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民野宏之 作品展

時代の風がどんどんシビアになっている季節に、民野さんの作品展が近づいて民野さんにお会いできる、と思うと、ひとすじの清涼な風を心待ちにしていた感覚をおぼえます。
作品と作家の精神はリンクしているのは当然ですが、民野さんの作品から流れ出してくる涼しげな同時に温かなエネルギーは本当に大切なものと感じております。
この地球上で起きている知らぬ間に始まっていた疫病の流通とか謀略から生まれた戦争が取り巻く空気感は、これまでの意識のままでは理解することのできないもどかしさがあって、私たちの心は灰色の靄で覆われてしまいました。
いろいろなことが起こって、様々な解釈の元で考え行動しておりますが、はっきりとした答えは出してはいけない雰囲気が蔓延しています。
民野さんは、30年間も毎年個展開催を続けて下さっていて、感覚的なことから地上で起こっているたいへんな事柄についてもほとんど感じ方が通じるため、そしてそんな風に物事を捉える人間はひじょうに少数派のため、勝手に連帯感を持たせて頂き、ブログではつい私感も書いてしまいます。
さて、今年は民野さんの30回目の個展でしたが、今回も作品に新しい風を感じました。
時間がタイトにぎゅっと詰まっていて面白い感じ・・。
懐かしさを感じる古き良き時代と現在の新しい息吹との両方の空気感をはらんだ魅力ある作風を生み出されておりました。
実は昨年末にスキーで左腕を骨折してしまった民野さん!左手が固定されていて動かせないため、絵の具のチューブを右手だけで開けなくてはなりません。毎回左足の指と右手で絵の具を出すのが大変だったため、絵の具をチューブから出す回数が減ったりその代わりに一度に絞り出す絵の具の分量が増えたりしながら、画風が変わって行ったのだそうです。まさに災い転じて・・・の例え通りですね!
そうしたお話を聞き、改めて作品を拝見しますと、最近描かれることの多い北海道の山々や大きく広がった空も、花や果物などの生物画からも、視覚を通じて北の地方の涼しげな心地よい風を感じさせて頂くと共に、時間の流れや民野さんご自身の物語を感じ取ることができました。
来年の民野さんの作品、終わったばかりですが、本当に楽しみです。


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