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個別学習って一人で行うもの?

こんにちは。授業支援クラウド「スクールタクト」を開発しているコードタクト代表の後藤です。教育、IT、音楽が専門のEdTech系指揮者です。

今回は個別学習がテーマです。

要約
個別学習は一人で行うものだと思われています。
しかし、学校はみんなで集まるという場です。ICTを使ってクラス全員が学び合う「協働性」を取り入れることで、コミュニケーション力やクラスの人間関係づくりにも効果的な楽しい個別学習が行えると考えています。


そもそも個別学習とは独学とは違う

大辞林によれば個別学習とは「児童・生徒の個人的な素質・能力・環境に応じて行われる学習形態」と書かれています。

この「応じて」という部分が大切で、学校教育では教員が学習者の素質・能力を把握していることが前提ですし、主体的に学ぼうと思える環境づくりが大切です。問題を渡して、自由に勉強してねというものではありません。

しかし、30人程度いる学級の中で、学力テストで理解度を測れるかもしれませんが、書いて理解するタイプ、聞いて理解するタイプなど人の認知特性はそれぞれですし、興味関心やその子どもに合った学び方など教員が把握することは難しいのではないでしょうか。

そこで実態としてはおおよそ中位のレベルの課題を全員に解かせたり、学力テストで習熟度別にクラスを二分し、基本レベルと応用レベルにわけた課題を解かせたりという形になりがちだと思います。

個別学習からの見取りの課題

個別学習の際に、教員が教室を歩き、子どもの進捗状況を見たり、質問に答える机間巡視を行うことが多いです。

机間巡視は個別にサポートできるので有効な方法ですが、質問者が多い場合はサポートできなくなってしまい、わからない子どもはそのまま飽きてしまいます。

また、個別学習の後に教員が解説をするという場面で、ただ説明するだけでなく、子どもに説明をしてもらう方法があります。

指された子どもは、脳をフルに使って説明していきますが、他の子どもはどうでしょうか?真面目に聞いている人もいれば、すでに理解しているので暇な子、説明を聞いてもわからずに諦めている子などがします。

生徒が主体的に学べる環境とはなっていないように思うのです。

個別学習に協働性を組み込む

そこで最近では、AIを使ったドリルなどを使うことで個別性を担保しようという動きも出ているかと思います。AIドリルは一人ひとりの正誤の情報を元に、適切な問題を出してくれるので、個の能力に応じた学習ができます。

確かにAIドリルで素早く学べますが、知識・技能の向上だけが学校の価値ではありません。多様な子どもたちが1つの学級に集まって行う活動の意義は、子ども同士の交流により思考力や、主体的な取り組みを高めるところにあります。

私はスクールタクトという授業支援クラウドを開発しています。これを使うと個別学習に協働的な学び合いの要素を加えることが出来ます。

もちろん紙だけを使ったアナログな方法でも出来るのですが、物理的な制約で共有される範囲が4人グループの中など少人数に限定されてしまいます。

授業例

授業支援クラウド「スクールタクト」を使った個別学習の授業例を紹介します。単元のまとめとして既習の内容をおさらいする場面の例です。

手順は以下です。

1.課題の配布
2.演習
3.生徒の相互採点
4.迷ったところを意見交換

こちらがある生徒の回答で迷ったところを意見交換しています。

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画面の右のコメント欄を拡大したのが下です。
みんなで確率の計算方法について学び合いをしています。

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とてもシンプルな例ですが、先に紹介した先生が指名して発表をさせていた活動は、一人の子どもだけに学びがある状態ですが、スクールタクトを使うとクラスのみんなが指名された状況を作ることが出来ます。

手を上げて「わからない」と言うことは、大人でも勇気がいることです。チャットだから、自然とわからないことをわからないと言える。わかっている子どもが主体性を発揮し、わからない子どもを手助けする。スクールタクトはそんな場を作ります。

みんながお互いの学びに関心を持ち出し、自分との理解の差分を考え始めることになるのです。

他にも以下のような
・入試問題を生徒相互に添削をする授業
・個別学習の進度を共有しながら、振り返りも共有する授業
などもあります。


まとめ

以前のnoteで一斉授業の中で、その振り返りを共有するという「協働性」を入れることで理解が深まり、また楽しく授業に参加できるという話をしました。

個別学習でも、振り返りを共有することで同様な効果が挙げられます。

勉強は一人で行うものだという固定概念が私達にはありますが、オーケストラ、スポーツ、社会でもチームで課題解決をしていくことがほとんどです。そしてチームで学びを共有しながら成長していきます。

しかし、学力テストや入試など、個人での学びが評価され過ぎてしまう学校教育では、学びを共有しながらみんなで成長していくというテーマはあるけれども、実態としては一人で学ぶという状況ではないでしょうか。

一人で学ぶのは大変だけど、みんなで学ぶと楽しい。

そのような価値観になるようにスクールタクトは伴走していきます。


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