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「タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター」を観た私


不覚にも号泣してしまった。

きっと家で金曜ロードショーか何かで観ていたらこうはならない。(というか泣いた記憶がない。)


やはり「名作」と呼ばれる作品は映画館の大きなスクリーンで見ず知らずの人たちと沈黙を共有しあって観ないとダメらしい。

「海の上のピアニスト」を映画館で観れた時も全く同じように思った。


名作すぎて何度もテレビで放映されてしまい、いくつかの強烈なシーンだけを私の記憶に残し、大してちゃんと観たこともないのに“名作フィルター“が自分の中でかかってしまっていたが、改めてそういったものを取っ払って「タイタニック」という作品と向き合えたような気がする。


そのうえで、ローズとジャックの物語に涙したし、それだけでなく、あの短時間でタイタニック号の乗船者たちの多くの生き様を目の当たりにし、感情が忙しかった。


特に「悟る」乗船者のシーンが印象的で、涙が止まらなかった。

自分の設計に責任を感じ、沈みゆく船内に留まり針の止まった時計を少しずつ回すアンドリュース。

あの状況でも最後まで自分の仕事にポリシーを持ち続けるマードックや楽団の姿。

船長は…なんとも言えなかったけど笑


命以上に大切なものはないし、最後まで仕事を全うすることが必ずしも正しいことではないし、美談にしてはいけないこともある。だがそれでも、最後まで自分のポリシーを貫く大人の「悟る」表情、姿に涙せずにはいられなかった。


その中でも特に私が印象に残った「悟る」表情があった。

タイタニック号が完全に沈没し、ローズとジャックが海に浮かんだドアに乗ろうとするシーンだ。


始め、ジャックはローズと2人であのドアに乗ろうとする。だが重さに耐えられずドアはひっくり返ってしまう。そしてジャックが「悟る」。自分の命は助からないかもしれない、ローズを助けたい、ローズに生き続けて欲しい。いや、そんな簡単な表情じゃなかったと思う。なんというかあの「悟る」シーンはうまく言葉にできないが、ジャックはあの時にローズとの別れを悟ったように思えた。だから、そこからずっと涙が止まらなくなってしまった。


だが最終的に私は救われるような心地にもなった。それはあのラストシーンにつながるからだろう。


タイタニック号で絵画に囲まれて過ごしたローズが、ジャックと出会って絵画ではなく自分自身の写真に囲まれて眠りにつく。

彼との「諦めずに生き続ける」という約束を胸に、しっかり生きたのだという証をあのシーンが物語っている。そしてあのラストシーンである。見知ったシーンのはずなのに、やっぱり泣いた。最後の最後まで泣かせにくる…


ハッピーエンドと言っていいのかはわからない。1500人もの人が海に放り出されてそのうち助かったのはたった6人。助けに来たボートはたったの1隻。正しいはずはないし、明るい気持ちになんかなれるはずはない。正直まだ引きずっている。


でも、ローズとジャックが一緒に過ごした時間をローズはいつまでもいつまでも心にしまっていた。誰にも言わずに。海のように。

彼女が語ったものは、碧洋のハートなんかとは比べ物にならないくらい宝物だったに違いない。ハートを海に投げ入れる、あるべき所に戻す。あの時彼女の思い出も一緒にあるべき所に戻ったように感じた。


それはそうと、ローズは「女って海のように秘密を秘めてるのよ」と言っていたが、私は溜池にもならなそうでまだまだだなぁと肩を落としたりもした。


私は私なりに強く逞しく生きていこうと思う。

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