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話題の「アルテミス計画」のゆくえ

「もしこのようなものが承認されれば、私は国家宇宙会議のアドバイザーを辞任します。火星へ行くという幻想によって、他国による月面の開発ラッシュが起こる様子を、近くで見ることはとてもやりきれないことでしょう。」

みなさんは、1999年に公開された「オクトーバースカイ」という映画をご存じでしょうか?
スプートニクの打ち上げに憧れたさえない高校生4人が、ロケット作りに励み、友情を深めていく様が描かれており、話題となった作品です。
この映画の主人公で、原作者でもあるホーマー・ヒッカム氏は、現在NASAのエンジニアを経てアメリカの国家宇宙会議のアドバイザーを務めています。
そんなヒッカム氏が、最近のある話題について冒頭のようなコメントをしました。

その話題とは、「アルテミス計画」の改定案がアメリカ下院で提出されたことです。

アルテミス計画は、アポロ計画以来の月面着陸を2024年に達成し、そこから月周回宇宙エレベータや月面基地の建設、さらには火星の有人探査をも視野に入れた計画です。
アメリカ政府は、Blue OriginやSpaceX、MAXARといった宇宙ベンチャー企業から、ボーイングやロッキード社のような老舗航空宇宙メーカーまで様々な企業を集め、官民共同で計画に取り組む見通しを明らかにしていました。

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詳細については
https://sorabatake.jp/5800/
https://gigazine.net/news/20191220-artemis-how-go-moon/
にて詳しくまとめられています。

オバマ政権まで着々と進められてきたこの計画は、宇宙政策に関心の高いトランプ大統領によって前倒しされています。また、先述した国家宇宙会議もトランプ大統領の就任後に復活させられたことから、大統領の熱の入れようがうかがい知れます。

ところが、2020年1月24日アメリカ下院の超党派の議員らにより、この計画の改定案が提出されました。(リンクはこちらhttps://science.house.gov/imo/media/doc/NASA_AUTH_01_xml.pdf)

「この国の有人宇宙探査の目標は、人間を火星の表面に送ることである。」
との書き出しから始まるこの文書は、文字通り、火星での有人探査を最終目標として書かれています。これは、トランプ氏らが思い描いていたアルテミス計画とは大きく異なります。
月面で有人探査を行う理由も、「火星への有人ミッションをサポートするために、必要なリスクを軽減し能力と操作を実証するためには、月面付近と月面でのヒトによる探査が必要になる。」と書かれています。

具体的には、
・月面有人着陸の目標年を2024年から2028年にする。
・それに応じて、国際宇宙ステーションを2028年まで運用する。
・月を周回する宇宙ステーションの名前を「ゲートウェイ」から「ゲートウェイトゥマーズ」へ変更する。
・月面基地建設や水資源確保等、月面の開発に関する予算を減らし、火星有人探査用の設備や開発費に回す。
・火星有人探査の目標年は2030年代後半以降だったものを2033年に再設定する。
・ISSの代わりの商用宇宙ステーションの建設
といったもので、トランプ氏によって進められていた方針とは大きく異なっています。

この提案に対し、火星有人探査に期待する声も大きい一方で、冒頭のヒッカム氏や民間の宇宙産業グループ、商業宇宙連盟等は反対のコメントを発表しています。

アメリカでは下院で承認された法案は上院で審議されるため、このままこの提案が可決されるわけではありません。
ですが、これがきっかけでアメリカ国内で宇宙政策への批判が高まるおそれもあります。今後の動向からも目が離せませんね。


今回の記事では、アルテミス計画のゆくえについて書いてきました!
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《参考文献》
・https://arstechnica.com/science/2020/01/house-bill-seeks-to-gut-nasas-artemis-plan-resurrect-journey-to-mars/
https://www.space.com/house-bill-nasa-moon-landing-2028.html
https://en.wikipedia.org/wiki/National_Space_Council

文責:水口、穂積

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