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カナダ、台湾、シンガポールを経てスペインに住んで思うこと

スペイン生活 111日目

私がこれまでに住んだ事がある都市は、
長崎、大阪、カナダのトロント、東京、台北、シンガポール。
北米、東アジア、東南アジア、それぞれ違う良さがあるし、
日本の中でも長崎、大阪、東京はそれぞれ違う。

バルセロナは少し長崎に似てるとたまに思うことがある。
山があって(バルセロナは丘?)、海があって、坂道がある。

始めて住んだ海外はトロントだった。
目的は語学留学で、英語ももちろん上達したとは思うけれど、
自分の意志をはっきり伝えることの大切さを学んだ5か月だった。
トロントにはチャイナタウン、グリークタウン、リトルイタリーなどがあり、
さすが移民の国だけあって、自分が外国人と言うことをあまり感じずに過ごした。
色んな人がいて、みんな違うのが当たり前だった。
コンビニもないし、ショッピングモールも日曜は早く閉まるし、
ぎゅーぎゅーにならない地下鉄、時間の流れが緩やかだった。
冬は気温がマイナス5度とかそれより下がる日もあってとにかく寒く、
逆に夏は日が長くてとても暑かった。
アメリカとは違って、銃犯罪の心配をしなくて良かったし、
夜遅くに一人で出歩くことはほぼなかったけど普通に生活している上では
特に治安は心配しなくて良かった。
絶対いつかまたこの国に戻ってくるんだと当時の私は思っていた。

次に住んだのは台北。
ごはんは美味しいし、台湾人は親日家だし、夜中に一人で歩いてても平気な治安。
物価も安いけれど、その分、お給料も安い。
ただ、中国語が話せないと快適に住むのは難しい。
ある程度話せるようになったけれど、もっとペラペラ話せるようになりたいとは思わなかった。
英語がそこまで通じず、どちらかと言うと日本語の方が通じた気がする。
コンビニも日本並みに充実していて、夜中でもあらゆるお店が開いていた。
台風が来るし、地震もあるし、台北は思っていたよりも冬寒かった。
そして台北のエアコンに暖房機能が付いていないことを知った。

私の第二の故郷と言っても過言ではないシンガポール。
トータルで約7年住んだ。
あらゆる日本企業が進出していて、高島屋、伊勢丹はもちろんのこと、
ドンキ、ダイソー、東急ハンズ、モス、吉野家、やよい軒、牛角、紀伊国屋書店、
その辺の日本の地方都市よりもあらゆるチェーン店が進出していた。
何でも日本の倍もしくはそれ以上の値段がしたけれど、
お金さえ出せば日本のものはありとあらゆるものが手に入る国だった。
お給料ももちろん高かったけど、家賃や医療費の高さが異常だった。
国民の半数近くが外国人なだけあって、外国人の住みやすさとしては
これまでの国の中でもピカイチ。
ただ、シンガポール人の不満はもちろん外国人に対して向かうわけで、
シンガポール人を優先する政策がとられていたことも事実。
コロナ前は気軽に週末でタイやベトナム、バリなんかにも旅行に行けた。
週末はコンドミニアムのBBQピットでみんなでBBQするのが定番だったし、
色んな人と知り合う機会が多かった。
ただ、全てをコロナが変えてしまった。
コロナで国境が閉鎖されたあとは、国内旅行という概念がないこの国の小ささを実感したし、
Fine Cityと言われるだけあって、マスクをしていなかったら罰金、
定められた人数以上で集まっていたら罰金、下手すると外国人は強制送還だった。
ワクチンの予約ももちろんシンガポール国民優先だった。
最終的に私は息苦しさが耐えられず、仕事を辞めてスペインに引っ越すことになるのである。

そしてついに来たスペイン。
引っ越す前に旅行で5回も来たスペイン。
一度住んでみたいと思っていたけれど、まさか実現するとは。
来る前からある程度の不自由さは覚悟していたけれど、想像以上だった。
ありとあらゆることが一筋縄ではいかない。
前回の記事でも述べた通り、カタランが余計に難しくしているのはあるかもだけど、
忍耐強さが必要なのだ。
一回で上手くいかなかったり、時間がかかるのが当たり前と思うようになった。
ただ、晴れの日が多く、冬でも気温が比較的温暖で、
スリ以外はあまり治安の心配がないのは確か。
そして知らない人でもピソ(スペイン語でアパートまたはマンション)の
エントランスで会えばHola!と挨拶をするし、
道端で突然知らないおばちゃんがドレス屋さんのショーウィンドーを指さしながら
”あの飾ってあるマネキン、ちょっと太っちょよね?あなたから見てどう?
私、こういう多様性って必要だと思うわ!”と話しかけてきたり。
メトロで席を譲った人と譲られた人がおしゃべりを始めたり、他人との距離の近さを感じる。
しかしコンビニはないし、シエスタの時間(14:00~16:00の間位)にお店だけでなく、図書館も閉まる。
日曜にスーパーが閉まるし、祝日はメインストリートのショップも閉まる。
むしろ今となっては日本も台湾もシンガポールも何であんなに開いていたんだろうとすら思える。
便利さを追求しすぎて、自分たちの首を絞めている気がしなくもない。
本当に24時間営業や年中無休の営業は必要なのか疑問だし、
便利さの為に誰かを犠牲にしている。
シンガポールにいた時は日本っていまいちだなって思う事が多かったけど、
スペインにいる今は、日本って色々便利だったなって思うことも多い。
ありとあらゆるサービス(宅急便や料金の支払い、切手やコピーなど)を提供してるだけでなく、
美味しいスイーツやお惣菜まで売っているコンビニはすごいし、
100均で売っている便利グッズには頭が下がるし、それを110円で売ることが出来るのもすごい。
ただ、逆に自分が外国人の立場で日本に住むことになったら大変だろうなと思ったりもする。
銀行口座の開設にまずはハンコがいるとか、
そもそも外国人が家を借りるのは大変だとも聞いた事がある。

私のスペイン生活はもうしばらく続くのだけど、
スペインに来てようやく私は最終的に住みたいのは日本だと気付いたし、
家族を大切にするスペイン人を見て、自分の家族の大切さを改めて感じる。
散歩したり、落ち葉を踏んだり、日向ぼっこしたり、飛行機雲を見上げたり。
便利さや忙しさの中で忘れていたことを思い出させてくれた国がスペインなのだ。



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