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「コラーゲン」という食材

コラーゲンを、料理をつくる食材として使えることに驚かされた。

文・撮影/長尾謙一 
料理/横田渉 

食べるコラーゲン 
(素材のちから第37号より)

おいしい料理を楽しみながらコラーゲンが摂れる

〝タンパク補給〟は美容と健康のためのパワーワードだ。良質なタンパク質を身体に補うために数々のサプリメントも発売されている。しかし、料理を楽しみながらコラーゲンが摂れる「食べるコラーゲン」は食材としてつくられたところに大きな意味がある。

〝コラーゲンを食べている〟というシズル感がたまらない。

「食べるコラーゲン」は加熱しても溶けず〝プルプル〟とした食感が魅力だ

私たち人間の身体は20%がタンパク質でできていて、そのうちの30%がコラーゲンだそうだ。コラーゲンは人の皮膚や骨、軟骨、内臓や血管など全身に広く存在するが、年齢とともに減り劣化していくため、体内のコラーゲンを増やすことは肌の状態を整え、関節や骨の健康を維持することにつながる。

以前、コラーゲン鍋というメニューがあったが、鍋メニューでコラーゲンが摂れるということから女性に人気となった。その多くはコラーゲンボールというコラーゲンを豊富に含む食材から抽出してボール状に固めたものを使った。鍋にポンと入れてしばらく溶かすだけでコラーゲン鍋が楽しめ、無味・無臭なので料理の味を損なうこともなかった。

今ではコラーゲンボールを使う鍋はそれほど見なくなったが、鶏の皮や手羽先、豚モツ、牛スジ、スッポン、フカヒレなどを使うコラーゲンたっぷりの鍋は相変わらず人気が高い。

鍋に入れるコラーゲンボールが定着しなかったのは、熱によってすぐに溶けてしまい〝コラーゲンを食べた!〟という実感がなかったからかもしれない。

さて、今回ご紹介する「食べるコラーゲン」は熱に強く加熱しても溶けないようにつくられている。鍋で煮込んでもフライパンで炒めても溶けない。〝プルプルとした新食感〟と〝キラキラとした透明感〟は〝コラーゲンを食べた!〟というしっかりとした手ごたえを与えてくれる。

「食べるコラーゲン」には味も香りもほとんどないが、調味料やタレ、ソースなどとの絡みがよく、煮込めば味や色も中に染み込む。

注目すべきはやはり「食べるコラーゲン」の〝プルプル〟とした食感だ。日本人はタピオカの〝モチモチ〟のように食感に敏感で、メニューのコンセプトになることもある。

下のメニューは鶏レバーのパテだ。鶏レバーのコクを味わうこの料理はワインとの相性がよく、なめらかな口溶けが持ち味だ。熱は加えず、できあがった鶏レバーのパテに「食べるコラーゲン」を細かく刻んで合わせてみた。とても簡単だ。

コラーゲンたっぷりの鶏レバーパテ

するとどうだろう、なめらかな舌触りの中から現れる〝プルプル〟とした食感はとても新鮮だ。コラーゲンを食べているというシズル感があってなかなかおもしろい。

「食べるコラーゲン」の加熱しても溶けない特徴をいかす

〝コラーゲンたっぷりの鶏レバーパテ〟は「食べるコラーゲン」を刻んで合わせただけだが、今度は加熱しても溶けない特徴をいかしたメニューをつくってみたい。

まずは〝コラーゲン餃子〟だ。普通に仕込んだ餡に「食べるコラーゲン」を粗く刻んで混ぜ合わせ、皮に包んで焼いた。

コラーゲン餃子

「食べるコラーゲン」は溶けていない。粗く刻んだ「食べるコラーゲン」の〝プルプル〟とした食感が歯ごたえよく、噛むほどに豚ひき肉と肉汁の旨みをいつも以上に味わえる気がした。この噛んだ食感がたまらない。〝コラーゲン餃子〟とは実に魅力的なネーミングではないか。

さて、次は〝コラーゲンつくね〟をつくってみた。鶏ひき肉に「食べるコラーゲン」、塩、酒、サラダ油、卵黄を合わせ混ぜ、長ねぎ、生姜汁、片栗粉を加えてさらに混ぜたものをハンバーグの形に整えて焼いた。

コラーゲンつくね

これに醤油、酒、みりんを加えて絡め、温めたスキレットに卵黄、万能ねぎをトッピングして仕上げる。スキレットを使ったのはコラーゲン好きの女子を意識してのことだ。

団子状にして串に刺し、焼き鳥にしてももちろんいい。タレを吸って焼けた「食べるコラーゲン」は香ばしく、つくねの中の「食べるコラーゲン」は〝プルプル〟していて、このコントラストがおもしろい。

つくねの中の「食べるコラーゲン」は〝プルプル〟

〝牛すね肉のコラーゲンたっぷり赤ワイン煮〟には「食べるコラーゲン」の力が大いに発揮される。もともとコラーゲンたっぷりの牛すね肉の特徴を見える形で強調した。

牛すね肉のコラーゲンたっぷり赤ワイン煮

炒めた玉ねぎ、ニンニク、ニンジン、セロリなどと、細切りにした「食べるコラーゲン」、牛すじ肉を赤ワイン、トマト、ローリエと一緒にゆっくりと鍋で煮た。「食べるコラーゲン」にしっかりと染み込んだソースにご注目いただきたい。味が染み込んでまるで牛すね肉のコラーゲンだ。

最後にモツを使って〝コラーゲンモツ煮〟をつくった。狙いは赤ワイン煮と同じ、モツ煮のコラーゲン感を強調したかったのだ。

コラーゲンモツ煮

「食べるコラーゲン」は無造作に手でちぎって加えて煮た。いかがだろう、まるでホルモンの部位の一つに見えないだろうか。味もいい感じに染み込んでいる。

「食べるコラーゲン」、おもしろい食材だ。


協力/お問い合わせ:新田ゼラチン株式会社

(2020年3月31日発行「素材のちから」第37号掲載記事)

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