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無理に上位資格を目指さなくても

別の記事では、電験3種取得から上位資格を目指す場合を記載しました。
それは、若い世代の方や異業種から電力関係の仕事を目指す方が将来を考える参考になると思っているからです。

電験3種で再就職

その一方で、必ずしも上位資格を目指さなくても、電験3種だけで定年後、一定の収入を得ている方もいらっしゃいます。
具体的な例を言いますと、地方都市の山間部にある鋳物工場の主任技術者さんは、電験3種を持っておられ、通常の社員とは違う時間帯で出社されていました。

10年ほど前のことですが、確か、給料が38万円だと伺った記憶があります。そして、その時すでに、80代で「代わりが見つかれば、退職したい」とおっしゃっていました。

世の中の経済状況や、その会社の状況は変化していくものですが、電気主任技術者を置かなければならない(設備規模が大きいため、外部委託は出来ません。)ことは、現在も変わりません。

こうした職場が、自宅から近いところで見つかれば、電気保安の面からも、働きやすさの面からも、一定の年齢になった方にはふさわしいと言えます。
早めに資格を取得し、いい出会いがあれば、それをキャッチするというのは、重要なことです。
この場合も、会社は電気主任技術者が必要ではありますが、そのポジションに必要な人員は「1」なのです。

 

ただし、安泰だと思って、何もしない、若い社員の方のお荷物になるという状況だと情けないでしょう。
周囲から悪い評判が多くなれば、会社としても何らかの手段を講ずることは十分考えられます。また、再就職先も、雇用前にはその職場での状況について情報を得ようとしますから「いい加減な仕事ばかり」では良い方向には進まないでしょう。
働くからには、きちんとした仕事や、保安管理の勤めを果たすべきです。
周囲の若い社員は、年配者だと遠慮をしたり、敬ったりしてくれるかもしれませんが、電気はうそをつかないし、おべっかも使いません。
電気関係のトラブルがあれば、その対応の中心は電気主任技術者なのですから。
私が知る範囲でも、月末に定年を迎える方が、その方の送別会の日に、現場に出かけ、安全確認不足により、送電線を停電させてしまいました。当然その職場は、その対応であわただしくなります。また、ケアレスミスであったため、その人に対する感情も悪くなり、結局当日の、送別会は中止になりました。


 

友人のケース

私の友人のケースを紹介します。
私は電力会社を早期退職してから、行政書士になり、実務経験による電験取得を始めました。社内で、親しかった友人の一人は、退職することなく定年まで勤務する道を選びました。

年賀状等で、近況を伝えているうちに、直接電話が友人からかかってきました。
『今すぐに使う予定はないが、電気主任技術者の資格を取っておきたいと思うが、友人としてどう思うか』
というものです。
私の仕事は報酬を得て行うものですが、詐欺やまがい物を売りつける商売ではありませんから、自分の信じている内容や、資格取得の価値について伝えました。

そして、その友人の資格取得をお手伝いし、半年もかからずに免状を取得されました。
認定工業高校卒業の方でしたので、電験3種です。
それから数年後、彼は再就職先を探すことになり、たまたま彼の自宅近くの大学で、「有資格者で、すぐに勤務できる人」という求人があり、すぐによい条件で再就職できました。
その時も、何年も経ってからも、彼から何度も繰り返して感謝の言葉を受けました。

 

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