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藤本巧 Roots

昨年の三月に初個展を開催した藤本巧さんが、二度目の個展「Roots」を開催致しましたが、若いエネルギーの成長の大きさに驚いております。
強いインパクトが特徴という作品ではないと感じますが、展示を見られる人々の心をじわじわと捉える力が伝わって参ります。
藤本さんの今回の絵のモチーフとしては、和のアンティーク風な美しく絵付けされた器や壺などの陶器が多く描かれました。
古伊万里など日本の伝統美溢れる工芸文化を、藤本さんカラーにフレッシュに、オリジナルな感覚のイラストレーションとして仕上げました。
それらの作品画面の微妙な色使いのハーモニーは、柔らかな印象でありながらメリハリも感じられる、積み重ねられた研究の成果がうかがわれるものでした。
作品を創造するという行為は、自分自身が感じる空気感や社会、ひいては宇宙、そして多くの人々へとアンテナを張り巡らせ、キャッチするものを咀嚼し、解釈し、そして表現への行程へと繋がっていくのではと想像致します。
藤本さんの場合、日常を生きていて得る創造的な感覚の全てをイラストレーション制作へと投影させているのではないかとさえ感じられます。何かを説明したり考えを主張したりする以前に、ヴィジュアライズさせる事へと集約されている様な・・・。
扱いがたいへん難しい画材、顔彩の筆使いも自由にのびのびと描かれていて、作品を見られた多くの方々が楽しんでくださいました。
そして今回の作品創作の技術的側面の向上も目覚ましく、不思議な方法で、自然に下地の色が浮かび上がって見えるという技を修得された様に感じられました。


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