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棒のようになった足を引きずり、家に帰る。


「ただいま」  無意識で言葉が出てしまう。



つい数時間前まで彼女がいた部屋を見渡す。



深夜、浴びるように飲んでそのままになっていた空の缶ビールを手に取る。
昨晩の思い出が消えてしまいそうで元の場所に戻した。



空が明るくなってきた。



昨晩の出来事を思い出したくなくてベッドへ戻る。



あの香水の香りが充満していて、誰にも聞こえないはずの嗚咽を我慢しながら太陽から逃げていた。

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