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OFUSEリニューアル 第2回:ファンレターでクリエイターを支援するサービス『OFUSE』ができるまで

前回は、「OFUSE」の簡単な紹介と、リニューアル予告をお知らせしました。
この記事では、OFUSEがどのようなサービスを目指して誕生したのか、開発当初の想いをSozi代表の宮村哲宏に聞いていきたいと思います。
*聞き手:Sozi広報 野口

PROFILE
宮村哲宏(みやむら・てつひろ)
1992年 東京都生まれ  Sozi Inc. 代表取締役CEO  /  幼い頃から患っていた喘息の影響で小学生時代の大半を自宅で一人で過ごす。それを見兼ねた姉がレンタルビデオ屋で借りてきたアニメの物語やキャラクターに孤独だった心を救われる。それ以来、アニメを筆頭に少女漫画(姉の影響)や小説など様々な作品を愛してきた。好きな作品を聞かれたときに必ず答えるのは、『フルーツバスケット』『赤ちゃんと僕』『とらドラ!』『四月は君の嘘』『3月のライオン』。

OFUSEのサービス開発前夜

――そもそもSoziは、OFUSEのリリースにあたって法人化した会社です(当初の株式会社Ofuseから2019年にSoziへ改称)。OFUSE自体は、もとは宮村さん個人で作ったサービスなのですよね。

宮村:仕組みを考えたのは自分ですが、開発は大学からの友人や、当時勤めていた会社の同僚などにも手伝ってもらいました。その頃はIT企業に勤めていて、仕事外の時間で個人的に作り始めたんです。

――なぜこのような「1文字2円でファンレターを送る」ことができるサービスを開発しようと思ったのですか?

宮村:きっかけは、アニメーターの方々を支援したいという思いからでした。アニメの制作現場を特集したドキュメンタリー番組を見て、制作に関わるクリエイターが金銭的に評価を受けられず生活が苦しい状況があると知り、エンジニアとして自分にできることがないかと考えたんです。

 最初はアニメ制作の仕組みから調べて、その流れを変えるのはなかなか難しいということも分かりました。そこで、ファンが応援の気持ちと一緒に、クリエイターにお金を送り届けることができる仕組みを作ってみようと思って、たどり着いたのがOFUSEです。僕自身、アニメが好きでたくさんの作品に励まされてきたので、クリエイターにその感謝の気持ちを伝えられるようなサービスを作りたかったんですよね。

 会社ではBtoBの仕事に携わっていたので、もっと広く使われるサービスを手掛けてみたいという気持ちもありました。

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クリエイターに気持ちとお金が回るしくみ

――OFUSEをサービス化する上で特に配慮したことは?

宮村:目的ははっきりしていて、ファンからクリエイターにお金が回ることです。

 「クリエイターへの支援をファンレターと一緒に送る」というコンセプトはすぐに決まったので、あとはそれを崩さずにどうやって組み立てていくか、法律や技術的な課題をクリアしていくかを考えました。当時は類似のサービス自体がまだあまりなかったですし、金融庁に問い合わせて相談に乗ってもらったりもしましたね。

 クリエイターにできるだけお金が回るように検討を重ね、最終的に「1文字2円(絵文字は4円)で、設定した金額を上限にファンレターが送れる」というサービスになりました。ブラウザで使えるWebサービスにしたのは、プラットフォームに依存したくなかったからです。その方がよりインターネット的というか、これから増えていくUGC(ユーザー生成コンテンツ)への支援も視野に入れていたので、OFUSEでクリエイターと呼ぶ人の幅はかなり広く想定して、シンプルに使ってもらえるようにしたいという思いがありました。

 当時、開発に関わってくれたなかには、今もSoziのメンバーとして一緒に働いている人もいますし、まったく違うキャリアを歩んでいる人もいますが、今でもよく会って話をします。サービスの根っこを一緒に作ってくれた人たちなので、とても感謝していますね。

――β版のリリースが2018年3月末、ちょうど2年前になりますね。どのようにユーザーが広がっていったのですか?

宮村:まずアニメーターに使ってもらいたいというのがあったので、実はプレ登録の開始前にアニメ関連の協会をあたって、「こんなサービスを作っています」という資料とともに開発の思いをお伝えしたんです。
 小さな会社で作っている聞いたこともないサービスで、怪しいと思われても仕方ないはずなのですが、開発の思いに賛同して紹介してくださる方々がいたおかげで、OFUSEを使ってもらえる機会が増えていきました。

 そこからはTwitterなどを介して知っていただけるようになっていきました。やっぱり同じような問題意識や、ファンとしてクリエイターを応援したいという思いを持っている人たちがたくさんいて、共感いただけたんだと思います。

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 より多くの人が使いやすいOFUSEを目指して

――少し話が戻ってしまいますが、Sozi(当時、株式会社Ofuse)はOFUSEの開発中、2017年に法人化していますよね。勇気がいる決断だったと思うのですが……。

宮村:お金を扱うサービスだからというのもありますし、会社を作った直接的なきっかけは、東京都のアクセラレーションプログラムに応募したことです。都が起業家育成のために行っているプログラムなのですが、それに勉強を兼ねて申し込んだところ採択されました。結果的にそれがサービスの信用につながった部分もあると思います。

 当時働いていた会社には積極的に起業家を育てる環境があって、会社で働きながら起業している人もいました。僕もそうしていくことはできたんですが、プレ登録でユーザーも集まってきて責任を感じましたし、これはOFUSEに専念する覚悟を決めなきゃいけないなと。その覚悟を決められるほど、OFUSEに賭けてみたい気持ちになっていたのが大きいです。家族には反対されましたけど(笑)。

 自分を含め、ファンの力でクリエイターの制作環境がより良くなる未来に貢献していきたいし、より良くなった環境から生み出されるアウトプットで、社会が豊かになっていけばいいと思いますし。

――クリエイターを支える思いは、今、Soziで提供している「pib」や、今後のサービスにも引き継いでいきたいことですね。最後になりますが、今年はOFUSEのリニューアルに踏み切ります。これまでのOFUSEで課題に思っていたところはどんな点ですか?

宮村:OFUSEは開発を手伝ってくれていた人たちにもそれぞれ本業があって、その合間で進めていたので、とにかく気持ちと支援を送るっていうコンセプトを形にしていったような状況だったんです。Webサイトの構造や、UIデザインも、分かりにくいところがたくさんあるし、まだ個人が作ったものの延長っていう感じがありますよね。

 ツールを提供するところまでは実現できたんですけど、それってまだ未熟で、サービスへのアクセスがしづらいせいで、せっかく使ってくれているクリエイターのみなさんが支援されにくくなってしまっている。機会損失になっていると思うんです。

 今回のリニューアルでも、基本的な機能を変えるつもりはありません。分かりやすいUI・UX、使ってみたくなるようなデザインとか、体験のクオリティを上げることで、もっと多くの方に使ってもらえるようになると思いますし、活用されるシーンも増えていくのかなと。

 リリースから2年経って、アニメーターだけでなく小説家やイラストレーター、ブロガーやコミュニティ運営者の方まで、さまざまなジャンルの方に使っていただけるようになりましたし、海外ファンからの利用も増えています。分配金の受け取りが日本国内の口座でしかできないなど、まだ制約がありますが、将来的には海外クリエイター向けにも展開していきたいと考えています。

――そのためにも、まずは多くの人が使いやすいサービスにするためのリニューアルをしっかり進めていきましょう。次回のnoteでは、具体的にOFUSEがどのように変わるのか、リニューアルの計画をまとめてお伝えします。


(次回は3月28日ごろの更新を予定しています)

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Soziからのお知らせ


Soziがリリースしているもう一つのサービス、創作イラスト向けスマートフォンアプリ「pib」のAndroid版リリースを記念して、Web展覧会「十人十色」展を3月29日まで開催しています。ブラウザで楽しめるイラスト展になっていますので、ぜひこの機会にご覧ください。

pib https://pictureinbottle.com/
「十人十色」展 https://pictureinbottle.com/exhibition/junintoiro/

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