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住民の避難に逆行する

現場力に関係する、電力の技術系・事務系の現場業務に関する経験等について記載します。


住民が避難する場所へ緊急車両で向かう

電力会社には緊急車両があり、事故復旧のため現場に急行する際等に使用します。送電線の保守を担当している現場の部署では、時々出動しなければならない事故があります。

「サイレンを鳴らし、赤色灯を光らせても、電力会社の車では周囲がなかなか気づいてくれない」ということを、当時の先輩は言っていました。

また、進路を譲ってもらえない場合もあるといいます。そんな中、緊急自動車を運転する先輩は、いつも以上に真剣です。
赤信号で交差点に入ったり、時には道路を逆行したりするため、当然、気を使います。
赤信号で、大きな交差点に入るときは、同乗していた私も緊張しました。

ある年の夏前、薄暗くなってから電気事故が発生し、車で1時間くらいかかる地区に向かいました。その地区では、大雨の影響を受け住民が避難始めていました。

大雨で、災害の発生が予想されるから、住民が避難すしている、その地区に、大雨で薄暗くなる時間帯に、逆行して向かいます。

道路の冠水も予想され、土砂崩れがあるかも知れません。道が通れるのかどうか、どんな状況なのか分からない中を進みます。

幹線道路に面した住宅からは、宅地の中から濁水が流れ出ています。屋根だけが見える水没した車が何台も見えます。

気持ちは高ぶっているので怖くはありませんが、今になってもずいぶん危険なことをしていると思います。

その現場からいつ、どうやって戻ったのかは記憶にありませんが、並んだ宅地の家々から、濁水が流れ出てくる様は、今でも鮮明によみがえります。
結婚後、自宅をどこにするのかを決める時にも、大きな影響を受けました。


線状降水帯と湿舌

かつて電力会社では、雷や出水が電力事業に大きく影響するものであることから、例年この時期に、気象に関する研修会が開催されていました。

かつて、水害は、梅雨末期に発生しやすく、その原因は南から湿った暖かい風を運んでくる湿舌という・・・いやネットを見ると、「湿舌は原因ではなく結果だ」という記事もあります。

台風の東側や太平洋高気圧の西側の縁を廻って、非常に暖かく湿った空気が日本付近に流れ込むことがあります。この暖かく湿った空気は舌のような形をして日本付近へ北上してくるため湿舌(しつぜつ)と呼ばれています。
湿舌は水蒸気を多く含んでいるため、しばしば集中豪雨の原因となり、洪水や土砂崩れなど大きな被害が起こることがあり注意が必要です。

https://hp.otenki.com/527/

最近この”湿舌”という言葉よりも、”線状降水帯”という言葉をよく聞くようになった気がします。そして、必ずしも梅雨末期だけが大雨の被害が発生しやすい時期とも言えなくなっているようです。

地震の予測やそれに伴う具体的な行動を早めにとることは難しいと感じますが、大雨は必ず毎年やってきます。ある程度の発生時期の特定もできるので、自分でできる対策は必要です。

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