……ねぇ。だからこっからですよね、アイアンフィストと戦うシーンが見たいので『シャン・チー』続編は絶対に作って欲しいんだけど、今回の作品に対しては「知ってると思うけど、まぁ面白かったかな?」ぐらいの微妙な表現しかできない、って感じ。そういう意図もあるよね、やたらゲームで例えたのは。「すごいよね、知ってるけど」っていう。
 
 あとはアジア系俳優・女優が~みたいな好評価が耳には入ってくるんだけど、私にとって「でもそれってやっぱ作品の”外側”の話じゃんかよ」って感覚がどうしてもあるので、それは良いことだし、ケイティってキャラクターはめちゃくちゃ良くてそれがこの役者の話に繋がったりはするんだけど、それは私がする話ではないかな?だから私が語る作品の良さには入ってこないんです。
 
 とにかく続編よ、続編!それは期待してます。

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 次回は『スーパー戦闘 純烈ジャー』評を予定しております。

 この話をしたツイキャスはこちらの20分ぐらいからです。


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