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〝とろみ〟に2つの耳寄り話。

素材に絡むチリソースのなめらかな〝とろみ〟は、湯気や香りとともに私たちを料理に引き込む。しかし、とろみづけは慣れないと結構加減も難しく、時間が経つとなめらかさは失われる。こんな〝とろみ〟の課題を抱えるキッチンに、2つの耳寄り話が聞こえてきた。

文・撮影/長尾謙一 
料理/横田渉 

イナショク さっとあんかけ™
イナゲル たれ次郎R
(素材のちから第45号より)

「イナショク さっとあんかけ」を加えた水溶き片栗粉は、時間が経っても分離・沈殿しない。また「イナゲル たれ次郎R」は白濁しない透明感のあるあんかけをつくり、時間が経っても粘度がなくならない。このメリットは〝とろみ〟のメニューづくりを安定させる。

安定して料理に〝とろみ〟をつけるのは結構難しい。

分離しない水溶き片栗粉がつくれる

中華のシェフが踊るように鍋を煽り、最後に水溶き片栗粉をお玉に移して、さっと料理に〝とろみ〟をつけて仕上げる様子は何度見ても感心する。

しかしこの時、とろみづけにシェフが使う水溶き片栗粉はボウルの中では分離している。水で溶かした片栗粉は時間が経つと沈殿するからだ。

シェフはこれを巧みにほぐして水に溶かし、水溶き片栗粉にして使う。お玉に移す量で仕上がりの〝とろみ〟が分かるのだ。これには職人の技と感覚が必要だ。

ご紹介する「イナショク さっとあんかけ」は、時間が経っても分離しない水溶き後の片栗粉がつくれる〝とろみ〟の素だ。片栗粉の沈殿を抑えて片栗粉が水に均一に分散した状態を保つ。

使い方は簡単だ。乾いたボウルに「さっとあんかけ」10gと片栗粉90gを入れてホイッパーでよく混ぜ合わせる。そこに水200ccを加えて、さらにホイッパーで1分間ほどよく攪拌する。これで片栗粉は分離しない。

水溶き片栗粉の状態比較 ※攪拌後20分

「さっとあんかけ」を加えないものは写真のように沈殿してしまう。これを再び撹拌して綺麗に溶かすのは手間だし、時間がかかるだろう。

「さっとあんかけ」を使えば、〝海老のチリソース煮〟など、あんかけメニューがとてもスムーズにできる。慣れない調理スタッフにとっては救世主のようだ。

海老のチリソース煮

冷めても透明感のあるあんかけやたれがつくれる

さて、次に新製品「イナゲル たれ次郎R」をご紹介しよう。

ここ数年の増粘多糖類業界では、ローカストビーンガムにはじまり世界規模で未曾有の原料不足と値上げラッシュが続いている。安定供給が危ぶまれる中、伊那食品工業では独自の技術開発力をいかし、これまであった「たれ次郎」と同等な機能を同等な価格で再現した新製品「たれ次郎R」を上市する事に成功した。

特長を一言でいうならば、冷めても透明度の高いあんかけやたれがつくれることだ。

さらに冷凍・冷蔵保存しても老化しにくい。その効果は全国のスーパーやCVSで販売しているみたらし団子が物語っている。数日前につくっても、買ってから数日経っても冷蔵保存でつくり立てのような綺麗な状態を保つ。

また、時間が経ってもでんぷんの老化がなく、片栗粉と比べて粘度がなくならない。しかも冷蔵や冷凍保存も可能だ。

使い方は、あんかけの場合、調味された液の重量に対して4~5%の「たれ次郎R」を加えてよく混ぜ、85℃以上で加熱溶解させる。艶出しのたれに使う場合はたれの重量に対して3〜4%の「たれ次郎R」を加えてよく混ぜ、85℃以上で加熱溶解させる。

それでは「たれ次郎R」を使って、その特長をいかしたメニューをつくってみることにしよう。今までにない切り口が見つかるかもしれない。

まず一つ目は〝揚げ出し豆腐〟である。たれは麺つゆを使い、つゆの重量に対して4%の「たれ次郎R」を加え加熱して溶かし〝とろみ〟をつけた。のびのあるたれには口の中でしっとりとした食感が楽しめ、上品な〝揚げ出し豆腐〟に仕上がる。

とろり揚げ出し豆腐

次は〝ロールキャベツ〟。ここでもコンソメスープの重量に対して4%の「たれ次郎R」を加えて溶かし〝とろみ〟をつけた。スープがキャベツによく絡まって、しっかりと旨みが味わえる。

とろりロールキャベツ

さらに〝鶏もも照り焼きあんかけ丼〟をつくってみる。

鶏もも照り焼きあんかけ丼

フライパンで鶏もも肉を炒め、酒、みりん、醤油、砂糖を加え少し詰める。丼に盛り、麺つゆに「たれ次郎R」を重量の4%加えたあんをつくり上からかけてみた。

「たれ次郎R」でつくるたれやあんかけには透明度があり、その透明感は冷めても変わらない。〝丼〟も〝ロールキャベツ〟も〝揚げ出し豆腐〟も同じだ。この〝とろみ〟と艶は、でき上がりをパッケージに入れて販売するテイクアウトメニューの商品価値を上げる。

さて、最後に冷たい麺のメニューを試作した。

冷製カッペリーニ ガスパチオ風

〝冷製カッペリーニ ガスパチオ風〟は、ソースに4%の「たれ次郎R」を加えた。

冷たいあんかけたぬきそば

〝冷やしたぬきそば〟には冷たいストレートのたれと「たれ次郎R」を4%加えた〝とろみ〟のあるたれの両方を皿に流した。

通常はソースもたれも皿の下に溜まってしまうが、どちらのメニューも〝とろみ〟が麺に絡まり味も冷たさもおいしく伝わってくる。〝とろみ〟の冷たい麺メニューは結構いける。

いかがだろう、「さっとあんかけ」と「たれ次郎R」がキッチンの耳寄り話になるかどうかは、皆さんの使い方次第だ。


協力/お問い合わせ:伊那食品工業株式会社

(2022年6月30日発行「素材のちから」第45号掲載記事)

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