遊休不動産の時間貸し運営代行を手がけるスペースモールがスペースマーケットグループに参画!トップインタビュー
2021年6月7日スペースマーケットは、株式会社スペースモールの全株式を取得し、同社を完全子会社化することについて発表しました。スペースマーケット創業7年目で初めてのM&A。スペースマーケットの重松社長(以下、重松)とスペースモールの小泉社長(以下、小泉)に、本取り組みの経緯や今後の展開についてお話を聞きました。
スペースマーケットの創業7年目にして初めてのM&Aの発表になりました。なぜ、M&Aという選択をされたのでしょうか。
(重松) スペースマーケットは、2014年の創業以来「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする。」というビジョンを掲げ、スペースシェアのプラットフォーム「スペースマーケット」を運営し、さらなる市場拡大を目的に2019年に東証マザーズ市場に上場しました。
これまでプラットフォームとして、集客や予約に注力してきましたが、さらなる市場の拡大のためには、より一層ユーザー(ゲスト・ホスト)へのサービスの質を向上させることが重要だと考えていました。
これまで、サービスの質を高めるためのノウハウの蓄積を目的に、自社運営にチャレンジしたこともありました。しかし、プラットフォームが最重要事業となるなか、自社運営ではスピード感に課題も感じており、すでにノウハウを蓄積している仲間に参画いただくことで、スピード感をもって市場を広げていくことができるのではと考えていました。
そんな中、スペースモールは創業初期の頃から一緒にプラットフォームを盛り上げてきてくれた企業のひとつです。コロナ禍においてもスペース数を増やし急成長されていました。また、そのような成長下でも利用者に満足度の高い体験を提供し、清掃などの運用の仕組み化をおこない、どんどんノウハウを蓄積されていることが素晴らしい会社だなと常々感じていました。
今回、スペースマーケットのグループに参画されたスペースモール社。2018年に設立されたとのことですが、まずは小泉さんの起業のきっかけを教えていただけますか。
(小泉)学生時代から空間の活性化ということに興味があり、新卒では不動産関連の企業に就職し、レンタルオフィスなどの運営事業に携わっていました。プライベートでも自宅の一部をシェアして、Airbnbで貸し出すといったことを2014年くらいからやってました。
当時は、海外の利用者を中心に、ほぼ毎日予約が入りこの市場に可能性を感じていました。
その後、本格的に民泊を事業化しようと独立をしました。しかし、2018年に「民泊新法」が導入されることになったため、民泊事業から時間貸しの事業へ移行していきました。
民泊事業からの時間貸しへの転換。現在は、遊休不動産の時間貸しの運営代行を手がけられていますが事業概要をもう少し詳しく教えていただけますか。
(小泉)2021年6月時点で社員は6名います。営業、企画、設計、経理、CSなどの業務をおこなっています。その他、業務委託で50名ほど清掃を対応いただいてるパートナーの皆さんがいます。
わたしたちが運営している物件は関東を中心に大阪、福岡など約120件です。この1年でスペース数は約2倍に増加しています。物件オーナーさんから運営を委託いただき、周辺調査をしたうえで、空間の企画設計、スペースの運用(ゲストとのやり取り・当日対応・清掃など)までを一貫して対応しています。
持ち家が空いているのでどうにかしたいという方やスモール投資を目的とする方、飲食店舗の空き時間を活用したい方など業種は様々ですが、空間を収益化させたいという目的をもって相談いただく方が多いですね。
スペースモール社が運営しているスペース:
https://www.spacemarket.com/owners/naoya
コロナ禍での2倍の成長!すごいですね。スペースモールの運営するスペースは、非常にゲストからのレビューの評価が高い傾向にありますが、どんなことを大切に運営されていますか。
(小泉)ありがとうございます。弊社では、入社時に1ヶ月間のスペース清掃研修をおこなっています。
どんなスペースが人気で、どんな利用がされているのか、清掃方法や近隣状況の把握など、現場を知ることがゲストの体験価値の向上につながると考えています。
ゲストが誰とどうやって使うかを具体的にイメージし、そして自分も使いたいか、という「ゲスト視点」を意識して運営に携わってもらっています。全員が清掃研修を通過しており、この社風はうちの文化にもなっていますね。
ゲストからの評価も高く急成長中のスペースモール社ですが、グループになることでどのようなシナジーが考えられますか。
(重松)まず1つめは、スペースモール社の運営のノウハウや仕組みを他のホストの皆さんにも展開することで、より質の高いサービスと効率的な運営を実現していきたいと思っています。
そして2つめは、ホストダッシュボードをはじめとするプラットフォームをスペース運営に適した状態にアップデートしていきたいと考えています。日々、ダッシュボードを使い込み、ゲストとやりとりをされる中で生まれるアイデアをプロダクトに活かしていきます。
その結果として、ユーザー(ゲスト・ホスト)の体験価値をさらに向上し、より多くの人たちに使ってもらえるサービスを作り上げていきたいですね。そして、シェアリングエコノミーのプラットフォームの成長の実現に繋げていきたいと考えています。
スペースマーケットには現在15,000件のスペースが掲載されています。今回のグループ参画によりスペースモール社の運営しているスペースへ優遇措置などはありえるのでしょうか。
(重松)それは無いですね。引き続き、プラットフォームの公平性はしっかりと担保していきたいと考えています。
ホスト手数料は全てのホストの皆さんが一律となってますし、検索ロジックについての優遇はもちろんありません。検索ロジックについては、社員の限られた数人しか知らない情報となり、実は僕自身も知らないくらいです。
「スペースシェアの体験価値の向上」についてお聞きします。具体的には、どのような取り組みを検討しているのでしょうか。すでに準備をすすめているものがあれば教えてください。
(小泉)スペースモールとしては、スペース運営の効率化に繋がるようなノウハウは溜まってきているので、精度の高い情報をみなさんにご提供できるように準備していきたいと考えています。
また弊社運営以外スペースと弊社の清掃員のマッチングについて、現在実証事業をおこなっており、こちらも成果を出した上で展開していけるようにしたいですね。
(重松)将来的には、ホストダッシュボードから清掃員へリクエストを送信できるような機能があると、より効率的な運営ができますよね。清掃に対する課題の声はよく言われるので、ぜひ実現していきたいことの一つですね。
(小泉)そうですね。スペースの衛生管理はゲストの体験価値にも直結するので効率的な体制が構築できればと思っています。
(重松) また、清掃だけに留まらず、例えばスペースのご利用前にサプライズの装飾準備をしたり、会議利用に合わせて、飲み物やケータリング、備品などを全てセットしたり、ホテルのようなオールインクルーシブの時間貸しスペースがあったり、、、
スペースとプラスαのサービスによって、スペースの価値があがり、ゲストの利用体験をより良くする取り組みはもっと考えていきたいですね。
(小泉)スペースだけを提供するのではなくて、サービスも付加することでスペース自体の価値もあげていきたいですね。
(重松) その他、プラットフォームとホストダッシュボードのアップデートやノウハウを提供できる体制の構築など、中長期的にスペースシェアの体験価値や品質をよりよくするものや、ホストの方の運営が効率化されるような取り組みを精査しながら進めていきたいと考えています。
それでは最後に、スペースマーケットのミッションにも掲げている、スペースシェアがあたりまえになる未来について、お二人はどんな未来を描かれていますか。
(小泉)シェアリングエコノミーは、誰もが消費者にも提供者にもなれることが特徴だと思います。
サービスを提供する側の立場になる人が増えていくことで、お互いを思いやり、よりよい社会になっていくのではと信じています。
また、終身雇用が終わり、副業解禁など社会が変化していく中、スペースシェアを活用することで、働き方や暮らし方、生き方が変わったという人たちもたくさんみてきました。スペースシェアには、人生を変えるくらいの可能性があると思っています。副業の選択肢のひとつとしてもこの市場を広げていきたいと思っています。
(重松)スペースマーケットは「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンを掲げています。小さくても人が何かをはじめようとするときには、場所が必要になります。場所における選択肢を圧倒的に増やすことで、人々のチャレンジの総量を増やし、地方を、そして日本を盛り上げていきたいですね。
スペースシェアの市場は、中長期で約2.7兆円規模と試算しています。現在の我々のGMVは20億円にとどまっており、まだまだ大きな伸びしろがあると考えています。
スペースモールの強みとする、質の高い運営ノウハウをもって、まだ眠っている遊休不動産の活用を拡大し、利用者の体験価値をアップデートし、スペースのシェアを拡大していきます。
これからも、スペースシェアのリーディングカンパニーとして、この市場でトップシェアを獲得し、シェアリングエコノミーのプラットフォームの成長を実現していきたいですね。
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