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中島早紀/人を繋げる
2021年6月20日 11:44
棒のようになった足を引きずり、家に帰る。「ただいま」 無意識で言葉が出てしまう。つい数時間前まで彼女がいた部屋を見渡す。深夜、浴びるように飲んでそのままになっていた空の缶ビールを手に取る。昨晩の思い出が消えてしまいそうで元の場所に戻した。空が明るくなってきた。昨晩の出来事を思い出したくなくてベッドへ戻る。あの香水の香りが充満していて、誰にも聞こえないはずの嗚咽を我慢しな