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夜の月と人と子

満ちている人を見る子がいた。月を見る人もいた。
背後の満月のように、珍しく過去の影が消えていたので、
子は、姿見の前でポーズを取るように、人の視界に飛び込もうとした。
それが欠けていると思った人は、満たしてやろうと
全く無粋に動き出してしまった。その時、欠けてしまった。
月を見たかっただけなのに….
子は毅然として、欠けることはなく(また、満ちることもなく)、人は時分を知った。月はやはり綺麗だった。

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