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一週遅れの映画評:『劇場版アルゴナビス 流星のオブリガート』星を繋ぐのは、私の役目。

 なるべく毎週火曜日に映画を観て、一週間寝かしてツイキャスで喋る。
 その内容をテキスト化する再利用式note、「一週遅れの映画評」。

 今回は『劇場版アルゴナビス 流星のオブリガート』です。

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 いやー、失敗した。
 
 今週は時間がなくて、もうほとんど飛び込みみたいな。「空いてる時間に映画館へ行って、とにかく次に始まる作品を見る」みたいな感じだったんですよ。だから下調べとかなんも無しで……。
 そんなんだから、これが『バンドリ』シリーズに連なる作品だということも、来年の劇場版新作へ向けて作られたテレビアニメ版の総集編だってことも知らなくて……。
 
 だから最初の1/3は「随分テンポ良くぽんぽん話が進むなぁ、まぁ大して複雑なストーリーでもないからいいけど」ぐらいの気分でwつまんないわけじゃあないけど、あまりに情感が乏しくてどうしたもんかね。と思っていたんですけど、中盤くらいから「あれ……もしかしてこれ……ダイジェストかなんか?」ってようやく把握できたのね。全13話のアニメを89分でまとめてて、しかもバンドものだから要所要所で演奏シーンをしっかり入れないといけない。そう考えると超要約版というか、チェックポイントみたいに出来事を通過していくみたいなことしかできないのも無理ないなぁ、と。
 
 で、そうやって要点だけをかいつまんでいくわけだから、それって逆説的に「この作品の何が魅力だと、製作者側が考えているのか?」が明らかになっていくわけよ。
 結論としては「みんな良い子!」っていうねw主人公グループのちょっと捻くれてるヤツも、ライバルグループの俺様キャラも、全員が本質的には善人で善良で。なんというか一人も悪い子がいないの、なにか嫌な感じが出ていたとしてもそこにはちゃんと理由があって、決して悪意なんてないことが説明される。
 これがテレビアニメ版だったらきっとある程度のタメがあって繰り出される展開なんだろうけど、ほら私見てんの要約版だから。伏線の回収がマッハなのよ、だからもう「あー、みんな良い子ねぇ」という感想へあっという間に着地するんです。
 それがすごい今のコンテンツ感というか、どこでどのキャラが人気になるか全然わからない。あるいは「あなた(視聴者)」にどのキャラがハマるかわからない。わからないから全てのキャラクターに瑕疵を作らず、いかに誰がいつどこで愛されようとも大丈夫なように作られていて。
 
 まぁそういう配慮って今に始まったわけでもないと思うんですよ。言ってしまえばスーパー戦隊だって5人+αそれぞれを魅力的に見せてるわけで。だけど総集編でそのポイントを的確に拾っていくっていうところに「そこにすごく気を使ってるんだなぁ」と思いました。もうちょっと悪く解釈すれば「××というキャラを公式が悪く描いた!」と炎上しないように留意しているようにも見えてはしまうけどもね。
 
 この『アルゴナビス』ってタイトル、主人公たちのバンド名なんだけど元ネタは「アルゴ船座」なのね。ギリシャ神話のアルゴー号……FGOやってる人だとまず「ああ、あのイアソンの」って頭に浮かぶアレ。あれを象った「星座」なんですよ。
 なんかね、要点だけをポンポンポンと提示されるダイジェスト感と、その隙間を想像で補うことが許されてるような(言い換えればBL的想像力を容認するような)感じが、ものすごく「星座」ってモチーフと相性が良くて。なんか上映途中からそんなことを考えていたせいか最後には妙な納得を覚える、これはこれで貴重な体験をしたのではないんだろうか?って気分になる不思議な89分でした。

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 次回は『ディア・エヴァン・ハンセン』評を予定しております。

 この話をしたツイキャスはこちらの20分ぐらいからです。


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