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「2階建て」の高気圧 続く猛暑のメカニズム 浜松で41.1度

>日本列島は17日、西日本から東日本にかけて高気圧に覆われたため晴れた所が多く、各地で猛暑に見舞われた。気象庁によると、浜松市中区の最高気温は1882年に観測を始めてから最も高い41・1度を記録。国内の歴代1位の埼玉県熊谷市(2018年7月23日に観測)と並んだ。

宮崎県西米良村と岐阜県美濃市では39・7度、浜松市天竜区で39・6度になるなど、35度以上の猛暑日となった観測地点は269カ所、30度以上の真夏日は656地点に上った。

8月に入り全国で猛暑が続いているのは、上空5000メートル付近までを覆う太平洋上の「太平洋高気圧」に加え、上空1万7000メートルまで達する「チベット高気圧」が中国大陸から張り出し、日本の上空で重なる「2階建て」の状況になっているからだ。

気象庁によると、例年は偏西風の影響でチベット高気圧は日本上空に張り出してこない。だが、今夏は8月上旬に偏西風が例年より北側で吹いていたため、高気圧が日本の上空を2階建てのような構造で覆った。

高気圧の中では下降気流が発生しており、その影響で地表に向かって空気が圧縮されるため気温が上がる。今回は高気圧が重なったことで、より気温が上昇しやすい状況になっていた。さらに、高気圧により雲もできにくくなり、日射量が増えたことも気温を上げる要因となった。

特に17日は東海地方の上空1500メートル付近の空気が周辺より3度高い約24度と暖かく、浜松市では西風が吹いており海からの涼しい風が入り込みにくい状況だった。そのため気温が上がりやすかったとみられる。東京大の中村尚教授(気候力学)は「ここ数年、各地で最高気温を更新している。平均気温自体が上がっており、地球温暖化も無関係ではない」と指摘した。

浜松市西区の浜名湖ガーデンパーク職員、橋本英樹さん(36)は「浜松が国内最高気温タイを観測したのは意外」と驚いた様子。この日午前9時、園内の写真撮影で外に出た瞬間に汗が噴き出したという。「暑い街は埼玉県熊谷市など内陸のイメージがあり、遠州灘が近くにある浜松は海風も吹くので、暑いイメージが全くなかった」と話した。

暑さにより、熱中症による救急搬送も相次いでいる。東京消防庁によると、17日は午後3時までに東京都内だけで少なくとも136人が搬送された。このうち、重症者は5人、重篤者は1人だった。

今後も暑い日は続きそうで、東北地方では20日にかけて、東日本と西日本では21日ごろにかけて、高気圧に覆われて晴れる所が多くなり、各地で猛暑日となる見通し。気象庁は「水分をこまめに補給し、屋内にいても冷房を適切に使って熱中症に気をつけてほしい」と呼びかけている。


最高気温の記録

順位 観測地点    観測値   観測日

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1位 浜松市中区   41.1 2020年8月17日

   埼玉県熊谷市  41.1  18年7月23日

3位 岐阜県美濃市  41.0  18年8月8日

   岐阜県下呂市  41.0  18年8月6日

   高知県四万十市 41.0  13年8月12日

6位 浜松市天竜区  40.9  20年8月16日

   岐阜県多治見市 40.9  07年8月16日

8位 新潟県胎内市  40.8  18年8月23日

   東京都青梅市  40.8  18年7月23日

   山形市     40.8 1933年7月25日

(気象庁のウェブサイトより)

(毎日新聞)



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