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お返事にお時間を頂戴したい、常。

言葉を紡ぐことにすごく時間が掛かってしまう。

演劇が終わると、時と場合によっては役者面会というものがある。
さっきまで舞台でなにかをしていた俳優さんと、シラフの人間としてフツーにお話できるのだ。

私はそれがとても苦手で、
お客さんとして観に行った場合、お疲れのところわざわざお話までしてもらってこの後も本番は続くのにな、とか、
創作に掛けた時間に対してポロッと出た一言に責任が取れないな、とか、ちっぽけないち感想が本人に直接届くのはいかがなものかしら、とか余計なお世話が渦巻いてしまう。
相手がどう思ってるかなんかそっちのけで、自意識の塊が邪魔をした私が、「ア、ヨカッタデス、ホントホント」と浅はかな熱量だけをお届けして速攻退場するだけなのである。

かといってこちらからLINEをするなんてもってのほかで、
本番間際の集中してる俳優にLINEの時間を取らせるなんて考えられないし(私より優先すべき連絡がいっぱいあるでしょとかまた余計なお世話)、
文面だけだと浅はかな熱量すら届かないし、「あ、よかったです、ほんとほんと」なんて送信できるわけがない。

だけどお相手から連絡をくださること自体は嬉しくて、もうその時点で待ちの姿勢前回の隠れ構ってちゃんなのである。
恋文とかの時代に生まれていたら、封筒を買い、筆を選び、背筋を伸ばしてサラサラ書けたかもしれない。
いやそんなわけがなかろう。
封筒を買うのも大変だ、とか届くのにどうせ時間が掛かるから来週にしよう、とか返事をしなくなる。
いつの時代に生まれてもわたしゃだめだ。

この時代、あまりに人類が筆(電子)まめすぎて、この世に正規の攻略法があるんやないかと思われてきた。
そうだ、言葉なんか盗んじまえばいいのだ。
どっかの誰かの上手い使い回しをストックし、引用してもっともらしい常識人フェイスで送信ボタンを押せばいい。できない。とても…できない…。
できもしないハンドメイドのオリジナルな言葉を探し、結局表面上の薄らぼんやりした雰囲気だけのニュアンスのナニガシを送っている。
三点リーダや絵文字を思いやりだと思うのはあまりにも自慰的すぎる。許してくれ。
思いやりを持てない俺を、許してくれーーー。

四方八方塞がりのように思われた最中、YouTubeをえびす顔で開く。
これはもう返信しない確定モーションに入った。
刻一刻と時間は過ぎる。
いけない。文字だ、文字を追従させるんだ。

言葉だ、言葉にしないと、思ってることを相手が分かってくれるわけがない。分かってくれるだろう、は満身だ!
しっかしどうも電脳世界で言葉の海に溺れてしまいまして、引き上げられてのち、浅瀬でちゃぷちゃぷしてる人生がいいのだ。これ怠惰!!

こんな駄文of駄文を書いているのも比較的元気があるからで、もう寝なきゃいけないタイムリミットをとうに過ぎている。
最近朝が弱いの、などとしなだれてみたいが、朝が強かった試しがないため、今に始まったことではない。
寝なくては、という意志を超えて浅瀬で世界最小のアラウンド・ザ・ワールド。

だせぇ、だせすぎる。
さぁて、世界平和でも望みますか。
愚かにも6畳の出来事であった。

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